2026年の大相撲春巡業が3月29日の伊勢神宮から始まり、約2週間が経過した。しかし、ここにきて人気力士の離脱が相次ぎ、ファンからは悲鳴が上がっている。
休場者は14人超え、人気力士が続々と離脱
13日、日本相撲協会の高田川巡業部長(元関脇・安芸乃島)は、横綱・大の里(二所ノ関)と幕内・藤ノ川(伊勢ノ海)が15日の茨城・鹿嶋市での巡業から休場すると発表した。大の里は春場所を左肩痛で途中休場しており、本場所に向けた治療を優先するためだという。
高田川巡業部長は「巡業も大事な仕事のひとつですが、本場所に出場できるように休むのでしょうから。しっかり治して、本場所で戦える態勢をつくってもらいたい」と語った。
春巡業開始前から、すでに9人の力士の休場が発表されていた。
前頭・若隆景(荒汐)は右上三頭筋付着部損傷疑いなど複数の負傷、幕内・伯乃富士(伊勢ヶ濱)は左母趾MTP関節外側靱帯損傷、翠富士(伊勢ヶ濱)は心不全と診断されている。
さらに3月31日には大関・安青錦(安治川)が左足小指骨折で神戸巡業から離脱。4月9日には幕内・義ノ富士(伊勢ヶ濱)が鼓膜に穴が開く「右鼓膜穿孔」、41歳のベテラン幕内・玉鷲(片男波)が「変形性腰椎症、腰部神経根症」で休場となり、この時点で休場者は14人以上に達した。
そして今回の大の里と藤ノ川の離脱で、休場者はさらに増加し《巡業が多すぎて治る怪我も治らないよ》《ハード過ぎないか!?》《チケットの取りにくさといい、協会は目先の利益に走り過ぎ》と、人気の力士が次々と姿を消す事態にファンの声も大きくなっている。
春巡業の過密すぎるスケジュール
なぜこれほど離脱者が続出するのか。背景にあるのは、巡業の過密スケジュールである。
日本相撲協会の公式発表によれば、2026年春巡業は3月29日の伊勢神宮奉納から始まり、4月26日の埼玉県入間市まで全国を回る。この約1か月間で力士たちに与えられる休養日は、4月6日と4月14日のわずか2日のみ。29日間で27回もの興行をこなし、移動距離は3,000キロ以上にも及ぶとされる。
「巡業は本場所と異なり、地方のファンが普段なかなか見ることのできない力士に会える貴重な機会です。1人あたり約10,000円〜20,000円とチケットは決して安くなく、タマリ席ともなればもっとします。遠方から楽しみにして足を運ぶファンにとって、お目当ての力士が休場というのはガッカリですよ」(相撲ライター)
一方で、日本相撲協会の経営は絶好調。
3月23日に発表された2025年度決算では、約13億2900万円の黒字を記録し、3年連続の増益となった。年6場所すべてで入場券が完売し、本場所での親方売店が1場所15日間で1億円以上を売り上げるなど、グッズ販売も好調。さらにはロンドン公演の収益も加わり、純資産は292億円に達している。
しかし、こうした「協会の繁栄」が現場の力士たちにどれほど還元されているのかは疑問が残る。幕下以下の力士は依然として無給であり、過密日程の中でケガを抱えながら出場を続ける力士も少なくない。
協会の収益は上がり、日程は詰め込まれ、力士は疲弊し、休場者が続出し、結果としてファンが割を食う。この悪循環を断ち切らない限り、相撲人気の持続的な発展は難しいのではないだろうか─。
