「バンテリンドームナゴヤ」

 2026年シーズンが始まったばかりにも関わらず、中日ドラゴンズのファンから漏れるのはため息ばかり。開幕前には野球評論家がこぞって「Aクラス入り」を予想したにも関わらず、4勝11敗(以下の成績、数字は4月14日時点)と最下位を独走。その一因ともされるのがーー。

 阪神タイガースとの3連戦で巻き返しを図るべく、中日は4月10日に柳裕也投手(31)、大野雄大投手(37)、高橋宏人投手(23)の“エース3枚看板”を先発に投入。ところが1勝もできずに3連敗で、逆に東京ヤクルトスワローズと首位争いをする阪神に貯金を与えることに。

 両チーム間の得点力の差は明らかだった。しかも3試合で両チーム合わせて7本のホームランが飛び交ったのだが、阪神打線が打ち込んだのは5本。しかも、そのうちの4本が“ラッキーゾーン”、新設された「ホームランウイング」に飛び込んだのだ。

 1997年3月に開業した「バンテリンドーム ナゴヤ」が、球団創設90周年に合わせて生まれ変わった2026年シーズン。外野フェンス前に新設されたのがテラス型の観客席「ホームランウイング」だった。

 お披露目の際には球団関係者も「ホームランが増えると確信している」と自信をのぞかせたように、これまで「ホームランが出にくい球場」とされたナゴヤドームは様変わりし、右中間と左中間の最深部では従来の116メートルから110メートルに短縮され、フェンスもまた1.2メートル低くされた。

ホームラン量産のはずが最下位

 2025年シーズンのチームホームラン数は83本と、403得点と同様にセ・リーグ6球団で最下位だった中日。この状況を打開すべく数億円ともされる費用を投じて新設されたテラス席だが、蓋を開けてみればホームラン数は8本と、待っていたのは広島東洋カープと並んで最下位の現実だった。

 阪神戦では、新加入したミゲル・サノー選手(32)が3号、そしてルーキー・花田旭選手(22)にプロ入り初ホームランとなる第1号が、いずれもホームランウイングに飛び込んものの、ファンが期待したほどの効果は出ていないように見える。

「バンテリンドームナゴヤ」に新設されたホームランウイング、観客は快適に過ごせそうだが(公式インスタグラムより)

 そして「ホームランウイング」による“弊害”も起きている。開幕前に元中日監督の落合博満氏(72)が『サンデーモーニング』(TBS系、3月22日放送)に出演した際、球場が狭くなったことについて「相手に打たれる可能性も非常に増えるってことですよ」とデメリットについても冷静に分析。

 ホームランが出やすいホームスタジアムは有利だが、ピッチャーや外野守備を得意とする選手には不利にもなる。同じグラウンドで攻撃と守備を交互に繰り返す野球だけに、相手チームとの条件は同等であることを落合氏は説いたのだった。

 なるほどセ・リーグの被本塁打数は14本の阪神が最多で、横浜DeNAベイスターズとワースト2位タイの11本で次いでいる中日。2025年はリーグ最少の80本とバンテリンドームの恩恵を受けていたにもかかわらず、ここまでハイペースでホームランを打たれているのは明らかだ。

ファンは「今からでも撤去しよう」

 そして昨年は2.97と2点台だったチーム防御率だが、今年はリーグ唯一の4点台となる4.14で、失点数もワーストの67。つまりは満を持して導入されたテラス席はメリットよりも、デメリットばかりが大きくなったようにも思えるがーー。

《だから俺はHRウイングの設置に大反対だったんだよね》
《阪神戦だけウイング撤去とかできない?》
《今からでも遅くない、撤去しよう》

 Xでは中日ファンと見られるユーザーによる、開幕14試合にして早々にホームランウイングの《撤去》を求める無茶ぶりも。

 すると中日は“撤去”の代わりに13日、2軍の落合英二投手コーディネーター(56)を1軍マネジャー兼スコアラーとして配置転換させる人事を発表。まずはホームラン増産よりも、強みだった投手力の再建に尽力する姿勢を見せている。

 翌14日の広島戦では“泣きっ面に蜂”というべきか、主砲のサノーが左脚負傷で途中交代するアクシデントも発生。Aクラスどころか、まさかの最下位に逆戻りしている現状を、一番予想していなかったのは井上一樹監督(54)だろう。