2025年1月6日、アストロズ入団会見に出席した今井達也(共同通信社)

 埼玉西武ライオンズからポスティングシステムを利用して、ヒューストン・アストロズに移籍した今井達也がMLBの“壁”にぶち当たっている。4月14日に「右腕の疲労」のため負傷者リスト(IL)入りしたのだが、その原因は本人曰くーー。

「やっぱり慣れてないというところじゃないですかね。野球に関しても、野球以外でも。アメリカのライフスタイルにアジャストできていない」

 現地メディアの記者取材に応じて、右腕疲労について「たぶん、それが原因だと思う」と自己分析した今井。なんでも開幕から3週間、試合ごとの長距離移動や食事のタイミングなど、日本のプロ野球とは異なるメジャーリーグの環境、習慣に馴染めていないとした。

 つまりは“ホームシック”にかかってしまったようだ。

 ここまで3試合に登板して1勝、防御率7.27と、まだまだシーズン序盤ではあるが、3年総額5400万ドル(約85億円)の大型契約に見合うとは言い難い。しかもアストロズ移籍前には、

「僕は(ロサンゼルス・ドジャースを)倒したいですね、どうせだったら」「ああいうチームに勝ってワールドチャンピオンになることが、自分の人生にとって一番価値がある」

 などとテレビインタビューで発言していた今井だ。この「打倒ドジャース」はMLB公式サイトや現地メディアでも大きく取り上げられ、SNSでも拡散されて炎上。いざ開幕してみれば打倒ドジャースどころか、早々のIL入りに「ビッグマウス」と再び批判を浴びている。

1年間でMLBから撤退する可能性

「その自信満々な口ぶりと太々しい態度は“舐められないため”の表向きで、本来は西武時代から繊細でナーバスな一面もある。ゆえにアメリカでの生活に馴染めない精神面での苦労もあるでしょうが、それ以上に技術面、“ピッチクロック”への対応に苦しんでいると見受けます。

 自分の間合いで勝負できないことで、本来の投球リズムを狂わせて制球難にもつながっているように見えます。このままアメリカにアジャストできなければ、早々にMLB撤退の可能性もありますね」

 とは、メジャーリーグ事情にも詳しい野球ライターの見解だが、今井とアストロズが交わしたのは3年契約だ。少なくとも球団から“リリース”されない限り、3シーズンはMLB、またはマイナーリーグでプレーすることになるのだが、今井サイドは異例の「オプション」を保持している。

西武・今井達也が公開した美人インフルエンサーとの交際(公式インスタグラムより)

 毎シーズンごとに、アストロズに契約破棄を申し出ることができる「オプトアウト条項」が盛り込まれているのだ。

契約を裏返せば“セルフ戦力外”も

「たとえば今季、今井投手が“3年85億円”契約を上回るほどの成績を残したとします。すると今井側は契約が見合わないとして、1度契約を破棄してアストロズ、または他チームとも交渉して新たな大型契約を結ぶことができるのです。

 つまり1年1年で勝負したいスタイルの選手にとってはポジティブな契約ですが、裏を返せば“もうアストロズで、MLBでプレーしたくない”と自身で退団を申し出る、セルフ戦力外も選択できる可能性もあります。当然、次の移籍先は日本でしょう」(前出・野球ライター)

 近年、ポスティングによるMLB移籍が常態化する一方で、早々にプレーに見切りをつけて日本球界に“出戻り”復帰する、しかも古巣ではなく大型契約を用意するライバルチームに移籍する選手も少なくない。もちろん現状のNPBルールにおいて、なんら問題ない移籍なのだが、了承して送り出した球団、そして応援するファンにしてみれば“不義理”に映る行為ともされている。

「一番いい時期が過ぎてからじゃ遅い。タイミングだけは逃したくない」

 西武球団に啖呵を切ってポスティングを容認させた今井だけに、早々にMLBから逃げ出すことはないだろう。“今井式FA”と揶揄されないためにも、しっかりアメリカにアジャストしてマウンド上で「H(ヒューストン)ポーズ」を決めてほしい。