16日、日本サッカー協会(JFA)は元日本代表MF中村俊輔氏(47)が日本代表のコーチスタッフに就任すると発表した。北中米W杯(ワールドカップ)開幕まで約2カ月というタイミングでの人事は極めて異例であり、サッカーファンの間で大きな反響を呼んでいるーー。
中村氏は2022年シーズン限りでJ2横浜FCで現役を引退後、同クラブでトップチームのコーチを務め、2025年末に退団。その後はフリーの立場で解説業や若年層の指導に携わっていた。森保一監督がその招聘を強く熱望し、JFAとして水面下で交渉を続けてきた結果、今回の就任が実現したという。
森保監督が欧州で直接口説き落とす
「就任の経緯について、山本昌邦ナショナルダイレクターによると森保監督は中村氏が横浜FCを離れると聞いた時から何か手伝ってもらいたいという思いを話していたと明かしています。3月末の英国遠征後、現地で直直接熱意を伝えて口説き落とし、悩んだ末の決断だったようですね」(スポーツ紙記者、以下同)
中村氏自身は「本大会を目前に控えた重要な時期に自身が加わることによる影響について慎重に考えましたが、森保監督から熱く力強いお言葉をいただき、お引き受けする決意をいたしました」とコメント。「世界で戦う日本代表選手たちと志を同じにし、チームが掲げる目標の達成に貢献できるよう努めてまいります」と意気込みを語っている。
サッカーファンからも《久保や堂安あたりに世界最高峰のテクニックを教え込んでほしいね》《やはりW杯を経験してるというのが大きいと思う》《絶対日本代表にとってプラスになると思う》と期待の声で溢れている。
「セットプレー強化」だけではない本当の狙い
中村氏の就任に際し、多くのメディアやサッカーファンから「セットプレー強化」や「フリーキック指導」への期待を強調している。確かに、現役時代に「黄金の左足」と称された中村氏のキック精度は世界級であり、Jリーグ史上初めて2度のMVPを獲得した実績を持つ。しかし、代表コーチの役割はそれだけに留まらない。
現在の森保ジャパンのコーチ陣は、名波浩コーチと前田遼一コーチが主に攻撃面を、齊藤俊秀コーチと長谷部誠コーチが主に守備面を担当する布陣となっている。前田コーチがセットプレーを担当しているとの報道もある中、中村氏に求められる役割は「攻撃のアイデアの注入」という側面が大きいと見られる。
「FKが注目されがちな中村選手ですが、試合のどこにスペースが生まれるのか、相手の守備がどこで乱れるのか、味方をどう動かせば局面が前進するのかなどを含めた戦術理解に秀でていました。止まったボールだけでなく、流れの中でもゲームを設計できる選手だったからこそ、長く高いレベルで評価されてきたのではないでしょうか」
3月の英国遠征では、中村氏は解説者として現地を訪れていたが、選手の方から歩み寄ってくる場面が見られたという。「レジェンド」としての存在感は、ピッチ外でのコミュニケーションにおいても大きな武器となる可能性がある。
今回の人事には、JFA側の長期的な思惑も見え隠れする。山本NDは「我々サイドとしても、5年、10年先の代表チームを託せるような人材の有力な候補の一人であると考えています」と発言。
W杯北中米大会の開幕まで残り約2カ月。中村氏は5月の代表活動から本格的にチームに合流する予定となっている。「世界一」を目標に掲げる森保ジャパンにとって、この異例のタイミングでの人事が吉と出るかーー。
