イタリアンファミレスチェーン「サイゼリヤ」が、「原料の供給不足」を理由に、チキン料理2品の販売休止を発表してから1か月あまり。4月27日までに多くの店舗で販売が再開されたというが、いまだ波紋が広がっている。
サイゼにも直撃の「チキンショック」
「今回、提供がストップしたのは『若鶏のディアボラ風』と『柔らかチキンのチーズ焼き』はいずれもボリューミーなチキンステーキで、数あるメニューの中でも人気がありました。SNSではショックや悲しみの声が多く投稿され、まさに“チキンショック”といえる事態でした」(グルメ誌ライター)
この状況について、フードジャーナリストの山路力也さんは、こう分析する。
「中東情勢の緊張はエネルギー価格に直結しているのです。まず、原油価格の上昇が海上輸送コストを押し上げますし、航路にリスクが生じれば輸送日数が大幅に延び、さらにコストがかかります。また、輸送遅延は供給量そのものも不安定にさせるので、ブラジルやタイなどからの鶏肉輸入の依存度が高い日本にとって、大きな打撃となるのです。
外食チェーンは“安定供給”と“価格の一貫性”を重要視していますが、どちらかが崩れた時点でメニューの維持は難しくなる。今回のサイゼリヤの判断は、品質と価格を守るための現実的な経営判断といえるでしょう」
今後、“特定の食材が使えなくなる”という事態は日常に広がっていくのだろうか。
「ファミレスに限らず、外食チェーン全体、さらにはスーパーやコンビニでも、今後十分に起こりうるでしょう。というのも、外食産業や小売産業は長年“高品質・低価格”を打ち出してきましたが、それは“安定した輸入食材の供給”“低い物流コスト”という前提の上に成り立っていたのです。その両方が同時に崩れつつある今、企業側は対策を講じていかなければなりません」(山路さん、以下同)
オイルに大豆や小麦粉も
今後のサービスの在り方についても聞くと、
「“全品均一・全国どこでも同じメニュー”という、従来の外食モデルから、“地産食材の活用”“メニュー数の絞り込みによる品質集中”“価格帯の見直し”などへのシフトが加速していくでしょう。価格の面でいうと、低価格維持の限界については業界全体がすでに認識しています。膨らむコストをどのように調整していくのか……。企業側の課題になるといえます」
“食の海外依存”が招く危うさを無視できない中、私たちはどのように行動すればいいのだろうか。
「鶏肉は家庭でも重宝される食材ですが、これにとどまらず、輸入依存が極めて高い調味料や加工食品の原料へも波及する可能性があります。具体的には、オリーブオイルや大豆、小麦粉などが挙げられます。家庭での対策として大切なのは、まず、鶏肉が高騰したら魚に切り替えるといった“代替可能性”を意識することですね。
特定の食材に依存せず、複数の選択肢に基づく食卓づくりを実践していくとよいでしょう。また、国産や地産地消を意識した購買行動も、国内産業の維持や押し上げにつながります」
遠い場所での出来事から日々の食卓を守るため、身近なことから始めていきたい。
