アメリカとイスラエルによるイラン攻撃からまもなく2か月。中東情勢の悪化により、石油を原料とするナフサの供給不安は日に日に深刻さを増している。
命の危機《#透析が止まる日》
「ナフサはプラスチックや合成樹脂の原料になるため、レジ袋といった日用品から、住宅設備や自動車部品まで幅広い用途で利用されています。
医療の分野でも、注射器や点滴バッグといった素材の多くはナフサ由来のため、日常的な治療が必要な人たちからは心配する声が上がっています」(全国紙記者、以下同)
とりわけ深刻視されているのが人工透析を受けている患者への影響だ。
「透析治療は、機能が低下した腎臓の代わりに老廃物と余分な水分を身体から除去するもので、週に数回、定期的に行う必要があります。国内のナフサの供給が滞れば、全国におよそ34万人いるとされる透析患者たちの命が危険にさらされるおそれもあります」
SNS上では《#透析が止まる日》というハッシュタグと併せて、
《透析患者たちを切り捨てないでほしい》
《私の家族は透析で命をつないでいます》
と、当事者たちの不安の声が広がっている。
現在の状況を実際の透析患者はどのように受け止めているのか。長年、透析治療を受けている芸人のグレート義太夫に話を聞いた。
こっちは一生治療を続けなくてはいけない
「人工透析は命に直結することですからね……。ナフサ不足で、これまでのような定期的な治療が受けられなくなるかも……という恐怖は常に抱えています」
義太夫は'83年にビートたけしに弟子入りして「たけし軍団」のメンバーとして活躍。しかし、不摂生な生活がたたって'95年に36歳で糖尿病と診断。その後も症状は進行し、48歳のときに糖尿病性腎症による腎不全を発症。人工透析を受けることになった。
「糖尿病の怖いところは自覚症状がないところ。自分はテレビ番組のMCとしてタイトルコールを行った瞬間に気を失って、そのまま病院へ運ばれました。入院先で自分の血液中の老廃物であるクレアチニン値は正常値の10倍という危険な状態であることがわかり、その日から透析治療を受けることになりました」(義太夫、以下同)
現在は週3回病院に通い、1回4時間ほどかかる人工透析を受けて命をつないでいるという。情報が交錯するナフサ不足の報道に対しては次のように語る。
「政府は“4か月分のナフサは確保している”と発表していましたが、こっちは一生治療を続けなくてはいけませんから、何の慰めにもなりません。
東日本大震災のときは東北のクリニックが軒並み閉鎖して、あちらの患者さんが東京に転院せざるを得なかったことがありました。それで自分が透析で通っている病院がフル稼働状態になったんです。不測の事態で普段どおりの治療が受けられなくなることは十分にあり得ることです」
不自由な生活の中でも、前を向くことに努めている。
「同じ病気を抱えるタレントの相談に乗ったり、講演会で病気との向き合い方を伝えたりと、できることを続けています。透析治療中もベッドの上でネタを作ったり、時間を有意義に使うようにしています。せっかく生かされている命ですから、頑張って生き続けたいですよ」
“令和のオイルショック”ともいわれる一大事。一刻も早く事態が収束するのを願うばかり─。
