もういらないと思われている行事は?(写真はイメージです)

 クリスマスにバレンタイン、ハロウィン……。日本は世界中のイベントをのみ込む「お祭り大好き大国」ですが、最近の盛り上げムードに、正直「ついていけない」と感じたことはありませんか。お菓子メーカーや小売店が仕掛ける新しい行事や、昔から続く義務感たっぷりの伝統行事。「経済効果」や「映え」の裏側で、私たちの財布と体力は悲鳴を上げているかも……。みんなが辟易している行事のナンバーワンとは? 大調査!!

 春はお花見、端午の節句、夏なら七夕や夏祭り……などなど、日本には年間を通してさまざまな行事やイベントが存在する。中には、いつの間にか日本で定着した海外の行事、イベントも少なくない。

「いろいろなお酒がある中で『ボジョレーヌーボー』の解禁日だけが盛り上がっているのが、ずっと気になっていました。なんだかボジョレーを飲むことを強要されているような気がして苦手です」

 そう話すのは、コラムニストの辛酸なめ子さん。サントリーの公式HPによると、ワイン業者の早出し競争による品質の低下を防ぐ目的で解禁日が設けられたそう。事情もあるものの、辛酸さんが言うように「そんなにもてはやす必要ある?」と疑問を抱く行事やイベントがあるのも事実。

 そこで今回は、昭和生まれと平成生まれのそれぞれに「もういらない行事」に関するアンケートを実施。昭和生まれの回答を中心にランキング形式で発表する。

昔はこんな行事ではなかったような

 昭和生まれの同率9位にランクインしたのは「クリスマス」「節分」「初詣」「文化の日」の4つ。

 キリストの誕生を祝うクリスマスには、昭和生まれから「キリスト教徒が静かに祝うのであればよいが、一般人としては不要」(千葉県・57歳・男性)などの宗教的な観点からの不要論が多数。10位となった平成生まれからは「カロリーが高いものばかり食べなくてはならない雰囲気が苦手」(千葉県・29歳・女性)という声も。たしかに、丸鶏のローストやフライドチキン、クリスマスケーキなど、かなりハイカロリーなレパートリーだ。

「節分」は「恵方巻きを煽りすぎ。子どものころ、恵方巻きを食べるなんて習慣はなかったように思う」(東京都・68歳・男性)、平成生まれからも「恵方巻きを食べる文化がフードロスになるのでいらない」(宮崎県・35歳・男性)と、やはり昨今の「恵方巻きの廃棄問題」が影響しているもよう。

「初詣」「神社の長い階段に人がたくさん並んでいるのを見ると、事故が起きないかと怖くなります。足元もおぼつかなくなり、危ない環境の中お参りに行く意味がわかりません」(福岡県・67歳・女性)と、年齢ならではの危機感を感じる人も。

「文化の日」は「どんな文化的活動をしたら良いのかわからないから」(兵庫県・49歳・男性)、「祝日としては残ってほしいがそもそも行事というイメージすらない」(愛知県・45歳・男性)という、印象の薄さを指摘する声が聞こえた。

時代にマッチしない行事

 続く昭和生まれの8位、平成生まれの6位は「成人の日」。「成人年齢が20歳から18歳に引き下げられても、20歳で成人式をしているので成人の日の意味が行方不明になっている」(和歌山県・53歳・女性)、「成人年齢も変わったので、各自で祝えばいいと思う」(東京都・33歳・男性)など、成人年齢の引き下げが混乱を招いている現状に、昭和・平成双方から存在意義を問われている。辛酸さんも同意しつつも「人生において重要な日だと思っている人もいそう」と話す。

派手さが話題になる成人式(写真はイメージです)

「例えば、集団でド派手な衣装を着る人たちにとっては一世一代の晴れ舞台なのかも。『この伝統をオレたちの代で途絶えさせるわけにはいかない!』という気合を感じるので、個人的には続けてほしいですね」(辛酸さん、以下同)

 一時は激しく批判された北九州の成人式も、今では海外メディアが取材に来るなど“観光資源”になりつつある。伝統の継承者がいる限り、成人式は続きそうだ。

 平成生まれの6位には「元日」がランクイン。「親戚付き合いが面倒」(大阪府・31歳・女性)、「サービス業のため、いつもより忙しく疲れるし必要性を感じません。世間は寝正月といわれますが、まったく睡眠も取れません」(茨城県・30歳・女性)と、この日を謳歌できない人たちもいるという社会の構造が見て取れた。

 昭和生まれの7位は「いらない行事・イベントはない」という意見。「季節を彩るイベントはあるに越したことはなく、一人ひとりが選んで楽しめばよい」(神奈川県・82歳・男性)などの声をはじめ「学校や介護施設では生活の節目になるので、どれもあっていい」(和歌山県・62歳・男性)という意見が寄せられた。行事やイベントには、季節を告げる役割もあるのだ。

 昭和生まれの6位は「敬老の日」。'66年から国民の祝日となり「長年社会に貢献してきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」とされている。辛酸さんは、敬老の日が昭和生まれの中で不人気な理由を次のように分析する。

「現代は、若々しい高齢者も多く、何歳からお年寄りなのか、という話題もナーバスになっていますよね。祝日なので、なくなることはないと思いますが、時代にマッチしなくなっている印象です」

 アンケートでも「超高齢社会の今は70代や80代でも元気で生き生きしている人も多いので、以前のようなお年寄りのイメージがない。敬うのはよいことなので、年齢に関係なく誰かを敬う気持ちを持つ日に変えてほしい」(神奈川県・63歳・女性)などの声も寄せられている。

恋愛と絡めない行事になりつつある!?

 昭和・平成ともに5位にランクインしたのは「ホワイトデー」

 2月14日のバレンタインデーにもらったチョコレートやギフトのお返しを渡す日とされている。バレンタインデーは中世ヨーロッパに起源があるが、ホワイトデーは日本の菓子メーカーが仕掛けた独自イベントだ。

 アンケート回答を見ると「義理チョコへのお返しは面倒。バレンタインデーは感謝を伝える日としてあってもいいが、女性側としてもお返しはいらない」(北海道・83歳・女性)や「夫が親しくもない女性からもらった義理チョコに倍以上のお返しをする意味がわからない」(愛知県・56歳・女性)といった、女性の声がチラホラ。

 夫が会社でもらってきた“義理チョコ”へのお返しを買うことへの恨み節とも取れる。また、平成生まれも同様に「お返しが面倒くさい」(北海道・20歳・女性)や「お返しの義理キャンディーは不要」(埼玉県・36歳・女性)など、受け取る側の女性からも“いらない”という声が多数。バレンタインデーに比べて盛り上がりに欠けるので、消滅する日も近い?

 そんなホワイトデーと縁深い「バレンタインデー」は同じく4位にランクイン。昭和生まれからは「チョコレートメーカーが仕掛けた悪しき行事。男の私にとってはお返しで余分な出費があるので大迷惑」(東京都・75歳・男性)、「昔、職場の女性から義理チョコを頂いたが、お返しが大変」(北海道・69歳・男性)など受け取るよりも“お返し”に対する拒否感が強く表れる結果に。

 平成生まれも同じく4位に入り、お返しが大変などの声も多い一方で「自分は非モテ男子なため、チョコを母からしかもらったことがないから」(東京都・36歳・男性)など、青春時代に味わった苦渋を感じさせるコメントも目立った。

恋愛と結びつけられるバレンタインデー(写真はイメージです)

 辛酸さんは「なんでも恋愛と紐づけるのはいかがなものか」と持論を展開する。

「今も百貨店のバレンタインフェアは大盛況で、人気は衰えていません。ただ、購入者は“自分へのご褒美”として高級チョコを買っている人が多いとか。

 有名パティシエがフェアに来店しているのを偶然見かけたのですが、彼にサインを求めている女性もいたので、推し活として楽しんでいる人もいるようです。消費者側は“愛を伝える日”という認識が薄れているので、シンプルにチョコレートを楽しむ日としたほうが、男女ともに幸せになれるかもしれませんね」

 いよいよトップ3の発表。昭和生まれの3位、平成生まれの2位にランクインしたのは「エイプリルフール」だ。由来は諸説あるが「ウソをついてもいい日」とされている風習のひとつ。

 昭和生まれからは「昔はウソをついてビックリさせるのが面白かったが、今はやらなくなった」(広島県・48歳・男性)、「昔は友達が驚くような大きなデマを言って、後から『ウソだよーん、エイプリルフールだよーん』と言ってからかって楽しんでいたが、最近は忘れ去られているようなので、もうやめたほうがいい」(東京都・60歳・男性)とのコメントが多く見られた。

 平成生まれは「『この日なら何でもウソをついていい』なんて、子どもの教育上よくないと思う」(茨城県・30歳・女性)という子育て世代からの意見や「今は、SNSで企業がこぞって競い合っているようで食傷ぎみ。ネット上のデマと見分けがつきにくい時代だし、わざわざウソをついてまで盛り上がる必要性を感じない」(静岡県・27歳・男性)との声も。SNSで繰り広げられる企業のエイプリルフール合戦に飽きてしまった人も少なくないようだ。

騒々しさが話題のイベントはやはり

 昭和生まれの2位、平成生まれの3位に入ったのは「ハロウィン」。もともとは欧州の子ども向けの行事だが、日本では'00年代後半から渋谷で仮装した大人たちが街を練り歩くハロウィンが大流行。トラブルが多発し、負の社会現象となった。

 コメントでも「若者のコスプレイベントでしかなく、本来の意味がわかっていなさそう」(群馬県・57歳・男性)、「もともと日本にはない風習であり、素行が悪い人たちが他人に迷惑をかけているので不要」(山形県・23歳・男性)、「街中が混むし、警察まで出動して税金がもったいない。ゴミだらけになるし痴漢や窃盗の犯罪行為も横行し、いいことがない」(大阪府・28歳・女性)など、和製ハロウィンには厳しい視線が送られた。

'22年10月のハロウィンの模様。毎年渋谷駅前にはコスプレした者や見物客でごった返す

 嫌われもののハロウィンを抑えて昭和・平成ともに1位となったのが「イースター(復活祭)」だ。キリストが十字架にかけられ、処刑された日から3日目に復活したことを祝う祭事であり、キリスト教の人々にとっては重要な日だが、日本での認知度はイマイチだ。

「どういうイベントなのかわからないのでいらない」(兵庫県・53歳・女性)、「周囲ではあまり浸透していないし、結局どこが盛り上げているのかもわからない」(福岡県・37歳・男性)と、世代問わず疑問の声が多数。

 中には「宗派の違う人まで商業主義の標的にされている気がする」(京都府・74歳・男性)や「イースターで何かした経験はないし、街でイースター関連のお菓子を販売しているのを見ると違和感がある」(兵庫県・34歳・女性)など、そこはかとなく漂うビジネスの香りに拒否感を示すコメントが多くを占めた。

「私も個人的にはまったくなじみのない行事です。違う宗派の人にとっては『3月〜4月の春分後、満月直後の日曜日』という日程を覚えるのもかなり難しいですよね。日本人は節操がないといわれますが、そんな日本でもイースターは浸透せずに終わりそう。

 同じ時季に行事をするなら、お釈迦様の誕生を祝う『花祭り(灌仏会)』に盛り上がってほしいところです。やはり、仏教や神事など日本と関わりが深い伝統行事を大切にしたいです」

 この機会に、日本の行事について学んでみると新たな発見があるかもしれない。

辛酸なめ子 1974年東京生まれ。漫画家、イラストレーター、コラムニストとして活躍。興味対象はセレブ、芸能人、精神世界、開運、風変わりなイベントなど。鋭い観察眼と妄想力で女の煩悩を全方位に網羅する画文で人気を博す。近著『世界はハラスメントでできている』(光文社新書)など著書多数

取材・文/とみたまゆり