侍ジャパンではリリーフを務める種市篤暉

 パ・リーグ最下位(4月27日時点)に落ち込む千葉ロッテマリーンズのファンにとって、追い打ちをかけるような痛いニュースだ。4月26日、エースの種市篤暉投手(27)が左アキレス腱断裂の大怪我を負ったことが発表された。

 前日の福岡ソフトバンクホークス戦(4月25日)に先発すると初回、ツーアウト後に一塁側へのファウルに反応して打球を追った際に転倒。1度は起き上がって片足でケンケンしながら一塁方向に進むも、再び倒れ込んで苦悶の表情を浮かべた種市。担架で運ばれて降板すると、そのまま病院に搬送された。

 診断結果は左アキレス腱断裂。種市の今後を聞かれて、「断裂なので、普通に考えたら難しい」と今季の復帰は絶望との見解を述べたサブロー監督(49)。本人からは「すみません」と謝られたことを明かした指揮官は、「全然謝らなくていい。しょうがない」と声をかけたという。

 まだまだシーズンは序盤戦で首位まで5.5ゲーム差と、巻き返しをねらうチームにおいて“合流”したばかりのエースが離脱。指揮官も口には出さないが、思っていることはXで項垂れるファンと同じなのかもしれない。

《やっぱりWBCの代償は大きかった》

 3月に開催された『ワールド・ベースボール・クラシック2026(以下WBC)』で、激戦を繰り広げた日本代表チーム「侍ジャパン」。特に普段は先発投手ながら、チーム状況から慣れないリリーフに回されながらも大車輪の活躍を見せたのが種市だ。

WBC戦士が相次いで故障離脱

 ところがWBC敗退後にロッテと合流するも、右肩のコンディション不良を訴えてプロ野球開幕には間に合わず、以後は慎重に調整を進めていた種市。4月17日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦でようやく初登板に漕ぎ着けると、7回無失点と圧巻投球を見せたものの身体への負担は大きかったのか、2戦目でまさかの故障となった。

 ネット上ではやはりと言うべきか、「WBCの代償、影響」と勘繰る声も大きい。というのも種市以外にも、横浜DeNAベイスターズの牧秀悟選手(28)が4月24日の読売ジャイアンツ戦で、内野安打で一塁を駆け抜けた際に苦悶の表情を浮かべた。右ハムストリング(太もも裏の筋肉)を痛め、翌25日に登録抹消。

 また4月9日、ロッテ戦に登板したオリックスバファローズのエース左腕・宮城大弥投手(24)が、6回途中で左肘の違和感を訴えて降板。左肘内側側副靱帯損傷と診断されて長期離脱が決定的となり、さらに手術を受ける場合はシーズン内の復帰は絶望的だ。

種市篤暉が投稿した侍ジャパンメンバーによる決起集会(公式インスタグラムより)

 WBCも取材したスポーツライターは、「全体的に故障者が多い印象のシーズンです。もちろん偶然とも言えるのですが」と前置きしつつ、

「侍ジャパンの宮崎合宿直前にも、阪神タイガースの石井大智投手(28)が左アキレス腱を断裂する大怪我を負いました。石井投手もメンバーに選出されていたことで、例年よりも前倒しでコンディション調整をしていたようです。一方でWBCに出場しなかった選手に目を向けると、ファンが“そう”勘繰るのも無理はないのかなと」

 例えば、間違いなくオファーを受けていたであろうシカゴ・カブスの今永昇太投手(32)。メジャーリーグ開幕から6試合に投げて2勝2敗、防御率3.15とローテーション投手として安定した投球を見せている。

 また怪我のために代表辞退した埼玉西武ライオンズの平良海馬投手(26)も、開幕から5試合に投げて2勝。12球団最多の37イニングを投げて、防御率0.49と驚異的な活躍を見せている。両名とも結果を見れば「辞退」が功を奏したようにも映る。

WBC今大会への不満も影響か

「WBCでは打者専念した大谷翔平投手(31、ロサンゼルス・ドジャース)も、投手としては4試合で2勝、防御率0.38と無双状態。打撃は復調傾向にありますが、開幕後は調子を落としていたことから、やはり大会によって“ズレ”が生じていたとも考えられます」(前出・スポーツライター、以下同)

 また前倒し調整やタイトな試合スケジュールに加えて、決勝トーナメント開催地であるアメリカ・マイアミまでのフライトもあった。この長時間の移動は思いのほか心身に負担とストレスがかかるそうで、特に復路もあった国内組には“足枷”になっていた可能性もある。

「ファン心理としても、視聴は地上波中継ではなくネットフリックスによる有料配信だったこと、またWBC史上ワーストとなるベスト8と、全体的に消化不良に思えた大会だっただけに余計に不満を増長させ、“WBCのせい”と責任転嫁されたように思います。

 負ければ“戦犯”扱いされかねない、誹謗中傷されかねない中で責任とプレッシャーを背負い、また大怪我のリスクも孕む国際大会。自チームを応援する12球団のファン、そしてチームを勝たせることが仕事の監督からしてみれば正直、“次回は辞退してくれ”と願ったとしても無理はありませんよ」

 昨年オフの契約更改で、将来的なメジャー挑戦を初めて口にした種市。そのキャリア設計も、今回の怪我で大きく狂ってしまったのかもしれない。