4月17日、穏やかな天気の中、東京の赤坂御苑で「春の園遊会」が開催された。
「園遊会は天皇、皇后両陛下が各界の功労者などを招待し、言葉を交わされる伝統ある行事です。5回目の出席となる愛子さまは、春らしい淡いラベンダーのセットアップをお召しになり、招待客との会話に花を咲かせていました」(皇室担当記者、以下同)
国民の関心は愛子天皇にある
そんな華やかな行事の裏では、愛子さまの人生にも関わる重大な協議が始まっていた。
「15日から、与野党の代表者による皇族数確保の在り方に関する協議が始まりました。有識者会議の報告書では、『女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ案』を第1案、『旧宮家の男系男子の子孫を養子として皇族に迎える案』を第2案としています」
自民党の麻生太郎副総裁は20日、皇室典範改正を求める集会で「これ以上先送りすることが許されない課題だ」と、長年続いてきた議論に終止符を打つ覚悟をにじませた。
「麻生氏は、歴史上8人いる女性天皇について“天皇または皇太子を夫としていたか、生涯独身であったかのいずれであったかという事実を忘れてはならない”と述べ、暗に女性天皇の即位を否定する形で言及しました。今回の協議では継承問題には触れない方針ですが、国民の関心はやはりそこにあります」
秋篠宮さまはジェンダー平等を尊重されている
皇室典範、とりわけ“皇位継承”に関わる項目の改正を提言する、國學院大學講師で皇室研究者の高森明勅さんは次のように断言する。
「第一条の男系男子の限定を削除し、性別に関係なく直系の長子が継承すること。側室制度を廃止した現行制度のもとでは、男系継承を基盤にした皇室制度の維持は、もはや困難です。制度を適正化し、愛子さまが天皇になられることこそが、皇室の“あるべき姿”といえます」
愛子天皇を望む声は国民からだけではないという。
「秋篠宮さまも“直系優先”に賛成していらっしゃるとしか考えられません。殿下は冷静に未来を見据える姿勢をお持ちですから、現行制度が抱える構造的な欠陥に気づいていらっしゃるはずです」(高森さん、以下同)
現在、皇位継承順位第1位の秋篠宮さま。しかし、傍系であるご自身は本来継承する立場にない、とお考えだと高森さんは推測する。
「継承順位第1位の方は天皇ご一家と同じ『内廷』に入られるのが通例ですが、殿下は『秋篠宮』という宮号を残すことを望まれました。これは内廷皇族ではなく『傍系』であることの表示です。さらに『皇太弟』という称号を辞退し、『皇嗣』を選ばれた点も重要です。皇嗣とは、その時点で継承順位第1位という暫定的な立場を意味します。わかりやすく仮定の話をすると、両陛下に男子が誕生すれば、その瞬間に秋篠宮さまは皇嗣ではなくなる。ご自身を常に“暫定”の立場に置かれているのです」
また、秋篠宮さまが重視される“哲学”も見逃せない。
「秋篠宮さまはジェンダー平等を尊重されています。皇嗣職の発足時、男性は侍従、女性は女官と分けていた呼称を廃止し、一括で『宮務官』と改称する大改革を行いました。前例踏襲を重んじる宮内庁でこのような変化が起きたのは、ご本人の強い意志があったからでしょう。ご自身の姪でもある愛子さまという直系がいるにもかかわらず、性別のみを理由に排除することを、殿下が受け入れられているとは考えにくいのです」
陛下も「愛子さまに皇室に残ってほしい」と思われている
現行の皇室典範では、いずれ悠仁さまが皇位を継承されることになるが、ここにも違和感があるという。
「上皇さまは、天皇陛下への帝王学について明確な考えをお持ちでした。一方で秋篠宮さまは、記者会見で悠仁さまの教育について“姉たちと同じように”と答え、将来天皇にならない方々と同様の教育方針を示されています。こうした点からも、悠仁さまよりも、直系である愛子さまを優先すべきと感じられているように見受けられます」
天皇陛下は、どのような思いで協議を見守られているのか。今年のお誕生日会見では、《私達はやはり愛子にも一人の人間として、そしてまた一人の皇族として立派に育ってほしいというふうに思って、今まで育ててきたつもりです》と述べられた。この会見に、高森さん自身も驚いたという。
「愛子さまに皇室に残ってほしいという願いが、ひしひしと伝わってきました。陛下は愛子さまのお気持ちを無視して発言されるような方ではありません。一部には“急な継承議論は負担になる”とする声もありますが、悠仁さまが誕生される以前、直系継承が検討されていた愛子さまにとって決して想定外ではないはずです。どのような立場になられても揺るがぬよう、陛下が慈しみをもって教育されてきたことは、今の愛子さまのお姿が証明しています」
ご本人の胸中は推測するしかない現状の中、23日、宮内庁の黒田武一郎長官は皇室典範について口を開いた。
「長官は“何らかの制度改正がされた場合は、皇室の方々のお気持ちを十分に踏まえながらできる限り対応をしていく”とコメントしました。今回の協議は“皇族数”に関するものですが、あえて“皇室”という言葉が使われました。一般的に皇族に天皇陛下は含まれませんが、皇室には陛下が含まれます。この使い分けの意味は非常に大きい」(前出・皇室担当記者)
異例ともいえるこの発言に対し、とある宮内庁関係者はこう語る。
「今回の発言は、一連の皇室典範改正議論に対する宮内庁からの“牽制”ともいえます。本来、長官が政治的な議論に踏み込むことはありません。ある程度、陛下に打診したうえでの発言なのでしょう。あえて“お気持ち”という言葉を出したのは、決定後に聞くのでは遅すぎるというメッセージ。まずは当事者である皇室の方々に意思を確認してほしいという、必死の訴えではないでしょうか」
皇室の未来を左右する協議はどこにたどり着くのか。国民一人ひとりが、この歴史的な議論の行方を見守っている。
高森明勅 國學院大學講師。神道学や日本古代史を専攻し、『天皇「生前退位」の真実』『「女性天皇」の成立』(共に幻冬舎新書)など著書多数
