5月10日に初日を迎える大相撲夏場所。今場所は横綱・大の里(25=二所ノ関)と、大関・安青錦(22=安治川)が揃って休場という、衝撃のニュースが飛び込んできた。彼らを目的にチケットを購入していたファンは「すごく楽しみにしていたのに残念…。でも無理はしないでほしい」と肩を落とす。
大関・安青錦ははじめての休場
しかし、今回の休場にファンが抱いているのは「悲しみ」だけではない。「巡業の詰め込みすぎが原因じゃないの?」「ブラック巡業のせいだろ」とSNS上では、日本相撲協会の“興行優先”ともとれる姿勢に批判が噴出しているのだ。
「春場所が終わってから夏場所までの間、休みなく地方巡業が組まれています。3月30日の伊勢神宮奉納大相撲を皮切りに始まった春巡業は、まさに殺人的スケジュールで、ほぼ毎日開催されていました。 巡業がない日はほぼ移動日なので完全休みはゼロに近いですね。
大の里は左肩の爆弾を抱えたまま、安青錦も満身創痍の状態で土俵に立ち続けてましたが途中離脱。ファンサービスは大事ですが、看板力士が本場所で不在になる本末転倒な事態に“もっと力士のことを考えて”という厳しい声が上がっています」(相撲ライター)
大の里は左肩腱板損傷の診断書を協会に提出。昨年の九州場所で左肩を痛め千秋楽を休場。今年の初場所は10勝止まりで、春場所は初日から3連敗を喫し途中休場していた。一方、安青錦の休場は初めてのことだ。
「安青錦は稽古で左足首を負傷し、師匠曰く“歩くのが精一杯”の状態のようです。昨年の九州で初優勝して大関に昇進し、初場所で2連覇を成し遂げ、綱取りに挑んだ春場所で左足の小指を痛め初めての負け越し。カド番として迎える夏場所の休場が発表され、大関陥落の危機にあります。途中出場も検討しているとのことですが、無理はしない方がいいかと……」(前出)
大関に昇進しても2場所連続で負け越し(休場含む)てしまうと、大関の地位から落ちることになる(ただし翌場所で10勝以上すれば大関に返り咲くことができる)。
熱海富士、朝乃山、若隆景に期待
そんな暗雲立ち込める国技館で、唯一の希望として期待を背負うのが、新関脇の熱海富士(23=伊勢ヶ濱部屋)だ。
「“あたみん”の愛称で親しまれ、強さと可愛さを両立する力士です。186cm、190kgという丸々とした体格がまさに絵に描いたような“おすもうさん”。女性ファッション誌にも登場し、真っ白なマシュマロ肌も人気のようです。初場所で両横綱を破り金星2つを獲得、春場所は新小結で勝ち越し、今場所は新関脇として挑みます」(前出)
一方、ひとり横綱として重圧を背負う豊昇龍(26=立浪)や、“サラブレッド大関”琴櫻(28=佐渡ケ嶽)も、ここで意地を見せなければならない。
さらに過酷な状況を知るファンが見守りたいのが、“苦労人”の朝乃山(32=高砂)と若隆景(31=荒汐)の2人だろう。
「朝乃山は次代の横綱と目されていた2021年、コロナ禍の外出禁止規定に違反し協会から6場所の出場停止という極めて重い処分を受け、大関から三段目に転落しました。その後、不屈の精神で幕内に戻るも怪我との戦いが続いています。それでも再び上位を狙う地位まで戻ってきたのです。
各界一の肉体美を誇ると言われている元関脇の若隆景は、優勝争いの常連でしたが23年に右膝の前十字靭帯断裂という、力士生命を揺るがす大けがを負いました。手術を受け、長期休場し関取以下である幕下まで陥落。そこから奇跡の復活を経て今場所は小結まで返り咲いたんです」
10日に初日を迎える大相撲夏場所。大の里と安青錦の休場は残念だが、熱海富士の活躍、朝乃山、若隆景の復活劇にも注目したい。
