4月、食品だけで2798品目が値上げ。物価の優等生の卵も全国平均で史上最高値に。収入は変わらないがモノやサービスは高い。“これまで”から生活スタイルを変える人も。「この物価高であなたがやめたものは?」1000人の回答と、その後の生活の変化。物価高は人々の何を奪い、何をもたらした?
男女1000人アンケートの結果
連日“値上げ”に関する報道が。物価高はまだまだ続きそうだ。10代から80代の男女1000人に聞いた、「この物価高であなたがやめたものは何?」(「やめた」は「頻度を下げた」も含む)。回答からは、家計を守るため手放したもの、そのことで得たもの・失ったものが浮かび上がった。
■10位 美容院の頻度
“生”のために“美”はもっとも手っ取り早く引き換えにできるものかもしれない。
「美容院は私の自己満足なので、その分を子どものおやつやお小遣いに充てている。やめる前はストレス発散できたが、やめたあとはストレスがたまる」(44歳・女性)、「いちばん我慢できると思ったから。生活の変化としては、身だしなみが整ってないことが増えて悲しい」(49歳・女性)。
節約できた金額以上に、自尊心や気持ちのハリを削られている女性の声が多々。
■9位 電気・ガスの使用
エアコンの温度設定を一考。厚着で過ごす。作り置きで光熱費を抑える、などなど。
「365日、朝昼晩ずっと使用するので、意識すれば必ず節約になる」(66歳・男性)、「暖房の温度を少し下げて厚着をするようになった」(84歳・男性)。
一方で
「節約になればと思ったが、期待ほどではなかった」(59歳・男性)
という声も。体調・健康に直結する部分なので、身体とよく相談したい。
■8位 ペットボトル飲料
購入を控え、マイボトル派に切り替えた人が多数。
「マイボトルを持ち歩くようになった。お金も減らないし、エコだと思う」(56歳・女性)、「買ったつもり貯金で毎回50円だけでもしていると意外と楽しい」(52歳・女性)、「ペットボトルの麦茶を買っていたが、高くなったしゴミも増えるので沸かすようにしたら気が楽になった」(51歳・女性)。
節約とエコの両立で満足度は高い。
やめたことによるプラス面を語る人はゼロの項目
■7位 旅行
近場で済ませる、回数を減らす、海外をやめて国内に。
「長期の休みで旅行に行くことがあったが、物価高でやめた。家の掃除をしたり、近場に買い物に行ったりするように」(35歳・女性)。
だが、失ったものも大きい。
「生活に必要ではないと思って旅行を減らしたが息抜きがしづらくなった」(55歳・男性)、「ずっと日本にいるので気分が腐る」(58歳・男性)。
旅行をやめたことによるプラス面を語る人はゼロ。
■6位 飲み会・会食
“飲みニケーション”が物価高で淘汰されつつある。
「コスパが悪すぎる」(27歳・男性)、「飲むのは好きだけど惰性で参加していたところもあった。出費が抑えられるようになった」(30歳・男性)、「人間関係のわずらわしさが減った」(43歳・男性)。
飲み会の減少で職場の付き合いが減少。それは“損失”ではなく“解放”か……。
■5位 お菓子・スナック類
間食の見直し。チリツモな節約がもたらしたものは。
「お菓子を食べなくても死なない。ダイエットになった」(54歳・女性)、「やめてから肌がきれいになったと思う」(18歳・女性)、「お菓子の値上がりがひどいので。3食が美味しく食べられるようになった」(61歳・男性)。
“お菓子をやめてよかった”という声は、10代からシニア層まで意外にも広い世代で。
■4位 カフェ・喫茶店
水分補給ではなく、嗜好品の面が強く……。
「家でインスタントコーヒーを飲むことで十分満足できる」(77歳・男性)、「カフェのコーヒーをやめ、自宅で飲むようにしたらお小遣いが増えた」(52歳・女性)、「カフェラテなども安くない。最近はいちばん安いブラックコーヒーのみ」(18歳・女性)。
■3位 コンビニでの買い物
その名のとおりコンビニエンス(便利)だが……。
「コンビニは高い。ドラッグストアで買うほうが多くなった」(59歳・男性)、「スーパーで問題なく調達できるなと思ったから、今後コンビニで買い物することはなさそう」(48歳・女性)、「お弁当をやめました。価格が上がり、サイズも小さくなり、それだけでなく容器が上げ底だったり……。あまりにもふざけているのでやめました」(52歳・女性)。
ぶっちぎりの1位は
容器の問題は値段を上げないための企業努力の面もあるが、理解は少ない。
■2位 洋服・ファッション(新品の購入頻度)
ファストファッションへのシフト、本当に気に入ったものだけ買う方針に。
「服は最低限あれば足りると考えるようになった。服を選ぶ手間が減り、生活しやすくなった」(44歳・男性)、「目的もなくイオンなどのショッピングモールに行くのをやめた結果、無駄な買い物、特に洋服の出費がなくなった」(46歳・女性)、「物価高で食費がかかるため自分の服まで回らない。やめた後は楽しくない。もっとおしゃれしたい」(52歳・女性)。
“楽しくない”。それは生きるうえで非常に大きな問題……。
■1位 外食
2位の85票に対して220票とぶっちぎりの1位。
「面倒くさがりなので外食で済ませていたが、物価高騰で外食がご褒美に変わった」(35歳・女性)、「数年前まで1000円でわりと良いランチが食べられたが、今では1500円」(54歳・女性)、「やめて結果的に月数万円の節約ができた」(18歳・男性)。
やめた後の変化はポジティブな声も多い。
「自炊が増えたので健康的な食事ができていると思います」(52歳・女性)、「自炊がさらに増えたので健康に気を使うようになった」(28歳・男性)、「夫が料理をするようになった」(42歳・女性)。
一方で、こんな本音も─。
「やめた理由は生活費の圧迫。ただ、やめたことによる変化は“焼け石に水”」(40歳・男性)。
家計を切り詰めても、物価高そのものに追いつけないいらだちがにじむ。ランキングからは漏れたが、次のような声も。
【推し活】
「生きる上でいちばんカットしやすいものだったから」(27歳・女性)、「お金を気にせず遠征もしていたときは毎日がキラキラして楽しかったが、好きなものを我慢するとストレスになり精神的に病む」(29歳・女性)。
【ジム】
「スポーツクラブの月会費値上げで退会した。やめた後は、太って体重が増えて歩行にも困難を感じるようになった」(70歳・男性)。
【お金を伴う親戚付き合い】
「年末年始の出費が減って楽」(54歳・男性)、「お互い気を使うことがなくなりよかったと思う」(55歳・女性)。
【国産米】
「割高感があまりに強いから。外国産米で十分だった」(48歳・男性)。
「やめる」という選択は、ただの引き算ではない。何かを諦めれば、お金は浮く。だがその引き算は、心や身体、暮らしの“何か”も同時に削っていくことも。物価高は、人々から“お金”だけを奪ったのではない─。
