犯行現場宅の近隣住民がその夜の“異変”を振り返る。
「ドン、ドンと2回、何か物を落としたような大きな音があの家から聞こえてきたんです」
母を殺害、容疑者本人による110番通報で発覚
ゴールデンウィーク序盤の4月30日午後8時50分ごろ、埼玉県春日部市西宝珠花の自宅で同居する母・榮子さん(84)の頭部を殴打するなどして殺害したとして、県警春日部署は5月1日、殺人の疑いでこの家に住む無職・丸林哲也容疑者(56)を逮捕した。
事件発覚のきっかけは、容疑者本人による110番通報だった。
「通報は犯行の約10分後です。“母親が倒れている”“母親を刺した”などとする内容で、警察官が駆けつけると室内で榮子さんが倒れていて、すでに意識はありませんでした。榮子さんは搬送先の病院で死亡が確認されました。頭や背中、手には、刃物で切りつけられたような傷があったといいます」(全国紙社会部記者)
哲也容疑者は警察の取り調べに対し、
「けんかになって殺そうと思った。母の頭を何度も叩いた」
などと容疑を認めているという。
現場宅は52年前、両親が新築した一戸建て住宅。哲也容疑者には姉がいるが、すでに実家を離れて独立しているといい、数年前に父親が亡くなってから母子2人暮らしだった。
哲也容疑者は定職に就いておらず、複数の地元住民は「人付き合いが苦手」「落ち込みやすいタイプ」「身体が弱かった」などと無職だった背景を明かす。ここ最近、社交的になったと評判だった。
「以前はまったくしゃべらなかったのに、会話をするようになったんです。1年ぐらい前、榮子さんが熱中症になって口がきけなくなったことがあり、周囲で心配していると、息子さん(哲也容疑者)が“母はようやくしゃべれるようになりました”と回復の報告をしてくれたんです」(地元住民)
榮子さんは小柄ながら「はっきりモノを言う女性。人を怒鳴りつけることもあった」(地元の女性)という。
先々を見据えて息子の現状を憂いたであろうことは想像に難くなく、あえて厳しいことを言って最悪の結果を招いたのではないか、とする見方が多く聞かれた。
息子さんは「穏やかでやさしい人でした」
現場宅近くで家庭菜園をしている70代女性は、ショック冷めやらぬ様子で言う。
「事件の前日、息子さん(哲也容疑者)と会話したばかりだったんです。私が農作業をしているときに話しかけてくれて“身体壊さないでね、やりすぎちゃダメよ、ほどほどにね”と心配してくれました。
どんな野菜も1個100円で販売しているんですが、作業を手伝ってくれたほか、“トマトとレタスが好きなんだ”と言って、トマト3個とレタス1個を買ってくれましたね。サラダにして食べると言っていました。会話するのは何回目かで、おとなしいけど穏やかでやさしい人でしたよ。
それだけに事件は辛く悲しかったです。そんなに苦しんでいたのであれば、少しでもグチを言ってくれればよかったのに。だれかにグチれば少しはラクになったかもしれないじゃないですか」
自宅には、榮子さんが利用するデイサービスの車が立ち寄るようになっていた。
榮子さんの知人男性は言う。
「榮子ちゃんは若いころから器量がよくて社交的だったんだよ。モテるからはっきりモノを言う。最近はすっかり腰が曲がっちゃって、それでもすれ違えば“たいへんね”などと心配してくれるやさしい一面があったんだ。哲ちゃんは子どものころから知っているけど、本当におとなしい子。でもね、何があっても、親に手をあげるなんて絶対ダメだよ」
地元の江戸川河川敷ではゴールデンウィークの5月3日と5日、1年で最も盛り上がる『春日部大凧あげ祭り』が開催された。地元に生まれ育った男性によると、80畳の大凧や子ども用の凧をあげるため、各戸1人は凧あげ要員を出すなど地域ぐるみで力を入れてきた。
地元育ちの哲也容疑者も、これまでに参加した可能性は高いという。しかし、凧を見上げてこの母子が並ぶことはもうない……。
