天皇、皇后両陛下と長女の愛子さまは、5月1日から7日まで、栃木県の御料牧場で静養された。
女性皇族の将来を最優先すべき
「御料牧場は宮内庁直轄の牧場です。前回のご滞在は2年前。ご一家でタケノコ掘りをされる写真は、宮内庁の公式インスタグラムで最も多くの『いいね』を集めた投稿となりました。今年のご様子についても投稿を期待する声が上がっています」(皇室担当記者、以下同)
今年はご両親と共に公務に臨まれる機会も増え、公務に邁進されている愛子さま。
「シンガポールへの海外公式訪問や、両陛下の熊本被災地見舞いへの同行も予定されており、このご静養でしっかりとリフレッシュし、備えておられるのでは」
一方で、秋篠宮家の次女、佳子さまは、立て続けに公務に臨まれている。
「『セーブ・ザ・チルドレン』『みどりの感謝祭』など、大型連休明けから精力的に活動されています。昨年も皇族方の中で一番多くの公務をこなされており、皇室において極めて重要な役割を担われています」
しかし、そんなおふたりの将来は見通せない状況にある。皇族数確保のため、「女性皇族が婚姻後も皇室に残る」(1案)、「旧宮家の男系男子を養子に迎える」(2案)という有識者会議で決められた2つの案。この優先順位が、政権与党内で変化しているのだ。
「高市早苗首相は4月12日の党大会において、『養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする案を第1優先として、国会における議論を主導する』と明言しました」
この状況に「女性皇族の将来をはっきりさせることを最優先すべき」と話すのは、國學院大學講師で皇室研究者の高森明勅氏だ。
「自民党や日本維新の会は2案を優先しようとしていますが、未婚の女性皇族方は、皇族として残るのか、一般家庭に入るのかという“宙ぶらりん”の状態で長年過ごされてきました。80年間放置されてきた旧宮家案を優先し、ご結婚を控えた方々への対策を後回しにするのは、あまりにも酷な話です」(高森氏)
さらに、1案については、女性皇族の配偶者と子の処遇を巡り、意見が割れている。
「自民党は、配偶者と子には皇族の身分を与えない方針です。しかし、一つの家族の中で身分が異なるというのは、現実的とは思えません」(前出の皇室担当記者)
皇族会議による決定が違憲になる恐れ
皇室の制度史と文化史に詳しい京都産業大学の所功名誉教授は、この方針の問題点をこう解説する。
「配偶者を一般国民のままとする場合、皇族女子には皇族費が出ますが、夫には支給されません。結果として、夫は皇族女子の皇族費から生活費をもらうか、自ら外で稼ぐ必要が生じます。また、宮家当主の配偶者として公務に同伴しても、皇族としての待遇が受けられないことになります」
これは金銭面だけでなく、人間の尊厳にも関わる問題だという。
「人間にはプライドがあります。夫や子が皇族とされなければ同居しても身分が異なり、公務に尽力しても正当な評価や生活保障が得られない。役割に対する自負が保証されない状況下では、ご結婚すら難しくなります。やはり家族一体となって生活も活動も存分に行えるよう、配偶者も子たちも皇族とすべきです」(所名誉教授)
加えて、前出の高森氏は、配偶者を皇族としない場合、“憲法違反”の可能性があると次のように指摘する。
「皇室典範第10条には《立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する》と定められています。現在、女性皇族が対象外なのは、結婚により皇籍を離脱するためです。もし女性皇族が皇室に残るならば、その婚姻も皇室会議の議を経るべきですが、相手が一般人のままであれば、憲法第24条1項の《婚姻は、両性の合意のみに基いて成立》という規定に抵触し、皇族会議による決定が違憲になる恐れがあるのです」
この憲法上の矛盾については所名誉教授も同様に懸念を示す。
「配偶者を皇族に入れないままでは、国民の平等を定める憲法との矛盾もぬぐい切れません。皇族男子の婚姻のあり方と仕組みを、同じく皇族女子にも適用すれば、この問題はすっきり解決します」
対象となる旧宮家の方々の意向は
そうした中、5月7日には中道改革連合からも、自民党が推す2案を容認する意向が示された。
「中道改革連合が養子案を容認したことで、事態は加速する可能性が高まっています。同党の前衆議院議員である枝野幸男氏は自身のSNSで猛反発しましたが、小川淳也代表は『全体方針に影響はない』と述べるなど、足並みの乱れも見られます」(前出・皇室担当記者、以下同)
しかし、2案についても、対象となる旧宮家の方々の意向は置き去りにされたままだ。
「一般国民として育ち、プライバシーを享受してきた方々が、ある日突然、厳しい制約のある皇族としての公務や生活を受け入れられるのか。また、彼らを支える周囲の教育体制も整っていない。血筋さえあれば良いという、政治的な“数合わせ”のような論調に、当惑している当事者たちもいるといいます」
さらに2案には“違憲性”の議論も根強い。高森氏はこう警鐘を鳴らす。
「国民である旧宮家の方々のみ、特権的に皇族の養子となる資格を認めることは法の下の平等に反します。血統的にも過去の天皇から20世代以上離れており、制度の正当性が問われるでしょう。国民の拒絶反応も強いはずです」
所名誉教授も次のように慎重な姿勢を崩さない。
「2案は、憲法議論としても非常に難しい疑問が多すぎます。国民の中に不平等を生む不都合があるからです。それに矛盾しない見解が見つけられるか、国会でしっかり議論すべきだと思います」
現在の皇室で重要な役割を果たされている女性皇族方の未来に対して、政府には誠実な、そしてスピード感のある対応が求められる。
