バナナマン・日村勇紀

 宝泉薫さんによる『週刊女性』の名物連載「人生アゲサゲ分かれ道」。今、ニュースなバナナマンの日村勇紀さんを取り上げます!

『バナナマンのせっかくグルメ!!』では日曜夜の顔に

 バナナマンの日村勇紀が活動を休止した。所属事務所によれば、「今年に入ってから体調を崩すことが多く(略)医師より休養が必要との判断に至りました」とのこと。相方の設楽統や妻の神田愛花をはじめ、多くの人が心配の声を上げている。

 というのも、レギュラー番組11本という多忙ぶりに加え、数々の不健康エピソードを持つ人だからだ。肥満が原因と思われる血圧や血糖値、尿酸値の異常。また、昨年、睡眠時無呼吸症候群のためにシーパップ(CPAP)という治療器具をつけて寝ていることを、神田が明かした。

 ただ、芸人が不摂生になりがちなのは今に始まったことではない。1980年には林家三平さん(享年54)と三遊亭小圓遊さん(享年43)が相次いで亡くなり、'82年には三波伸介さんが52歳で急死。なかでも三波さんは、肥満と不摂生が短命につながることを世に知らしめた感がある。

 晩年の代表作は『笑点』(日本テレビ系)や『お笑いオンステージ』(NHK総合)の司会で、どちらも日曜夜の人気番組。そして今、日村も日曜夜の顔みたいになっている。
隔週ペースの2時間スペシャル形式で放送されている『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)が好調。『ザ!鉄腕!DASH!!』や『世界の果てまでイッテQ!』(共に日本テレビ系)といった長寿番組を視聴率で脅かしているからだ。

53歳という年齢を考えて大食いは控えたほうが

 それゆえ、日村の活動休止によるパワーダウンを危惧するネットニュースも配信された。そこで感じたのは、昔と変わらないテレビ業界の過酷さだ。いや、テレビを見ない人が増え、奪い合える視聴者の数が減っている分、いっそう過酷になっているのかもしれない。

 しかも『せっかくグルメ』の最大の売りは日村の豪快な食べっぷり。制作サイドも「スタッフと分けて食べる」こともあるが「ひとりで完食する場合も普通にあります」と説明している。

 この「ガチ志向」がウケ、ゲストまで爆食いを披露するようになってきた。後期高齢者の寺尾聰や細身のアイドルである永瀬廉までもがそれをやっていると心配にもなるが、よく考えたら誰より大変なのは日村だ。

 実際「ガチ志向」にはリスクもある。例えば、テレビ東京のバス旅系番組では、人気が上がるにつれルールが厳格化。蛭子能収のような“不健康キャラ”の人にバスのない山道を10キロも歩かせるスパルタな趣向が、ギャップ的面白さを生んだ。しかし、今年の2月には元サッカー選手の前園真聖がロケ中に大ケガを負う事故も起きている。

彦摩呂

 くしくも、日村の活動休止が発表された前日、神田が司会のひとりである『ぽかぽか』(フジテレビ系)に彦摩呂が出演。グルメロケの苦労を語った。

 編集でどこが最初の店になるのかがわからないため、1日7軒もの収録でも、「常に今日初めてという顔で食べる。脳が“初めて指令”を出しているんで、とっくにお腹いっぱいという感覚はなくなりました」とのことだ。

 日村も家庭ではダイエットに挑戦したりしているようだが、ロケやプライベートの外食でリミッターが外れがちだという。53歳という年齢を考えても、これを機に、無理な大食いは控えたほうがよいのではないか。

 そういう意味では、テレビも放送開始から73年というなかなかの老人だ。もう「ガチ志向」は諦め、ゆるい方向に舵を切る潮時かもしれない。残念ながら、年をとるというのはそういうことなのだ。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。