5月10日、アニメ『名探偵コナン』の劇場版シリーズ第29弾『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』が、公開31日間で観客動員数774万人、興収114億円を突破した。
推理小説家が分析するヒットの理由
「新作映画は公開1日目で観客動員数73.9万人、興収11.3億円を突破し、前年対比107%と過去最高の初日興収を記録する大ヒットでスタートしました。同作は、神奈川県の横浜が舞台で、主人公の江戸川コナンをはじめ、毛利蘭や少年探偵団、神奈川県警の萩原千速や横溝重悟らが大活躍します」(映画誌ライター)
これまでの劇場版シリーズの中で最高興収は、'24年に公開された『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』で、興収158億円。
2位は'25年公開の『名探偵コナン 隻眼(せきがん)の残像(フラッシュバック)』147.4億円、3位は'23年の『名探偵コナン 黒鉄(くろがね)の魚影(サブマリン)』138.8億円となっており、今作を含めて4年連続で興収100億円超えという邦画史上初の記録を残している。
「新しい作品が公開されるごとにじわじわと興収を伸ばしていきましたが、特筆すべきは'22年と'23年の間。'22年の『ハロウィンの花嫁』は97.8億円でしたが、翌'23年の『黒鉄の魚影』は138.8億円と一気に40億円近く伸ばしています。'23年以降は興収100億円超えが日常的になり、この1年間が大きな転換点になったといえます」(同・映画誌ライター)
作品の中では、謎解きをするミステリーの要素だけでなく、恋愛、コメディ、アクションなどさまざまな要素がつまっている。推理小説家の斜線堂有紀氏に、近年のコナン映画の興行収入の伸びについて分析してもらった。
「今まで『名探偵コナン』というコンテンツが積み重ねてきた信頼が結実した結果だと思います。映画自体が面白いのは当然ですが、グッズ展開やイベント、それに堅実に面白さを提供し続けてくれる原作が市場を盛り上げ続け、コア層を満足させつつライト層へコンテンツを周知したのが伸びに繋がっていると思います」
4作品連続で興行収入が100億円を突破した背景についても聞くと、
「シリーズを通しての離脱者が極めて少なく継続的に視聴されているということです。その一番大きな理由が、コナン映画というものが一種のイベントとなっていることだと思います。コナン映画はほかの映画と違い、映画の最後に来年の映画の予告を打つという極めて珍しい慣例があります。
これにより、コナン映画は観客に“決まった時期に当然視聴するもの”という意識を与えることに成功していると思います。そうしてコナン映画が毎年恒例のイベントとなった結果、ここまで強いコンテンツとなったのではないかと思います」(斜線堂氏、以下同)
また、映画の告知にSNSを上手く活用しているという。
「こうした恒例の“祭り”となったことで、あまりコナンに触れていないライト層も気軽に映画を視聴してくれるようになったのも大きいと思います。原作を熱心に追っていない人ですら、映画の選択肢にコナンを入れてくれるようになったのです。
SNSではコナンのストーリー設定を知らない方向けに、簡単な前提情報を共有する投稿が伸びていたりもします。ファンの作り上げたムーブメントが、今のコナン映画を支えているのだと思います」
今年で『名探偵コナン』はテレビアニメの放送30周年を迎えた。映画だけでなく、テレビアニメでも高いクオリティを保ち、観客を楽しませ続けている。
