ハンタウイルスの脅威の陰で、麻疹(はしか)が猛威を振るっている。
「4月に入ってから異常な増加を続けています。発生状況を見ると、4月1週目の236人から2週目には299人に増加、3週目には362人で5月に入ると436人の感染が確認され、過去10年で最も感染者数が多かった2019年に迫るペースとなっているんです」(厚生労働省担当者、以下同)
なぜそんなに麻疹が流行しているのか。
「麻疹は感染力が非常に強く、主に空気感染で広がり、マスクでも防げないので際限がない状況になるんです」
感染者の情報は瞬く間に共有され、プライバシーや個人情報が公開されすぎでは? という懸念の声も多いが、それには理由があるという。
「麻疹は空気感染する最強クラスのウイルスですから、各自治体の保健所は感染者の性別、年齢、滞在場所、行動経路の情報を広めて周囲への被害を最小限に抑えるためです」
自治体以外にもプロ野球の埼玉西武ライオンズは5月13日、本拠地のベルーナドーム(埼玉県所沢市)で5日に行われた福岡ソフトバンクホークス戦を観戦した一部の観客に麻疹の陽性反応が出たことを、公式サイトで明らかにしている。
観客が利用したのは、左翼席側にある「外野指定席B」だといい、滞在時間も公表。集団クラスター状態が危惧されている。
麻疹に感染すると、どのような症状が現れるのか。
「発症して2、3日目の第1段階は38度前後の発熱、咳、目やにや目の充血など結膜に関する異常が見られ、口の中に1ミリ程度の白い斑点が現れます。発症4、5日目になると一度熱が下がった後、39・5度以上の高熱が出ます。
耳の後ろ、首、顔から赤い発疹が全身に広がっていきます。発疹が出てから3日程度で熱は下がり、発疹は色素沈着を残して消えていきます。いちばん怖いのは肺炎や脳炎など、合併症のリスクが高いことです」
「はしか」に感染したらどうすれば?
感染したらどうすればいいのか。
「医療機関を受診していただくのですが、必ず事前に医療機関へ電話をしてください。病院側の指示に従って受診すること」
日本国内では麻疹ワクチンは定期接種の対象でほとんどの人は2回打っているはずだが、ワクチンの効果はないのだろうか。
「1回の接種で約95%、2回接種で97%以上の人が免疫を獲得できるといわれています。今回の感染者情報でワクチンを2回接種されている方もいましたが、重症化のリスクを避けられたのはワクチンを接種していたからでは」
ワクチンを接種していても、感染することがある麻疹。身を守る方法は?
「一般的なマスクだけでは完全に防ぐことは困難。人が大勢集まるような場所を避けたり、慎重に行動することが自衛につながるいちばんの方法かと思います。
体調がおかしいと感じたら無理に登校させたり、通勤しないこと。一人ひとりの行動で感染症は被害を小さくするということを忘れないでほしいですね」
