5月12日、「令和8年 全国赤十字大会」が開催され、雅子さまや、紀子さまなどの妃殿下たちが明治神宮に集われた。
皇室典範改正の議論は愛子さまの将来に直結する
「本大会は名誉総裁の雅子さまが、医療で大きな実績を残した方へ記章を授与されました。雅子さまは終始、笑顔を絶やすことなく、受章者に優しくお声をかけておられました」(皇室担当記者、以下同)
柔らかい表情を浮かべる一方で、その胸中には、なかなか方向性が定まらない“愛子さまの今後”について複雑な思いを抱えていらっしゃるのかもしれない─。
「5月15日、“皇族数確保”をテーマに与野党が集まる全体会議が再開しました。会議では『女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する』(1案)、『旧宮家の男系男子を養子に迎える』(2案)の2つの案が話し合われています。まさに、愛娘の将来に直結する議論が行われているのです」
協議自体は4月15日に開始されていたが、中道改革連合の党内見解がまとまらず、1か月延期されていた。
「5月7日に中道が2案を『容認』する方針を示すと、SNS上には立憲民主党や中道改革連合の元議員による批判の投稿が相次ぎました」
こうした背景を受け、12日の執行役員会での報告では「認めることも考えられる」という点を「将来的には制度化する可能性」へと変更した。
「党内では反発の声も少なくないようです。党の検討本部で本部長を務める笠浩史氏は“この問題は全議員が全て賛成するという解はない”と報道陣に語りました。一方、悠仁さままでの皇位継承順位を維持しつつも、将来の女性天皇も引き続き議論することを確認した姿勢や、女性皇族の議論を優先しつつ、養子案には慎重な姿勢を明示した点には、バランスが取れていると評価する声もあります」(全国紙社会部記者、以下同)
雅子さまは天皇陛下が選ばれたお方
注目された15日の全体会議では、早急に皇室典範の改正を目指す方針が明らかに。
「森英介衆院議長は『立法府の総意』をまとめ、今国会会期中に皇室典範の改正を目指す考えを示しました。現在の国会中となれば、あと残り約2か月で改正案の作成までこぎつけることになります。これまで長年議論が停滞していたとは思えないスピード感での決着となりそうです」
中道の見解で注目されている2案について、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉教授は現実性のなさをこう指摘する。
「正直、国民が受け入れるのは難しいというのが私の考えです。象徴天皇制というのはその方の人柄が大切です。幼少期から成長を見守ってきたからこそ、国民の支持を得てきたのです。これまで一般人だった人が過去にどのような活動をされていたかもわからない状況では、戸惑いが生じるでしょう」
一方、美智子さまや雅子さまは、ご結婚により、民間から皇室に入られたが、人々から広く受け入れられてきた。
「例えば、雅子さまの場合は、天皇陛下(当時は皇太子)が選ばれたお方です。“恋愛結婚”ということもあり、日本中は祝福ムードに包まれました。しかし、養子案については、血筋があるとはいえ、陛下が選んだということではありません。そのような方に、年間に数千万から数億円の税金が費やされるということに、国民の理解が追いつかないのは当然のことです」(河西教授)
それほどまでに差し迫った「皇族数確保」の問題。一方で、皇位継承については「悠仁さままでは揺るがせない」と、今回の議論に含まない姿勢を一貫している。この政府の姿勢に疑問を抱くのは、皇室の制度史と文化史に詳しい京都産業大学の所功名誉教授だ。
天皇制そのものの必要性を問う議論が生まれる可能性も
「本来、この協議は平成29年の『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に基づいているはずです。その決議には『安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題である』と明記されていることを忘れてはなりません」(所名誉教授、以下同)
約10年前に危機感を持つように示された問題が事実上、棚上げされているのが現状。
「ところが、その後の政府では、安定的な皇位継承と女性宮家の創設という大切な命題を棚上げして、皇族数の確保という“小手先の対応策”に矮小化しています。そうであるならば、せめて1案の皇族女子を当主とする宮家を創設し、その夫も子も皇族の身分にして皇族数の確保をはかり、皇族としての公務をしていただけるようにすることが急務だと思います」
今回の中道の見解では、他党派と同様に「悠仁さままでの継承を揺るがせない」という記述が明記された。
「立憲民主党などは、これまで女性天皇の容認を掲げてきたこともあり、愛子さまが天皇になることを望む国民の受け皿となってきました。しかし、今回の明記により、その可能性が薄まったといえます」(前出・皇室担当記者、以下同)
各党の意見がまとまる中でも、愛子さまの即位を望む国民の声は根強い。
「今年3月の毎日新聞の世論調査では女性天皇に賛成する声は61%に上り、昨年12月の読売新聞でも69%という高い賛成率を得ています。週刊誌やネットニュースでも連日“愛子天皇”をテーマにした特集が組まれるなど、国民の関心は非常に高いのです」
しかし、15日の会議では、こうした国民の声が反映されることはなかった。
「今回の中道の見解により、愛子さまが天皇になる道は閉ざされつつあるといえます。国民の意見との乖離は無視できない問題です。国会議員が皇室の将来を真剣に考えていないのではないか、と思われても仕方ありません。こうした不信感から、天皇制そのものの必要性を問う議論が生まれる可能性も十分に考えられます」(河西教授)
国民が望む皇室の姿を、政府は実現できるのだろうか。
所 功 京都産業大学名誉教授。日本法制史・皇族文化史などを専門とし、近著には『天皇の歴史と法制を見直す』『「天皇学」入門ゼミナール』(共に藤原書店)など
河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数
