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 年々、気温の高まる時期が早まり、一部エリアでは4月下旬から25度以上の夏日が観測されている。暑さとともに気になるのが食中毒だ。

最も菌が発生しやすいのは体温と同じ35~36度

「食中毒は一年中ありますが、特に暑くなると増えるのが、サルモネラ菌や黄色ブドウ球菌。気温20度ぐらいから増え始め、25度を超えると、もう暴れたい放題。体温と同じ35~36度が、最も繁殖しやすいですね。同時に菌は水分を介して移動するので、湿度が上がるほど、菌も増えやすくなります。特に梅雨の6月ごろは危険性が高まります

 そう話すのは、管理栄養士の望月理恵子さん。特に慎重になってほしいというのがお弁当作り。やりがちなNG習慣は?

「半熟卵など中心まで熱が通っていないものは、菌が繁殖しやすくなります。入れるなら固ゆでで。前日に作ったおかずを詰めるときも、再加熱する必要があります。また、おむすびは素手で握ると、人の手のひらの常在菌である黄色ブドウ球菌が、ご飯に移るおそれがあります。握るときはラップを使いましょう。詰めるときもじか箸でなく、専用の菜箸を使用して」(望月さん、以下同)

 また水分には、気をつけても気を付けすぎることはない。

「朝、バタバタとお弁当を作り、温かいうちにふたを閉めると水分が出て、菌が繁殖してしまいます。また彩りや仕切りで生野菜を使ったり、ミニトマトにピックを刺したりすると、そこから水分がどんどん出てきて、菌が発生しやすくなります。中身が冷めてからふたを閉めて、生野菜やピックは避けましょう」

 そもそも水分の多いおかずにも、注意が必要だという。

煮ものやあえものなど水分が出そうなものは、最後にかつお節やすりゴマで水分を吸わせるとよいでしょう。また水分が出ても、他のおかずに移らないように、カップやバランで仕切ることも大切です」

 その他、調味料やスパイスを使うと、殺菌作用が期待できるとか。

「塩や砂糖、酢、しょうゆなどの調味料のほか、梅干しやわさび、カレー粉などは殺菌作用があります。あえものや炒めものに、うまく活用するとよいでしょう」

お弁当箱の水分はキッチンペーパーでふき取る

 中身だけでなく、容器や持ち歩き方にも気を配りたい。

「お弁当箱が濡れていたり、ふたのパッキンに水がたまっていたりすると、菌発生のリスクが高まるので、きちんと乾かしてふき取ってから使いましょう。ふき取る際も、布巾だと湿っていたり、雑菌が残っていたりするので、キッチンペーパーのほうが衛生的です。また中身を詰めたら、その上に抗菌シートをのせておくと安心です。抗菌シートはわさび入りのものがありますが、本物のわさびを塗っても抗菌作用が発揮されます。持ち歩くときは、お弁当の上に保冷剤をのせましょう。本来、お弁当は作ってから2時間以内に食べるのが理想ですが、それが難しいなら保冷バッグに入れて持ち歩きましょう」

 お弁当に限らず、家で作ったおかずも2時間以内に食べるのが基本。2時間を超えてしまうなら、冷蔵庫か冷凍庫に入れたほうがいい。

「冷蔵庫に入れるときには、必ず粗熱をとってから、1食ずつ分けて、なおかつ真空状態にしてチャック付き袋かコンテナで保存します。まとめて作ったものを冷蔵庫から出してまとめて加熱して、残りをまた冷蔵して、と繰り返すと温度変化が起こり、菌が増えやすくなります

 ただし冷蔵庫に入れても、菌は繁殖するという。

「もともとおかずに菌が入っていたら、冷蔵庫はあくまでも繁殖のスピードを遅らせる場所でしかありません。そもそも生という状態はすべてリスクが高いもの。半熟卵をはじめ、肉や魚、ちくわやかまぼこなどの練り製品、ハムやウインナーなどの加工食品も水分が含まれているので、気をつけたほうがよいでしょう。それらを使ったあえものやサラダなども傷みが早いです。他にも、炊き込みご飯やチャーハン、焼きそばなど野菜が混ぜてあるものも要注意です」

冷蔵庫の保存のポイント

 また冷蔵庫への入れ方次第で食材の傷みやすさが変わる。

冷蔵庫に詰め込むと冷える効率が悪くなり、菌が繁殖しやすくなります。7割ぐらいが理想です。またドアポケット付近は、ドアの開閉で温度変化が起こり、食品が傷みやすくなる場所。ドアポケットには、傷みにくい調味料などを入れましょう。野菜は新聞紙にくるむと、余分な水分を吸ってくれます。かつ生育状態で保存すると長持ちします。例えば、きゅうりや大根は立てて入れます」

 冷蔵庫に入れるのは7割程度が理想だが、冷凍庫はできるだけ10割を目指して詰め込んだほうが冷凍効率は上がるそうだ。

 冷凍庫で保存する場合は、どんな点に気をつけるべき?

「肉や魚、野菜、おかずを冷凍するときも、やはり1回使う分ずつ小分けにし、ラップなどで密封して冷凍しましょう。ほうれん草などの野菜は、一度ゆでてから1回分ずつラップで包んで冷凍すると、場所もとりません。

 特に注意すべきは肉類。ひき肉やスライス肉などカットされているものは、ブロック肉ほど長持ちしません。また鶏肉も一枚肉をカットして使うなら、カットしてから保存しましょう。まとめて解凍して、また冷凍すると傷みが早くなります」

 菌が繁殖すると、糸を引く、ぬめりが出るほか、酸っぱいにおいやアンモニア臭がする。密閉容器を開けるときに、プシュッとガスが発生するときも菌が繁殖しているサイン。サインが出る前にしっかりと予防しよう!

お弁当の食中毒を防ぐ3つのポイント

(1)食材は芯まで火を通す

 お弁当に入れるおかずは、芯まで、しっかり火を通そう。菌が死滅する目安は、75度で1分以上。半熟卵はNG! 作り置きも再加熱してから入れて。

(2)水分をとことんとる

 水分は菌を増殖させる温床に。中身をしっかり冷ましてからふたをする、煮ものやあえものなどの水分は、かつお節やすりゴマで吸収させる。

(3)保冷剤、保冷バッグを使う

 持ち歩くときは、お弁当の上に保冷剤を置いておけば、冷気が上から下に流れて保冷効果を発揮。2時間を超えて食べるときは保冷バッグに入れて。

冷蔵庫の保存のポイント

■作ったおかずを入れるときは1食ずつ小分けにする

 おかずは1食ずつ分けて、チャック付き袋かコンテナに入れて冷蔵庫に。食べるときは1食ずつ出して再加熱すれば、菌の繁殖を防げる。

■詰め込みすぎはNG。7割程度に抑える

 冷蔵庫に入れる食材や作り置きおかずは、7割程度にとどめよう。詰め込みすぎると、冷却効果が低下し、菌が増えやすくなる。

■ドアポケットは温度変化の激しい要注意スポット

 ドアの開閉で温度変化にさらされるドアポケットは菌の繁殖スポット。食材は必ず棚の奥に入れよう。卵も、できるだけ棚の奥に入れたほうがいい。

冷凍庫の保存のポイント

 冷凍効率を上げるには、なるべくいっぱいに詰めるのがコツ。肉類を冷凍するときは、使う分だけ分けて、ラップに包むこと。ブロック肉の保存期間は1か月ほど。ひき肉やスライス肉は、1~2週間で使い切るようにしよう。

望月理恵子さん 管理栄養士。調剤薬局、健康食品会社を経て株式会社Luce代表。健康検定協会理事長。山野美容芸術短大講師、日本臨床栄養協会評議員、小田原銀座クリニック栄養顧問を兼務。管理栄養士としてメディア出演や講演会など幅広く活躍。『やせる時間に食べてみた!』(主婦の友社)ほか著書多数。
教えてくれたのは…望月理恵子さん 管理栄養士。調剤薬局、健康食品会社を経て株式会社Luce代表。健康検定協会理事長。山野美容芸術短大講師、日本臨床栄養協会評議員、小田原銀座クリニック栄養顧問を兼務。管理栄養士としてメディア出演や講演会など幅広く活躍。『やせる時間に食べてみた!』(主婦の友社)ほか著書多数。

取材・文/池田純子