長友佑都

 6月11日に開幕するサッカー『FIFAワールドカップ2026』アメリカ・カナダ・メキシコ大会で、5大会連続で日本代表「サムライブルー」に選出された長友佑都選手(39、FC東京)。5月17日に会見を開いたが、やはりネットで物議を醸している。

「自分のいることの意味、存在価値はみなさんにお見せできると確信しています。今、賛否両論あるみたいですが、みなさんW杯が終わる頃には称賛しかないでしょうね」

 15日の森保一監督(57)によるメンバー発表で「長友」が呼ばれると、会見場は報道陣によるざわめきに包まれた。たしかに可能性はゼロではなかったが、現在の戦術的に今年で40歳になるベテラン選手の起用場所はなく、“不要論”され囁かれていたからだ。

 一方、2022年のカタール大会でも不可欠な存在として攻守に躍動した守田英正選手(31、スポルティング・リスボン)は落選。たしかに負傷で代表を外れる時期が長かったものの、予想外の落選に《長友より守田だろ》などと、ネット上ではサッカー通による議論も起きている。

 そんな声を一蹴するかのような、会見での長友による「称賛しかない」発言は、メンバー発表に不満を持つユーザーを“煽る”結果になったわけだ。その長友、自身が選出された理由について「ピッチ外で、1か月の長い時間の中で日々いろんなことがある」として、

空気清浄機のような役割を果たせる

「(ワールドカップには)独特の匂いがあって、それを嗅ぎ分けて、空気清浄器のように。ちょっと(チームの空気が)悪いな、汚れたなと思ったら(自分が)きれいな空気に浄化できる。空気清浄機のような役割を果たせると思います」

 独特の表現を用いて、“チーム内の空気を変えられる”選手との自負をのぞかせた長友。しかし、森保監督が求める役割はこれだけではなさそうだ。

 2022年カタール大会の初戦で強豪国ドイツに勝利し、グループリーグ突破がかかったコスタリカ戦を0ー1で敗れた日本。守りの姿勢に入ったチーム状況で、ミスも相次いだことでSNS、ネットでは出場選手への批判が集中することに。

日本代表のメンバーに加えて、長友佑都の妻・平愛梨や小栗旬・山田優夫妻、明石家さんままでもが参加した堂安律の結婚式(堂安のインスタグラムより)

 そんな状況に口を開いたのが、自身もコスタリカ戦の前半戦に出場していた、ド派手な赤髪に染め上げていた長友だった。

「うまくいかなかった選手に批判があるのは聞いてます。(批判は)当たり前のことなんですけど、それは雰囲気をつくれなかった僕の責任ですね。髪を染めたり派手なこと、大きなことを言ってきたのに結果を残せなかった。一番の批判を受けるべきは自分だと思っている」

 チームのパフォーマンスが低調に終わったのは、選手たちが心地よい状態でプレーできる雰囲気を作ることができなかった自身の責任として、ネット上で飛び交っていた選手たちへの批判を一身に背負ってみせたのだ。

 そして「次のスペイン戦絶対勝って、グループリーグを突破したい」と話すと、スペイン戦でも先発出場すると宣言通り、ピッチ上でチームを鼓舞し続けて2ー1の勝利に貢献。2度のジャイアントキリングを達成して、“死の組”とも呼ばれた激戦のグループEを1位通過。世界中の予想を裏切って決勝トーナメント進出を決めたのだった。

長年培ってきた“メンター”の技術

「この批判の“受け皿”になれるメンタルは、他の選手が持ち合わせていない、長年にわたって培われた長友選手の“技術”だと思います」と評するのは、日本代表チームを取材するスポーツライター。

「アジア予選でも出場機会が与えられなかっただけに、お世辞にも“代表”でプレーできるレベルの選手とは言えず、守田選手を差し置いての選出に疑問の声が出るのは致し方ない。それでも過去4大会出場の経験、そしてポジティブ発言からも見られる様に森保ジャパンにとって心強い“メンター”になるのは間違いない。

 そして万一にも選手たちに批判、誹謗中傷の矛先が向かう事態になった際には、その“メンタルモンスター”ぶりを発揮して彼らを守ってくれることでしょう。サムライブルーの“空気清浄機”として、チーム内の空気、雰囲気をよくすることが長友選手に求められる一番の役割だと思います」

 今大会でも、日本が入るグループFでは初戦のオランダをはじめ、チュニジア、スウェーデンら強豪国とのタフな試合が予想される。三笘薫選手(28、ブライトン)や南野拓実選手(31、モナコ)ら主力選手を欠き、決勝トーナメント進出に不安が残るサムライブルーだけに、実は“メンター”長友の力が一番必要なのかもしれない。