全国植樹祭にご臨席された雅子さま 

 5月16日から2日間、愛媛県を訪問された天皇、皇后両陛下は、17日に「愛媛県立とべ動物園」に足を運ばれた。

雅子さまが『涙が出ちゃう』とおっしゃった

「西日本屈指の規模を誇る同園は、日本ではじめて人工哺育に成功したホッキョクグマの“ピース”が有名です。到着された両陛下はクマ舎へ移動され、ホッキョクグマのピースとご対面されました。ピースの年齢は26歳で、国内最高齢。両陛下は、やわらかな笑顔を浮かべながらピースをご覧になり、長年の人工哺育における苦労について、飼育員の方を温かく労われました」(皇室担当記者)

 特に雅子さまは、かねてよりピースのことをよくご存知だったという。長年、ピースの成長を見守る担当キーパーの高市敦広さんが、両陛下の訪問時の様子を詳しく話してくれた。

「クマ舎の前で私がピースの概要説明をいたしました。ガラス越しにピースと対面しながら、両陛下からのご質問に私がお答えするような形でした。雅子さまは『テレビを見て、ピースを知っていました』とおっしゃっていて、私が説明している時は、私の目をじっと見て聞いてくださいました。雅子さまの目がキラキラと輝いているように見えましたし、本当にうれしそうな表情をされながら、真剣に聞いてくださっていたのが印象的でした」

 ピースと念願の対面を果たした両陛下。現場ではお別れを惜しまれる場面もあったという。

「案内役の方が『そろそろお時間です』と声をかけに来るのですが、なかなか動かれる気配がないくらいご熱心で……。3、4回目のお声がけでようやく移動されたのですが、そのとき、雅子さまが『涙が出ちゃう』と言われたのかな? 最後の最後にも『名残惜しいわ』とおっしゃっていて、心から会いたかったのだということが、そのお姿から伝わってきました

タヌキを保護した経験を話された雅子さま

 両陛下の深い慈しみは、こんな場面にも。

「移動する前に、ピースと両陛下、そして私とで記念撮影をしました。両陛下が『写真を撮りましょう』とおっしゃって、私はてっきりピースがいるところでお二人だけが撮られるのかと思っていたら、『高市さんもご一緒に』と呼んでくださって。お付きの方が撮影してくださいました

日本ではじめて人工哺育に成功したホッキョクグマ「ピース」と”念願の対面”を果たされた雅子さま

 その後、場所を移して、両陛下と高市さん一家での懇談の時間へ。当初は高市さんによる概要説明だけの予定だったようだが、“高市ファミリーと懇談はできないか”という話になったという。

「子どもたちもそれぞれ忙しくしているのですが、連絡をしたら都合がつきそうということで、私と妻、長女、長男の家族4人で懇談させていただきました。冒頭には記者の方々も部屋にいらっしゃったのですが、少しして退出する段取りになっていたんです。そうしたら、報道陣と一緒に、お付きの方々まで退出されて。私たち家族と両陛下だけという、信じられないような空間で、なんだかふわふわした気持ちになってしまいました……。これは私の推測ですが、もしかすると、不慣れな私たち家族を気遣って、両陛下が外で待機するように言ってくださっていたのかもしれないですね

 そんな“特別な空間”でのお話は、かなり弾んだ様子だ。

「皇后さまが『ピースを初めて動物園に置いて帰った日は、どういう状況でしたか?』と尋ねられたので、当時の様子をお話ししました。部屋が3つある県営団地で暮らしていて、そのうちの1部屋を私とピースが過ごす専用ルームにしていたんです。そこは引き戸の部屋で、ピースがいるときにはいつも閉めていたのですが……。園に置いて帰った日、その戸が閉まっていると向こうにピースがいるような気がしてしまって。『現実を受け入れるために、ドアを開けておこう』と家族で話して、そのようにして過ごしました。それをお聞きになった雅子さまは目をうるうるさせられて、『いいお話を聞かせていただきました』と、バッグからハンカチを取られて涙を拭われていました

 雅子さまが、ご自身の経験を話されるシーンもあったという。

「ピースを自宅に連れて帰った最初の日についてもお話を振ってくださって、『皆さんどう思われましたか?』という問いかけに、私の娘は『ちっちゃくて色もピンクがかっていたので、ブタの赤ちゃんかと思いました』と答えていました。次いで妻が『今までもムササビやタヌキを連れて帰って、人の手で育てていたので……』と話したら、雅子さまが『実は私も赤坂御用地にいたころ、立てなくなってしまったタヌキを保護して、立って歩けるようになるまで看病したことがあります』とお話されていました

愛子さまにもピースとお会いしていただけたら

 さまざまな話題で盛り上がるなか、高市さんにとって非常に“サプライズ”な出来事があった。

雅子さまが、私の息子に話しかけられた内容です。息子は柔道をしていて、全日本女子の強化コーチをしています。こちらからその話をしていたわけではなかったのですが、雅子さまが息子に『愛子から、柔道の猛者だという連絡がありました』と言われたんです。知っていらっしゃることにびっくりはしたのですが、最初、“愛子”という言葉にピンとこなくて……。一瞬、どなたのことかな?と思ったあと、“あ、愛子さまか!”と気づきました。普段呼び捨てでお名前を聞くことはないことなので (笑)。なぜご存知なのかとお聞きしたら『皇宮警察の柔道関係者から聞いたそうです』とおっしゃっていました

 天皇ご一家の仲の良さも伺えるエピソードも飛び出した今回の懇談。最後に、今回の出来事を踏まえ、ピースとどのように過ごそうと思うかを尋ねた。

ホッキョクグマのピース(提供/愛媛県立とべ動物園)

「『ピースに会うのが夢でした』と言われたことが、私には夢のようなことでした。ピースが生まれた時、私は『計画を立てないという計画』を立てたんです。成功例がないことを始める時に、下手な経験による計画を立ててしまうと、動物にも無理をさせて結果的に失敗するのではないかという直感がありました。だから、ピースのことをずっと見て、今何を求めているのか、何を必要としているのかをその時々で判断していこうと。それは今もこれからも変わりません。そういったなかで、またいつか機会がありましたら、両陛下、そして愛子さまにもピースとお会いしていただけたらという願いはあります」

 実は、2、3年前の園遊会に招待された砥部町の議長に、雅子さまは「ピースはお元気ですか」と声を掛けられていたそう。きらきらの笑顔を浮かべられるほど、長く心待ちにしていた念願のご対面。両陛下にとって、“ピースフル”な時間だったに違いない。