国内のドラマファンを興奮させたあのヒット作が、世界に向けて発信される。NHKが過去に放送した大河ドラマや朝ドラなど計19作品が、動画配信サービスNetflixで順次世界配信されることになったのだ。なかでも、ある重大な事情から世界展開は難しいと目されていた“いわくつき大河”がラインナップされたことには、世間から驚きの声が上がっている。
NHKは5月20日、大河ドラマや連続テレビ小説などの過去の人気ドラマをNetflixで世界配信していくことで合意したと発表。6月22日からの第1弾として、岡田准一が主演を務めた大河ドラマ『軍師官兵衛』や、安藤サクラ主演の朝ドラ『まんぷく』のほか、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』『昭和元禄落語心中』『宙わたる教室』『東京サラダボウル』の計6作品の配信が順次スタートする。
「今回の配信は、過去の番組を有効活用する動きがさらに一歩進んだ形と言えます。受信料で作られたNHKの番組が商業的な海外サイトで配信されることにはさまざまな意見もありますが、俳優や制作陣にとって世界の映像関係者に知ってもらえる大きなチャンスになるのは間違いありません」(テレビ関係者)
そんななか、一部のドラマファンの間では2014年放送の大河ドラマ『軍師官兵衛』が入っていたことが大きな話題を呼んでいる。 同作は戦国時代の名軍師・黒田官兵衛の生涯を描いた傑作で、世帯平均視聴率15.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録。岡田の代表作の一つに数えられているが、近年はある凄惨な事件によって、作品のイメージに影を落としていた。
官兵衛出演の元俳優を殺人容疑で逮捕
「2024年に栃木県那須町の河川敷で夫婦の遺体が見つかった事件において、主人公の官兵衛の幼少期を演じていた元俳優の若山耀人容疑者が殺人や死体損壊などの疑いで逮捕されているのです。有料配信では視聴可能であったものの、グローバルなプラットフォームでの『世界配信』の対象に選ばれたことに対して、ネット上では《あの一件があったのに》《ネトフリのコンプラ基準、こういう時はありがたい》《岡田くんの最高傑作だから世界配信でいろんな人に見てほしいな》といった声が聞かれます」(テレビ誌記者)
そもそもNetflixは、日本の地上波テレビ局とは一線を画す独自のコンプライアンス基準を持つと指摘されることが多い。
「過去にピエール瀧が麻薬取締法違反で逮捕された際や、沢尻エリカが有罪判決を受けた際には該当作品の配信停止に踏み切らなかったように、出演者個人の不祥事と作品そのものを切り分けるスタンス。不倫騒動が報じられた唐田えりかや永野芽郁が起用されるなど、『やらかし俳優の駆け込み寺』と言う人もいます」(テレビ関係者)
ともあれ、『軍師官兵衛』の世界配信をもっとも喜んでいるのは主演の岡田だろう。
「昨秋に配信されたNetflixオリジナルドラマ『イクサガミ』が世界ランキングで1位を獲得するなど、海外の視聴者からも非常に高い評価を得ました。その演技力とアクションが国際的にも通用することが証明されたタイミングで、代表作が世界に開放されるメリットは大きい。再び海外視聴者をクギ付けにすれば、国際俳優へのステップアップも期待されるところです」(前出・テレビ誌記者)
出演者の事情による配信停止は行っていない
一連の取り組みにおいて、過去に重大な事件を起こした出演者が含まれる作品をそのまま世界配信することの是非、および配信決定の経緯についてNHKに取材したところ、以下のような回答が得られた。
「NHKでは、NHKオンデマンドにおいて、動画配信サービスを購入していただいている利用者の声などを踏まえ、一部の出演者の事情による配信停止は行っておらず、外部プラットフォームに提供する際も同様です。なお交渉の経緯や、契約条件など具体的内容については、お答えできません。国や地域を越えてコンテンツが視聴される時代となっている環境変化を踏まえ、NHKのドラマ作品を、より広く世界の視聴者に届けるための一つの手段として、今回の取り組みの意義を位置づけています。 取り組みによって得られた副次的な収入は、質の高い番組制作やサービスの充実という形で全体に還元していきます」
出演者の事情による一律の配信停止は行わないという姿勢を明確にしたNHK。この判断を受け、今後は民放各局も「ワケアリ作品」をこぞってNetflixへ売り込みに動くかもしれない。
