栃木強盗殺人の指示役、竹前海斗容疑者と妻の美結容疑者(写真/共同通信)

16歳の男子高校生4人は金品を奪うため栃木県上三川町の住宅に押し入り、在宅中の女性(69)をメッタ刺しにして殺害した。凄惨極まりない犯行を指示・監視していたとみられる20代夫婦は、自宅の近所でも怖がられていて―。

 犯行に関わった6人全員が初めて顔を合わせたのは、被害者宅に向かう高速道路のサービスエリア。そこには乳飲み子の姿も……。

犯行の報酬は10万円

「指示役とみられる夫婦は少年4人にバールや目出し帽などを渡して実行を託しました。数時間後、少年らは被害者宅に押し入り、女性を20か所以上も刺すなどして殺害したのです。

 犯行時、夫婦とはリモートでつながっており、逃げたり怯んだりしないよう、近場から監視されていたとみられます。少年のひとりは犯行直前に近隣住民に話しかけられ、“頑張ってきます”と答えたといいます」(全国紙社会部記者、以下同)

 栃木県上三川町の会社役員男性(68)宅で5月14日午前9時25分ごろ、凶器を持った少年4人が押し入り、金品を物色中に男性の妻・富山英子さん(69)の胸を突き刺すなどして殺害した。家族からの連絡で駆けつけた40代の長男と30代の次男も襲われてケガを負った。飼い犬も殺されていたという。

 ほうぼうに逃走した少年たちは強盗殺人容疑で次々に逮捕。神奈川県相模原市と同県川崎市に住むいずれも16歳の男子高校生だった。栃木県警は少年らに犯行を指示していたとみて横浜市港北区在住の無職・竹前海斗容疑者(28)と妻の無職・美結容疑者(25)を同容疑で逮捕した。

「海斗容疑者は出国の寸前、羽田空港の国際線ターミナルで逮捕されました。タイに逃亡するつもりだったようです。美結容疑者は横浜市内のビジネスホテルで生後7か月の長女と一緒にいて身柄を確保されました」

 妻子を置き去りにして、どうするつもりだったのか。海斗容疑者は闇バイトに応募していたとみられ、面識のあった少年にメンバーを集めさせたとみられる。一部の少年は「夫婦から実行を頼まれた」「やらなければ家族を殺すと言われた」などと供述しているといい、犯行の報酬は10万円だったともいわれている。

目撃された“迷惑行為”

 夫婦宅はJR横浜線・小机駅から徒歩約15分の賃貸アパート。入居してまだ2か月程度だったが、悪目立ちする存在だった。

「アパート近くに最近、白い高級外車が頻繁に路上駐車していて、海斗容疑者が乗っていたみたいです。別の集合住宅前の少し広い道路に違法駐車し、みんな迷惑がっていました。不思議なのは車体がボコボコだったことです」

 と近所の40代男性。

妊娠中?にもTikTokでダンスを踊る竹前美結容疑者(本人TikTokより)

 目撃者は多く、同車種の黒い車を駐車することも。

「近隣宅はガレージから車を出すときに邪魔になるはずだから、大変だなって」(近所の60代男性)
「息子は“なんだ、このヘッタクソな止め方は”と呆れていました。駐車違反のステッカーも貼られていたそうです」(近所の女性)

 ゴールデンウイーク前の夜にはバイクと交通トラブルを起こし、警察官が大勢駆けつける騒動が起きた。海斗容疑者は相手を怒鳴りつけていたという。高級車を仲間らしき若者が囲む様子も目撃されている。

「10〜20代くらいの輩っぽい雰囲気の若い男性がたむろしていました。運転席には海斗容疑者らしき短髪男の姿がありました」(近所の50代女性)

 夜間には、容疑者宅から騒ぐような声も聞こえた。

「騒ぎ声は何度か聞きました。タトゥーを入れた男が住んでいるのを知っていましたし、ちょっと怖いなと思っていたんです。それが海斗容疑者で、路上で見かけたときは視線を合わせないようにしました」(近所の60代女性)

 容疑者宅の窓はシャッターが閉められ、ベランダにはゴミ袋が放置されていた。ジュースや栄養ドリンク、粉ミルク、ベビーフードの空き容器がごちゃまぜに詰め込まれていた。

 美結容疑者は長野県長野市の出身。高校まで地元で過ごし、上京して海斗容疑者と結婚したとみられる。少女時代は成績優秀で非行に走ることはなかった。

 孫が容疑者の同級生だという80代女性が振り返る。

「うちの孫2人とよく遊んでくれてね、すごく優しくていい子でしたよ。何事も一生懸命で、町内会の球技大会では練習をまじめにこなし、みんなで神社に行って“勝ちますように”と願掛けまでしていました」

 逮捕を知った日はショックで眠れなかったという。

「悪い子には見えなかった」

 彼女の実家近くに住む70代女性は言う。

「小学生のころは活発で、放課後は公園で友達と駆け回りながら遊んでたよ。女友達とソフトボールの練習をしたりね。会えば“こんにちは!”と元気よく挨拶してくれた。バレエダンスの習い事もちゃんとやっていたと聞くし、悪い子には見えなかったのに……」

 犯行現場の栃木県上三川町には、言いようのない悲しみが広がっている。

「富山さん一家の住まいは“ごぼう御殿”と呼ばれる大邸宅で有名でした。ごぼう栽培で成功を収めたんです。英子さんは働き者で、人柄も素晴らしい方でした。年末には近所にごぼうを配って回っていましたよ。以前は白菜農家をされ、今はイチゴも栽培されているから“次はイチゴ御殿になるんじゃないか”なんて話題になっていたのに気の毒です」(近所の70代女性)

竹前夫婦の自宅ベランダにはゴミ袋が放置されていた

 近隣の80代女性は、英子さんが作物のおすそ分けをしてくれるときに「ちょっと取りに来て~」と笑う姿が忘れられない。

「英子さんは明るくて、いつもニコニコしていました。こんなひどい亡くなり方をするなんて本当にかわいそうでショックです。家族仲もすごくいいんですよ。高校生でも、やっていいことと悪いことの区別くらいつくはずですよ。なんで英子さんが亡くならなきゃいけないんだって、本当に悔しいです」

 栃木県警は、背後に匿名・流動型(トクリュウ)犯罪グループがいる可能性があるとみて、上位の指示役に迫るべく捜査している。

 また、上三川町では新たな不安の種が生まれていた。

「町からのメールで、警察官をかたる何者かが“強盗殺人事件の主犯格が、あなた名義の口座を知っている”などと言って、金銭を狙うような詐欺電話が確認されているとの注意喚起が届いたんです。町全体がある種のパニックに陥っていると感じます。本当に悪質です」(40代の女性住民)

 発信元の同町地域生活課生活係に確認すると、

「本件は栃木県警本部から情報提供があり、町民に周知したものです」

 とのことだった。殺人事件に乗じて詐欺とは、断じて許しがたい。