宝泉薫さんによる『週刊女性』の名物連載「人生アゲサゲ分かれ道」。今、ニュースな高橋茂雄さんを取り上げます!
高橋の仕事への影響はゼロではない
夫婦ゲンカは犬も食わぬ、ということわざがある。では、オッサン同士のケンカならどうだろう。サバンナの高橋茂雄と、R-1ぐらんぷり(当時)で優勝経験もある中山功太の一件だ。
事の発端は、中山がネット番組で「10年くらい、ずっといじめられていた先輩がいる」などと発言したこと。この「先輩」が高橋であることが判明し、高橋の相方・八木真澄が事態収拾に乗り出した。
その結果、高橋はSNSで、《当時の大阪で共演してた番組の収録で、言い方やカラミが嫌な思いをさせていたこと謝りました》と、報告。
中山も同様に、《わだかまりは全くありません》と、和解成立を強調した。
ただ、仕事への影響はゼロではない。高橋がCMに出るなどしてきたライオンの「ストッパ下痢止め」について、同社はプロモーション活用の見合わせを発表。ちなみに、彼はSNSのプロフィール欄に《おなかが弱いハートも弱い》などと書いている。そんなイメージで売れてきただけに、今回の件でガッカリした人もいるようだがーー。
彼は自他共に認める「太鼓持ち」芸人でもある。タテの力関係に敏感で、上に取り入るのがうまい分、下には強く当たりがちなのも必然だろう。見た目は対照的ながら、ヒロミあたりと同タイプだ。
一方、中山はシニカルでマニアックな芸風。自己評価ほど売れていないことに不満を抱いているようでもあり、こういうタイプは人間関係が屈折しやすい。今回の件についても、《僕の被害者意識が過剰だったかも知れません》と、振り返っている。
高橋は50歳で中山は45歳というオッサン同士のケンカ
実際、ラジオでこの件を取り上げたナインティナインの岡村隆史も「チョイスを間違えた、いじめられたっていう言葉」と指摘。この言葉の激しさが、炎上につながったという見方だ。同じ時期には、パンサーの尾形貴弘が「大っ嫌い」な芸人がいるとして「最低」「暴力がすごくて」などと動画サイトで語ったが、こちらは「犯人捜し」もそれほど盛り上がらず、炎上まではいかなかった。
さかなクンによれば、魚も小さな水槽に入れると「なぜかいじめが始まる」そうで、狭い世界で生きる人間にはいじめがつきものだ。いじめは昔より非難されるようになったが、同時に、当事者以外がネット越しにその構図を面白がれる状況もできあがっている。しかも、中山は「犯人捜し」のさなか、火に油を注ぐような投稿もしていた。
《万が一“そんなことはしていない”と吹聴するなら証拠出します》のちのち《“いじめられていた”という表現は完全に不適切でした》と修正するくらいなら、なぜそこまでやってしまったのか。
バランス感覚のなさが気になるが、ピン芸人には中山みたいなタイプがちょくちょくいる。R━1を獲ったあと、役者に転向した星田英利(元・ほっしゃん。)も不倫報道や過激な政治発言で騒がせてきた人だ。と思ったら、中山の見た目が最近、星田のようになっていて、しみじみとさせられた。
それはさておき、高橋はNHK Eテレの長寿番組『みいつけた!』で主役キャラ・コッシーの声を務めている。なかなか優れた仕事なので、こちらへの悪影響が生じないことを願いたい。
子どものケンカに親が出る、というのが野暮なように、大人のケンカで子どもの文化が貧しくなるのは残念だ。
まして、高橋は50歳で中山は45歳。オッサン同士のケンカなど、つかの間のネットニュースで消費されればもう十分だろう。
