2024年3月26日、伊勢神宮を参拝された愛子さま

 5月28日、衆参両院の正副議長が調整中の皇族数確保策の「立法府の総意」として、与野党に提示するとりまとめ案の概要が明らかとなった。

現在、協議されている『女性皇族が婚姻後も皇籍に残る』(1)案、『旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える』(2)案の2つの案を“基本的に妥当”とするようです。このまま、今国会中の改正を目指す方針です」(全国紙社会部記者)

女性宮家の創設

 長年協議が行われていた皇族数確保に向けた皇室典範改正の問題。これまでにない“超特急”での改正への動きに、戸惑う国民も多い。國學院大學講師で皇室研究者の高森明勅さんと、皇室解説者の山下晋司さんに改正後に想定される疑問をズバリ解説してもらった。

Q1:女性宮家の創設と、現在話し合われている案は異なる?

「女性宮家の定義はあいまいです。なので、男性宮家のあり方に照らすと、女性皇族が当主となり、その夫も子どもも同じ皇族であり、次の世代に受け継がれるべきなので、(1)案とは大きく異なると言えます」(高森さん)

「そもそも法律に『宮家』という言葉はなく、定義もありません。『女性宮家』という言葉が定義の曖昧なまま一人歩きしている側面があります。昨年、彬子女王殿下が三笠宮家の当主におなりになりましたが、現行法でも未婚であれば女性皇族が宮家当主になれることを多くの人が知ったと思います。かつて議論された『女性宮家』は、女性皇族が一般男性と結婚しても皇室に残り、夫も子どもも皇族になるというイメージが強かったと思います。しかし、現在議論され、大勢を占めているのは“女性皇族が一般の人と結婚しても皇室に残ることはできるが、夫と子どもは皇族にはならない”という案であり、以前イメージされていた女性宮家とは違うといってもいいと思います。その形になった場合、愛子内親王殿下は、独立した生計を営む皇族とおなりになるでしょうが、それを『女性宮家』と呼ぶのかどうかはわかりません」(山下さん)

Q2:「妻は皇族、夫と子どもは一般人」になったら、生活費や学費のやりくりはどうなる?

皇族費は現在、内親王(女性)は親王(男性)の半額という時代遅れなルールであり、同額に改正されるべきです。夫や子どもが国民でも事実上、サイフの区別は困難なので疑念を生みかねません」(高森さん)

愛子さまや佳子さまが「皇室に残るかどうか選択」する可能性も

「一般国民である夫に、『皇族費』が支払われることはないでしょうが、女性皇族に渡される『皇族費』を家族の生活費や教育費に充てても問題はないでしょう。ただし、現行の皇室経済法では、独立した生計を営む女性皇族の支給額は男性皇族の半分ですから、この改正も必要になるでしょう」(山下さん)

Q3:女性宮家として皇室に残った愛子さまと一般男性が結婚したら、名字はどうなる?どこに住むの?

夫が国民のままなら戸籍に登録されたままで、名字もそのままです。住まいは皇室用国有財産である赤坂御用地内に公費で建てられるはずですが、一般人のままであれば、疑問視する声が出てくる可能性もあります」(高森さん)

夫は一般国民のままなので名字があり、生まれてくる子どもも夫の名字を名乗ることになるでしょう。お住まいについては、現在お住いの御所を出られて、宮内庁が管理している建物か、宮邸を新築するかわかりませんが、赤坂御用地など宮内庁が管理している敷地内になると思われます」(山下さん)

2026年3月24日、初めて浜松市を訪れた佳子さま

Q4:愛子さまや佳子さまには「皇族をやめて、結婚したら一般人になりたい」という選択権はあるの?

「経過措置として、今の制度のもとで生まれ育った当事者の方々については、ご本人のお気持ちを尊重することになります」(高森さん)

現行制度で成長された方のお考えを尊重すべきですから、法改正されたとしても『皇室に残るかどうかの選択』になる可能性が高いと思われます。ただ、その選択の責任が女性皇族ご本人になりますので、どちらを選んでも批判される可能性があり、厳しい状況に追い込まれることになるでしょう」(山下さん)

Q5:(2)案では、具体的には「高円宮家」や「三笠宮家」に養子に入るということ?宮家側の反応は?

養子を迎える養親の候補は、天皇家や秋篠宮家などが除外され、男系男性は90歳でご高齢の常陸宮さまお一人だけ。寛仁親王妃だった信子さまと高円宮家の久子さまは民間出身で、女王方も未婚であり、難しいでしょう」(高森さん)

夫婦で養子に入ることもありうる

具体的にどこの宮家に養子に入るのかはわかりませんが、考えられるのは常陸宮家、三笠宮家、高円宮家でしょう。宮家側の受け止めについては、水面下の話でしょうからわかりません。法改正されて、養子縁組が成立するまでの流れは、男性皇族の結婚と同じようなものではないかと思っています。宮家と養子になる人の双方の了解を得た上で、宮内庁が皇室会議のメンバーに内々に説明し、皇室会議を開催し、決定、という流れです」(山下さん)

Q6:(2)案で旧宮家の男性養子として皇族になったら、今の仕事は辞める必要が出てくるのか?収入はどうなる?

それまでの仕事はすべて見直す必要があるでしょう。皇族(王)になれば品位保持のために皇族費が支出されます。独立した生計を営まない間は成年なら約640万円(未成年なら約213万円)。当主になれば2135万円です」(高森さん)

「現在の皇族と同じと考えればいいと思います。愛子内親王殿下のように私的な活動としてのお仕事は問題ありません。ただ、お仕事の内容が皇族として好ましいかどうかという問題はあります。明確な規定がないため、個別の判断が必要になるでしょう。また、皇族費に税金はかかりませんが、私的な活動で得た収入に関しては我々と同じように課税対象になります」(山下さん)

園遊会で和やかに会話を楽しまれる愛子さまと佳子さま、常陸宮妃華子さま(2025年4月22日)

Q7:旧宮家の若い男性たちは、「急に皇族になってくれ」と言われて納得しているの?彼女がいたらどうなる?

推進派からも “復帰(皇籍取得)したいと思っている者はいるわけがありません”などの声があります。政府は子連れの養子も想定していますが、彼女の位置づけは不明です」(高森さん)

皇室を支えるという意思を持つ人が一定数いると男系維持派の人などは言っていますが、実際のところは分かりません。養子に入る人の年齢なども決まっていませんので、夫婦で養子に入ることもあり得るでしょう」(山下さん)