『NHK連続テレビ小説』のヒロインのそばで、時にはライバルとして時には親友として寄り添い、視聴者の記憶に残ってきた“バディ”たち。あなたが思う、2人でいたからこそ物語がより深く面白くなったと思うコンビは?
朝ドラ『風、薫る』(NHK)をはじめ、『銀河の一票』(関西テレビ/フジテレビ系)、『月夜行路―答えは名作の中に―』(日本テレビ系)、『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』(テレビ朝日系)、『エラー』(ABC/テレビ朝日系)など、“女性のバディ”ものが今季の春ドラマを席巻している。
振り返ってみれば、朝ドラではいろいろなタイプのヒロインと親友などのコンビが登場してきた。そこで日本全国30代から60代男女300人にアンケートを実施。朝ドラで人気を呼んだ“女性バディ”ものについて調査を行った。朝ドラ史に燦然と輝くのはどの2人なのか。
5位は『カムカムエヴリバディ』深津絵里&市川実日子
15票を集め、5位にランクインしたのは、2021年度後期に放送された『カムカムエヴリバディ』のヒロイン・るい(深津絵里)と恋敵・一子(市川実日子)の2人。同作はラジオの英語講座やジャズ、時代劇と共に生きた母娘孫三代の100年にわたる壮大な物語だ。アンケートでは、
「恋のライバルから唯一無二の親友になったところ」(山口県・女性・54歳)
といった声が集まった。
「『アンナチュラル』『凪のお暇』(共にTBS系)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ/フジテレビ系)など、市川実日子さんがヒロインの女友達を演じると濃いバディ感がにじみ出るんです」
こう語るのは、漫画家でドラマウォッチャーのカトリーヌあやこさん。
「女同士の友情はどうしてもベタベタしがち。ところが市川さんが演じると“私は私、あなたはあなたの道を行って”と言っておきながら、相手がピンチに陥ると助け舟を出す。この、ある意味クールなおとこ気が、バディ感の肝ではないでしょうか」(カトリーヌさん)
4位は『虎に翼』の伊藤沙莉&森田望智
18票を集め4位にランクインしたのは'24年度前期に放送された『虎に翼』のヒロイン・寅子(伊藤沙莉)と幼なじみで兄嫁になる花江(森田望智)のバディだ。この作品は日本で初めて弁護士、判事、裁判所長を務めた三淵嘉子さんをモデルにしたオリジナルストーリー。
「女学校の同級生が義理の姉妹になり、職業婦人と専業主婦の道に分かれても、学生時代の友情や関係性がそのまま続いているようで安心できた」(東京都・女性・69歳)
といったコメントが寄せられている。
「テーマが法律だけに、寅子の周りには偏見や差別に苦しむキャラクターが大勢登場します。そんな中で花江は、家庭を守るその時代の一般的な女性。
社会進出する女性だけが偉いわけではなく、登場人物一人ひとりが戦前戦後の混乱期を生き抜いてきた。その様子をそれぞれの視点から描いた『虎に翼』は、今までにない朝ドラとなりました」(カトリーヌさん)
寅子と花江は、多様性の時代の始まりを告げる女性バディの先駆けとなった。
3位は『あんぱん』の今田美桜&志田彩良
23票を獲得し3位にランクインしたのが、'25年度前期に放送された『あんぱん』のヒロイン・のぶ(今田美桜)と幼なじみの同級生・うさ子(志田彩良)。国民的な漫画家・やなせたかし氏とその妻・小松暢さんをモデルにしている。
「仲良しなのに、ライバルっぽいところが良かった」(熊本県・女性・46歳)
といったコメントが寄せられた。しかしカトリーヌさんは、
「幼なじみで女学校へも一緒に進学しましたが、うさ子の登場シーンがあまりにも少なすぎた。これなら、のぶの夫・嵩(北村匠海)と生涯の友で義理の弟になる健太郎(高橋文哉)のほうがよっぽどバディ感があった。バディなら節目節目で一緒にいてほしかったな」
三姉妹の次女・蘭子(河合優実)、三女メイコ(原菜乃華)が大きな爪痕を残しただけに、かすんで見えてしまうのも致し方ない!?
2位は『花子とアン』の吉高由里子&仲間由紀恵
34票で2位にランクインしたのは、'14年度前期に放送された『花子とアン』のヒロイン・はな(吉高由里子)と、伯爵家の令嬢・蓮子(仲間由紀恵)のバディ。名作『赤毛のアン』の日本語翻訳者として知られる村岡花子さんの半生を描いたフィクション。この2人の魅力については、
「はなちゃん、蓮さま~と呼び合う2人のかけ合いがとてもステキだった」(北海道・女性・65歳)
「育ちの違いを超えて、親友になったところが本物の心が通じ合っている関係で良い」(神奈川県・女性・62歳)
などの称賛コメントが寄せられている。
「女学校時代に知り合い、“腹心の友”になった2人が翻訳家、歌人となって切磋琢磨する。戦争中は対立して没交渉になることもありましたが、生涯の友としてその姿を描き続けました。
蓮子さまにフォーカスする週もあり、Wヒロインといってもいいようなバディでした」(カトリーヌさん)
現在放送中の朝ドラ『風、薫る』にも仲間由紀恵が侯爵夫人の役で登場している。あの“蓮さま”を思い浮かべた朝ドラファンもいるに違いない。
1位は『あまちゃん』のん&橋本愛
そして朝ドラ“女性バディ”の1位に輝いたのは、51票を集めた『あまちゃん』。アキ(能年玲奈、現・のん)と親友・ユイ(橋本愛)の2人だ。
朝ドラ史上、不朽の名作として'13年度前期に放送され、13年たった今もその記憶が色あせることはないようだ。
「明るく天然なのんと、ツンデレな橋本愛。好対照のキャラクターの2人で噛み合わないところが飽きさせなかった」(山形県・男性・61歳)
「2人の掛け合いが見ているだけで微笑ましかった」(山形県・男性・51歳)
朝ドラの常識を覆したといわれる『あまちゃん』の魅力について、カトリーヌさんは、
「朝ドラは、生まれた地元から都会へ出て、戻ってくる中でのヒロインの成長を描くのが定番でした。ところが同作は違う。都会から母の実家・北三陸に戻り、自分の居場所を見つけたヒロインのアキ。北三陸で育ち東京でアイドルになることを夢見るユイ。
2人の夢が交錯するうちに、東日本大震災が起きて復興の光が見えてくる。宮藤官九郎さんの脚本が冴えわたる、朝ドラ史上最強の女性バディものとなりました」
ドラマが放送された年の『NHK紅白歌合戦』では、ユイが1度も訪れることができなかった東京の舞台に立って歌うシーンが用意され、ファンの間では“伝説”として朝ドラ史上に新たな1ページを刻んだ。
さらにカトリーヌさんイチ推しの“女性バディ”もの。それが、'25年度後期に放送された『ばけばけ』のヒロイン・トキ(髙石あかり)と幼なじみのサワ(円井わん)である。
「節目節目でちゃんとわかり合い、それぞれのカタチで幸せをつかんでいく。そして泣きたいときは、互いの胸の中で泣く。そんなシーンが強く印象に残っています」
現在放送中の『風、薫る』のW主人公も大きな爪痕を残してほしい。
<取材・文/島 右近>
