永作博美

 永作博美(55)が14年ぶりに連ドラに主演した『時すでにおスシ!?』が、6月9日放送で最終回を迎える。

永作博美のベビーフェイス

SUPEREIGHT・丸山とのツーショットを公開した永作博美(公式インスタグラムより)

 上白石萌音の『恋はつづくよどこまでも』や夏帆の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』など若手女優主演でヒット作を多数生み出してきたTBSの火曜ドラマ枠に、50代の永作が主演するのは極めて異例のこと。自身も公式インタビューで「(制作陣が)挑戦してきたなと思いました」と語っていた。

 だがドラマが始まって再認識されたのは、変わらぬ永作のかわいらしさで、ネットで永作を検索すると、“永作博美 かわいい”が上位候補に出てくるほどだ。その魅力とは何なのか? それは恐らく、かわいさとカッコよさが同居した“普通っぽさ”にあるのではないだろうか。

 永作は若い頃から、年齢よりも幼く見えるベビーフェイスと、対照的な落ち着いた振る舞いが特徴だった。

 本作でもその印象は変わらず、容貌が老け込まないし、体形も変わらないことに、まず驚かされる。そういえば2010~11年に永作が出演し、「あなたって不思議だわ、あなたっていくつなの?」という歌が流れる「資生堂エリクシール シュペリエル」のCMがオンエアされていたが、今こそそのCMを流して欲しい感じだ。社会人になった息子(中沢元紀)に「重いんだって!そういうの全部!」と拒絶され、子離れに悩む母親役だったが、その思い悩んだり、スナックでくだをまいたりする姿も含めてかわいらしかった。

 その一方で、夫亡き後、女手一つで息子を育て、スーパーの仕事をテキパキとこなし、鮨アカデミーの仲間たちを適度な距離で見守る様子は、カッコよかった。

 中でもそんな役柄を象徴するのが、走るシーンだ。第1話の冒頭でバスに乗ろうと走る場面があったのだが、その走りが速くて驚かされた視聴者もいるだろう。実は元陸上部という設定で、SNSを見ると事前に元短距離選手に走りを教わったようで、どうりでフォームが見事なわけだ。この走るシーンは、その後も何かの考えに集中したい時など、折に触れて登場するので、見返してみてほしい。

大人になって評価が高まるような女性

 それを見て思い出したのは、筆者の中学時代にもこういう陸上部の女子っていたな、ということだ。

 クラスには大抵、目鼻立ちもくっきりしたマドンナ的な女子がいるものだが、そうしたポジションとは無関係な場所で我が道を歩み、ある日突然、地区の大会で上位入賞を果して学年を驚かせたHちゃんという子だ。

 それ以外では目立たなかったけれど、大人になってから、同級生の男たちで飲み会をした時に、誰が可愛かったかという話で盛り上がったことがある。いろいろ名前が挙がる中で、誰かがHちゃんを挙げると、「そういえば可愛かった」「今ならHを好きになってる」と、満場一致でうなずき合ったのだ(女性読者の方、男たちは愚かですみません)。

 そうした、大人になって評価が高まるような女性がいるものだ。もし50代になって同窓会でHちゃんと再会して、こんな風な女性になっていたら感激するだろうなと、そんなことまでこのドラマの永作は思わせてくれた。

 女優は50代になると、母親役で脇に回ることが多くなるが、それだけではもったいないとも感じた。

 思えば永作は、代表作の『週末婚』や『青い鳥』などでも、目立つ女性の陰に隠れて、堅実に幸せをつかみ取っていく役が多かった。そうした“普通っぽさ”こそ永作博美の魅力で、だから女性の共感も得られるのだろう。

 本作で演じているみなとは、スーパーで新しい店舗の店長を打診されており、それを引き受けるのかどうか。

 そして何より、互いに好感を持ちながらも、恋愛感情といえるのかはわからない松山ケンイチとの関係はどうなるのか?

 極めて普通の女性が、どんな第2の人生を手に入れるのかは、視聴者にとっても身近な問題だ。最終回の展開に注目するとともに、視聴者を魅了した永作の今後の活躍にも期待したくなる。

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。「3年B組金八先生卒業アルバム」「オフィシャルガイドブック相棒」「ヤンキー母校に帰るノベライズ」「IQサプリシリーズ」など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に「風景印ミュージアム」など。歴史散歩の会も主宰している。