長い歴史を誇る大河ドラマ。その中でも高視聴率をマークしてきたのが戦国時代を描いた作品だ。では戦国大河で、最も人気のある武将は誰なのか。
『週刊女性』が今年行ったアンケート調査「好きな&嫌いな戦国武将ランキング」によると、並み居る戦国武将を抑えて織田信長が1位に輝いている。
そこで今回は、日本全国30代から60代男女300人を対象にアンケートを行い、歴代大河ドラマで「大好きな織田信長役ランキング」を徹底調査することにした。
さまざまな信長像の中で、人気ナンバーワンに輝く俳優は一体誰なのか。
“ジュリー”こと沢田研二が信長に!?
19票を集めて、第5位にランクインしたのが日本での活躍は言うに及ばず、映画『PERFECT DAYS』でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞の栄冠を手にした役所広司(70)である。
役所信長が登場するのは山岡荘八の国民的な歴史小説『徳川家康』を1983年に大河ドラマ化したもの。
だが驚くなかれ、あの“ジュリー”こと沢田研二がもともと、同作で信長を演じることになっていたという。
「スケジュールの調整がつかず配役発表の1週間前に降板。次に白羽の矢が立ったのが、当時“演劇界の東大”といわれるほど狭き門だった、無名塾に所属する役所さんだったといわれています」
そう話してくれるのは、ドラマウォッチャーの田幸和歌子さん。
「ところが放送が始まるや問い合わせの電話やファンレターが殺到。一躍注目を集め、名優として活躍するきっかけをつかみました」(田幸さん)
同作が出世作となった役所広司には、
「風貌、口調、表情の機微、イメージどおり」(東京都・男性・63歳)「初登場のときの若く荒々しく、傾奇者の雰囲気がとても印象に残っている」(大阪府・女性・56歳)
といった意見が寄せられている。今から40年以上も前なのに19票も獲得。役所信長はそれだけインパクトがあったというわけだ。
大河ドラマ史上最高齢の信長
第4位には22票を集めて反町隆史(52)がランクイン。前田利家(唐沢寿明)とその妻まつ(松嶋菜々子)が加賀百万石の礎を築く物語『利家とまつ~加賀百万石物語~』('02年)に登場。その中で反町は若々しく野性味あふれる信長像を演じている。
「反町さんは前年に松嶋さんと結婚。21世紀最初のビッグカップルの誕生に話題沸騰。ドラマ開始当初から大きな注目が集まっていました。しかも反町さんはスラッとした長身でクール。トレンディードラマのような雰囲気をまとって時折、白い歯を見せて笑う。その姿がたまりませんでした。今までの強い信長と違う、笑顔を見せる信長像が女性視聴者の心をグッとつかみましたね」(田幸さん)
反町信長には、
「大柄で少し不良っぽいところがピッタリだと思う」(福岡県・女性・65歳)
「顔面がシュッとして体格もちょうどよかった」(新潟県・女性・45歳)
といった声が寄せられている。
第3位に選ばれたのが23票を獲得した『秀吉』('96年)での渡哲也さん(享年78)。豊臣秀吉を主人公にした大河ドラマは、'65年の『太閤記』以来、2作目。主演・竹中直人の熱演ぶりもあって平均視聴率30%超えを達成している。そんな渡信長にも、
「寡黙で眼光鋭く、言葉に力があり、人を威圧する迫力がある」(東京都・男性・65歳)
「厳しいイメージにピッタリだった」(宮城県・男性・41歳)
「竹中さん演じる“陽”の秀吉に対して、低音の鋭い声、威厳に満ちた風格。この2人の対比が素晴らしかった。あの迫力はいろんな経験を積んできた渡さんだから出せるものです」(田幸さん)
大河ドラマ史上最高齢の渡信長は、このとき55歳。
日活映画、東映実録ヤクザ路線を経て、『大都会』『西部警察』で培ったすごみのある演技は今見ても唯一無二の存在感を放っている。
28票を獲得して第2位にランクインしたのは、'23年に『どうする家康』で信長を演じた岡田准一(45)である。
すでに'14年『軍師官兵衛』で大河ドラマに主演している岡田は、映画『蜩ノ記』『関ヶ原』『燃えよ剣』などで映画賞を総なめにしてきた。岡田信長に対して、
「体幹がしっかりしていて所作が素晴らしかった」(神奈川県・男性・53歳)
「リアルに殺陣がうまい」(愛知県・男性・69歳)
などのコメントも寄せられている。
「武術家・柔術家としての顔を持つ岡田さん。肉体的な説得力があるから何しろ殺陣が美しい。過去最強の信長ではないでしょうか。その一方、家康役の松本潤と相撲を取るシーンでは“待ってろよ、竹千代。俺の白兎”と言って舌舐めずり、顎クイするなどBLっぽいシーンも満載。
家康の前に立ちはだかる壁であり、愛する弟を可愛がる兄でもある。こじれにこじれた愛憎劇が大きな見どころになっていました」(田幸さん)
新たな信長像を作り上げた岡田准一。さすがに懐が深い。
「まさしく織田信長」鬼気迫るシーンに圧倒
歴代信長役ランキングで見事第1位に輝いたのが、53票を獲得した小栗旬。
現在放送中の『豊臣兄弟!』で演じる信長像に対して、
「気性が荒い演技がうまい。まさしく織田信長にピッタリな感じがする」(鹿児島県・男性・39歳)
「傍若無人なだけでなく、心の葛藤の様子も演じている」(宮崎県・女性・53歳)
など称賛コメントが寄せられている。
「小栗さんが出てくると、やっぱり華があるからドラマが小栗さんの色に染まってしまう。特に心を奪われたのが第6話。仲の良かった弟・信勝(中沢元紀)が謀反を企てていることを知り、柴田勝家に討たせ、亡骸を抱きかかえ顔を真っ赤にして慟哭するシーン。
そして、第14話。浅井長政(中島歩)の裏切りを知って怒りを露わにする鬼気迫るシーンには驚きました。信じる者に裏切られ孤独になっていく信長。その姿を目の当たりにするうちに、出番は少ないですが小栗信長が主役に見えてきてしまいました」(田幸さん)
本能寺の変で小栗信長がどんな最後を迎えるのだろうか。今から楽しみで仕方がない。
今回「トップ5」に入らなかったものの田幸さん“イチ推しの信長”は、'20年に放送された『麒麟がくる』に登場する染谷将太(33)演じる信長だという。
「信長といえば、気が短く豪放磊落でカリスマ性に富んだキャラクターを想像します。でも童顔でいつもニコニコしている染谷信長はその真逆。しかし回を重ねるごとに子どものまま育ったピュアな切なさと、恐ろしさを兼ね備えるサイコパスなキャラが見えてくる。今までに描かれなかった新しい信長像が描かれていてワクワクしました」
《泣かぬなら殺してしまえホトトギス》
といったパブリックイメージとはかけ離れた染谷信長。さまざまな解釈で演じられてきた信長だが、この先どんな新しい“信長像”が出てくるのか楽しみだ。
取材・文/島 右近
