NHK連続テレビ小説『風、薫る』が、ここにきて勢いを増している。6月3日放送の第48回は世帯視聴率16.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、番組最高を大幅に更新した。これに伴い第10週(6月1日~5日)の週間平均は14.8%に達し、番組最高を記録する結果となった。
序盤の第1週は14.3%、第2週13.6%と低空飛行が指摘され、「朝ドラ史上ワースト更新圏内」との報道さえあったことを考えると、まさにV字回復である─。
“シマケン”こと島田健次郎
視聴率上昇の要因を単純に特定するのは難しいが、SNSでは一人の登場人物の名前が頻繁にトレンド入りしている。Aぇ! groupの佐野晶哉(24)が演じる“シマケン”こと島田健次郎だ。
視聴者の間で《シマケン沼にハマった》《シマケンさんがりんさんを見つめる目にキュンでした》《シマケンさん、男の顔になってきましたね》といった声があふれ、朝ドラファンを沸かせている。
シマケンが初めて画面に現れたのは4月13日放送、第11話のラスト数秒。瑞穂屋ののれんをかき分け、ボサボサの頭を掻きながら登場しただけで、ファンからの反応が相次いだ。
続く第12話では外国人客にフランス語でさらりと対応し、りん(見上愛)が「学校の先生?」と尋ねると、「どうしてそんなに何者かにしたがるんですか?」と問い返す。そして「俺は、何者でもない。変わり者の島田健次郎。シマケン」と名乗って去っていった。
佐野晶哉の役作りへの苦悩
佐野は役作りにあたり、撮影前の夏場からプライベートで下駄を履いて生活し、フランス語のレッスンにも通った。『ステラnet』の取材で、佐野は「撮影直前にA4の紙1枚分のフランス語が追加されたこともあった」と苦労を語りつつ、「セリフの言い方や文脈を考えている時間は、めちゃくちゃ楽しい」と明かしている。また、「僕もアイドルとして一歩外に出ると“何者でもない”と感じていた時期がありました」と告白し、その経験がシマケンの演技に説得力を与えているのだろう。
「序盤の視聴率低迷は、ダブルヒロイン構造による感情移入のしづらさが指摘されましたが、シマケンの登場以降SNSでの話題量が増えたことで、新規視聴者の流入が見られるのではないでしょうか。少なくとも数字上昇の“きっかけ”になっていることは間違いなさそうです」(ドラマ誌ライター、以下同)
現在放送中の第11週では、シマケンが女郎・夕凪(村上穂乃佳)の境遇を無断で新聞に掲載し、りんが激怒する展開が物議を醸している。視聴者の間では《りんの怒りをシマケンはどう受け止めるんだろう》《胸が締め付けられるような展開》と賛否両論が飛び交い、キャラクターへの関心はさらに高まった。
視聴率はあくまで一つの指標に過ぎない。しかし、第10週で番組最高を更新し作品の空気が確実に変わりつつあることを示している。「新聞には、文字には力がある」と語ったシマケンとすれ違ってしまったりんとの今後の展開に視聴者も釘付けだろうーー。
