『メルカリ』の関連会社・メルペイの発行する『メルカード』(公式サイトより)

 “審査”に通った。よし、これでクレジットカードが使える……と思ったら、「利用限度額0円」。そんな事例が多発しているという。『メルカリ』の関連会社・メルペイの発行する『メルカード』だ。

メルカリに募る不満

メルカリで相次ぐアカウント停止、なぜ?(公式Xより)

 メルカリといえば、突然アカウントが「利用制限」されるトラブルが多発。利用者の不満が積み上がっていたばかり。

 実際に“限度額0円”のメルカリ利用者に話を聞いた。

「メルカードを申し込み、審査が通ってカードが発行されたが利用限度額が0円だった、という事例が相次いでいるようです。私もその中のひとりなのですが、カード申し込み前にはメルカリ内で使える『メルペイクレジット』の利用限度額が30万円あったのですが、クレジットカード発行のメールが来た瞬間に利用限度額が0円になりました。利用限度額0円で発行するクレジットカードなんて前代未聞です」(メルカリ・メルカードの利用者、以下同)

 この利用者によれば、申し込みから審査完了までの所要時間には違和感があったという。

「『メルカード申し込み受付完了のお知らせ』のメールを受信したのが5月22日15時35分、メルカード発行審査完了のメール受信が同日15時36分です。申し込んでから審査完了まで1分。機械審査で行っていると思われます」

 審査は通ったのに、いきなりの“0円提示”とは。

「メルカリからの連絡、お知らせ、メールなどは一切ありませんでした。

 メルカード審査完了の翌日にメルカリに出品されていた品物を2件、メルカードまたはメルペイクレジットにて購入しようとしたところ購入できず、仕方なくメルペイ残高に銀行残高からチャージして購入しました」

 “審査通過=クレジットカードが使える”と認識するのは、一般の感覚として自然だろう。だがメルカードは違った。メルカリ側へ問い合わせするも──これは突然の利用制限の被害者に対しても同様だったが──まったく解決には至らない。

問い合わせるもテンプレ的な回答

「2回問い合わせましたが、2回とも内容は同じようなテンプレでした。“メルペイクレジットで30万円の利用限度額があったのに、メルカードの利用限度額が0円なのはなぜですか?”と聞きましたが、明確な回答はなし。“クレジットカードを利用限度額0円で発行するのは、クレジットカードとして意味がないのでは?”と質問しても同じです」

 メルカリの回答、限度額0円の理由は、《利用限度額につきましては、メルカリ・メルペイのご利用やご返済の実績、個人信用情報機関の登録情報(定額払いをお申込みされたお客さまのみ)等を総合的に勘案して、設定させていただいております》というもの。これは前出の利用者への返答だが、おそらく問い合わせしてきた人すべてに送っているテンプレ回答だろう。

「メルカード審査結果がメルカード申込後1分後に届いていることから、大した審査はしていないのかな、と思っています」

 SNSを覗くと、同じ0円提示を受けたユーザーの嘆きが並ぶ。

《メルカード通ったのに利用限度額0円って何?》
《ワイもメルカード通った!しかし利用限度額ゼロ!》
《メルカード限度額0円で発行なんて、配送料のムダだと思うんだけど、、、》
《メルカード申し込んだら作れた!審査通った!!と思ったらこれなんだけど。限度額0円てこと??0円のカードなんて要らないんだけど》

 メルカリ側はメルカードの利用限度額の算定基準について公表していないが、《メルカリおよびメルペイの利用》が影響することは明らかにしている。

 前出の利用者の場合、メルカード申し込み以前は2月に3点、3月と4月に1点ずつ、5月に2点をメルカリで購入。売却は4月から5月の間に7点。出品・売却した商品も、“転売ヤー”と疑われるような利用規約違反に該当するものはない。利用回数としては十分に思える数字だ。

 はたして、何が起こっているのか。メルカリに、なぜ利用限度額0円でクレジットカードを発行するのか、また「審査に通った=カードが使える」と受け取る利用者も一定数いるはずだが、この認識のギャップについて、カード申し込み時の表示・告知上、どのような配慮があるのか問い合わせた。

「ご利用限度額が決まる詳細は不正利用やセキュリティの観点からお伝えできませんが、利用限度額の定期的な見直しや算定する与信のロジック自体も定期的に見直し、お客さまの利用状況にあった適切な与信を提供してきています。そのため、今回『メルカード』をお申込み頂いた際に改めて最新の情報で与信判断を行った結果、これまでの利用限度額と異なる結果となる可能性はありうるという回答となります」(メルカリ広報部、以下同)

なぜ0円で発行が?

 0円でも発行されるロジックは……。

「“クレジットの利用限度額が0円”となる場合でも、メルペイ残高(銀行チャージや「メルカリ」の売上金)・ポイントを使ったカード支払いはご利用可能となり、この新たなカードの機能をお客さまにご利用頂けるよう、クレジットの利用限度額が0円であっても『メルカード』は発行される場合がございます。

 これにより、より多くの方が残高を利用したクレジットカード決済ができるようになり、プリペイドやデビットカードでは決済できないお店でも、お買い物ができるようになりました。さらに、利用限度額がゼロからスタートしても、残高払い等の利用実績に応じて、利用限度額が段階的に増加していくことを企図しており、徐々に利用限度額を増やしていくことで、より便利に、安心・安全にクレジット支払いをご利用いただけるように設計しております」

 クレジットの限度額が0円というのは“仕様”。

 また、メルカリ側によればあくまで一例と注釈を入れ、一般的に限度額が減る理由として挙げられたのは3つ。1.メルペイや他社サービスの支払いが期限を過ぎる、2.長期間メルカリやメルペイを利用していない、3.引っ越しや転職などで登録情報が古いまま──というもの。ただし、冒頭のユーザーはいずれにも当てはまらないように見える。

 審査が通ればカードが使えると思うのは当然ともいえる。現在SNSで多くのユーザーが不満を表していることから、その説明がなされていないのでは……?

「ご指摘いただきましたお客さまのご認識とのギャップに関するご意見については、より分かりやすいご案内に務めるとともに、安心・安全にご利用いただけるよう引き続き改善をしてまいります」

 メルペイは、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」というミッションを掲げている。メルカリというフリマサイトを起点に、クレジット、ポイント、後払い、貸金へと事業を広げ、楽天経済圏に次ぐ“メルカリ経済圏”といえるようなものの構築が着々と進んでいる。便利になればなるほど、ユーザーは囲い込まれていく。

 確かに顧客の“信用を創造”しているが、顧客対応など、逆に信用を失いつつあるのは、ほかでもないメルカリ自身なのかもしれない。