監禁や殺人の罪に問われている内田梨瑚被告

 2024年4月19日の未明、北海道旭川市の渓谷、神居古潭にある橋の上で当時17歳の女子高校生の命が奪われた。

「監禁や殺人の罪に問われているのは、主犯として起訴された内田梨瑚被告。共謀した小西優花受刑者はすでに実刑判決を受けており、懲役23年が確定しています」(全国紙社会部記者、以下同)

《旭川女子高生事件》争点は…?

 内田被告の裁判員裁判は'26年6月8日に結審し、検察は懲役27年を求刑した。判決は6月22日に言い渡される予定だ。

 そもそも内田被告と被害にあった女子高校生は、直接の面識はなかった。2人が知り合うことになったのは、SNS上でのトラブルが原因だった。

「ラーメンを食べている内田被告の写真を、女子高校生がSNSに投稿したことが発端となりました。無断で投稿されていた事実を、女子高校生と面識のあった当時16歳の少女から知らされた内田被告は激怒したといいます」

 '24年4月18日、投稿された写真の削除と謝罪を求め、女子高校生を北海道留萌市内の道の駅に呼び出した。

「当日は内田被告と小西受刑者に加え、16歳の少年少女2人が恐喝、監禁に関与しました。車に乗せられた女子高校生は、旭川市内や近郊を長時間連れ回され、監禁・暴行を受けたといいます。検察は、車内で謝罪を求められるなどの精神的な圧力を受けた被害者は、逃げ出せない状態に置かれ、内田被告らの支配下にあったと主張しました」

 日付が変わった4月19日。内田被告と小西受刑者、女子高校生の3人が乗った車は深夜の神居古潭へ向かった。

「神居古潭は石狩川沿いに位置する景勝地で、深い渓谷と急流で知られる場所です。その場で内田被告らは女子高校生を全裸にして暴行。橋の欄干に座らせ、謝罪する動画を撮影しました」

 動画が撮影された直後、女子高校生は石狩川へ転落。5月21日、現場から約60km下流で遺体となって発見された。

 内田被告の裁判では、女子高校生が橋から転落した瞬間に何が起きたのかが争点となった。

「裁判の最大の争点は、内田被告が物理的に押したのか、それとも被害者が極限状態の中で自ら転落したのかという点です。ただし、検察はどちらであっても被告らの行動によって死に至ったとして殺人罪が成立すると主張しました」

懲役27年の求刑に疑問を持つ声も

 '26年5月25日の初公判で内田被告は、

「私には殺意はありませんでしたし、橋から落下させていません」

 と、殺人などの罪を否定。しかし、同年5月27日の公判では小西受刑者が証人として出廷し、

「梨瑚さんが肩甲骨あたりを両手で押しました」

 と証言。内田被告が裁判で語った内容は“すべて作り話”だとし、女子高校生に対して、「早く落ちろ」「自分で死ねや」と発言していたと話した。

 これを受けて内田被告は、

「殺意があったんじゃないかと言われるのは、当然だと思います」

 と答えたが、殺意については一貫して否定した。内田被告の母親も裁判に出廷し、

「梨瑚の証言を信じています」

 と、面会で“女子高校生やご遺族に誓って嘘をついていないと言えるか”と2回、内田被告に問いただしたことを明かした。

旭川女子高生殺害事件で内田梨瑚被告らが女子高生を転落させたとされる旭川市の吊り橋

 裁判が進むにつれて遺族の悲痛な思いも明らかになった。女子高校生の母親は、

「恐怖、怒り、悲しみがどれほどだったかと思うとやりきれません。いちばんの願いは、生きて返してもらいたいということですが、それはかないません。そうである以上、極刑を望みます」

 と訴えた。父親も、

「どうか娘が望む判決を下してください」

 と涙ながらに語った。

 こうした裁判の報道が続くなか、ネット上では厳罰を求める声が噴出した。

《もし自分の娘がやられたら27年で納得できる?》
《無期懲役でもまだ優しい》
《更生なんてしないから死刑にするのが妥当》

 SNSやニュースサイトのコメント欄は、厳罰を望む声で埋め尽くされたが、今回の事件で“無期懲役”や“死刑”といった厳罰が下される可能性は限りなく低いという。

弁護士の見解は…

 アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士によると、

《旭川女子高生事件》事件発生から裁判までの経過

「現在の裁判実務では、死刑のハードルが非常に高く、特に被害者が1人のケースでは、死刑が回避される傾向が相対的に強いです。もちろん例外もありますが、それは身代金目的や保険金目的、凄惨な性犯罪を伴う事件、あるいは綿密に練られた高度な計画性が認められた場合など。

 今回は、確かに残虐な事件ではありますが、これまでの前例に照らし合わせると、死刑が選択される可能性は低いと言わざるを得ません」

 現実的に内田被告には、どのような判決が下される可能性が高いのか。

「共犯の女に懲役23年の判決が確定しています。検察側の主張どおり、内田被告がすべての主導権を握っていたと認定されれば、それより重い刑になるのは間違いありません。私の見解としては、懲役25年から、求刑どおりである懲役27年前後の有期刑が最も有力なラインだと考えています」(正木弁護士、以下同)

 裁判所が事件の悪質性を極限まで重く見た場合でも、求刑を超える判決の可能性は低いという。

「法律上、裁判所が求刑を上回る判決を出すことは可能です。しかし、今回の裁判では懲役の上限は27年になります。死刑や無期懲役は難しいので、求刑を超える判決の可能性は低いと考えられます」

 6月22日、裁判員たちはどのような結論を導き出すのか。どのような判決が言い渡されたとしても、17歳の少女の未来が戻ることはない。そして遺族が失った日常もまた、二度と戻ることはないのである。