総務省は5月29日、2025年国勢調査の速報値を発表。外国人を含む日本の総人口は'25年10月1日現在、約1億2305万人で、'20年の前回調査に比べて約309万6000人減った。
減少数、減少率とも過去最大だったことについて、
「第2次世界大戦後の1947年から'49年の第1次ベビーブーム期に生まれた団塊世代が現在77歳~79歳。団塊世代の特に男性を中心に多く亡くなっていることが人口減のいちばん大きな要因になっています」
と話すのはニッセイ基礎研究所で人口動態について研究する天野馨南子さん。
婚姻率が上がらない理由のひとつ
そんな中、沖縄県は0・1%、東京都が1・4%と2都県のみ人口増が見られた。
「人口が増えた沖縄県や東京都は高齢者の比率が他の道府県より低く、若者が多い。東京都は20代の人たちが就職などを機に上京し、定着率も高いので、人口構造が若いことによって、高齢者の死亡の影響が抑制されたのです。
東京都の、移動による増加人口の8割~9割を占めるのが20代なので、人口が増えたということは20代が増えたと考えられます。20代が来てくれるか、出ていかないかで地方創生の勝敗が決まっています」(天野さん、以下同)
沖縄県の平均年齢は全国で最年少の43・5歳('20年国勢調査より)。若い人が多いため、東京都と同じく減少に歯止めがかかったと考えられる。
埼玉県、千葉県の人口減は統計開始以降初めて、神奈川県は終戦直後の'45年調査以来の人口減に。首都圏にもかかわらず、なぜ人口が減ったのか?
「神奈川県、千葉県、埼玉県は東京一極集中により、東京の近隣エリアに住民が拡散しています。しかし、東京都ほど若い人を集められておらず、70代の団塊世代の高齢者割合が東京都より高いため、今回、人口減に転じたのでしょう」
若い女性が地方から首都圏に流出していることについて、
「地方だと女性が任される仕事は観光、介護、保育などが主だから。東京都だと女性が性別に縛られずに、多様な仕事を選択できるからだと思います」
少子化は国の想定より15年ほど早いペースで進んでいる。人口減少を止めるには、どうしたらいいのだろうか。
「結婚した女性が産む子どもの数は、半世紀前からほぼ不変です。婚姻数が減った分だけ出生数が減っています。結婚願望がある若者は30年前の9割水準を保っています」
結婚したい人が多いのに、なぜ婚姻数が減っているのか。
「日本は正社員男女の賃金格差がOECD(経済協力開発機構)加盟の世界38か国中、韓国に次ぐワースト2位と男女格差が大きい。韓国と日本で未婚化、少子化が猛烈に進んでいるのは、Z世代男女が結婚後に望む雇用が提供されていない問題が大きい。
婚姻率が上がらない理由のひとつに、婚姻後の夫婦の経済力維持への不安があります。性別に関係なく、老後まで安定して働ける環境づくりが国に求められます」
少子化、東京一極集中を解決するカギはジェンダーギャップの改善なのかもしれない。
