28年度前期のNHK連続テレビ小説の情報が公開された。
歌人・斎藤茂吉の妻・輝子の生涯をテーマにした物語で、タイトルは『ほんのモキチ』。主演は河合優実で、脚本はクドカンこと宮藤官九郎が手がける。
朝ドラファンの反応はビミョー
意外なのは情報公開のタイミング。朝ドラは現在放送中の『風、薫る』のあと『ブラッサム』『巡るスワン』と続くが、来年度後期の作品が未発表となっている。1作品飛ばしての情報公開は、ちょっと異例なのだ。
あるいは、どこかのメディアにスクープされそうになり、その前に慌てて発表したのかもしれない。
ただ、朝ドラファンの反応はビミョーだ。河合が主人公の娘を演じたヒット作『不適切にもほどがある!』(TBS系)がクドカン作品だったため、再タッグを喜ぶ声がある一方で、新鮮味がないとする声も。
また、河合は昨年の朝ドラ『あんぱん』でヒロインの妹を演じていて、最近では主流となった朝ドラ内昇格パターン。13年前に宮藤が手がけた『あまちゃん』が能年玲奈(現・のん)という無印女優の出現によって盛り上がったような効果は期待できない。
さらに言えば、宮藤は'19年にNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を担当したが、史上最低の視聴率に終わってしまった。
それでもなお『ふてほど』コンビに懸けることにしたNHK。しかし、民放色の濃い脚本家の起用は、ともすれば違和感をもたらしかねない。
その典型が『純と愛』。前年に『家政婦のミタ』(日本テレビ系)をヒットさせた、脚本家・遊川和彦の朝ドラらしくない作風が視聴者を戸惑わせた。また『半分、青い。』では「トレンディードラマの女王」北川悦吏子が担当。脚本家がアンチとSNSで「場外乱闘」してしまうという異例の事態となった。
とはいえ、朝ドラの看板は主役であり、その好感度が成否を左右する。その点、河合は十分な貯金の持ち主だ。『あんぱん』では薄幸だが芯のある役を演じて、主役を食ったという声も出た。
朝から不快に感じる人もいそう
ただ、この作品では今田美桜や原菜乃華のような、タイプの違う女優とのコントラストがプラスに働いていた。そういう意味では、女中役やヒロインの生き別れた妹役を経て『おかえりモネ』に主演した清原果耶が、いまひとつの評価だったことを思い出したりもする。
しかも、河合の主演朝ドラまでにはまだ2年もある。その間に、スキャンダルで失速するかもしれないし『ふてほど』の印象も薄まってしまう。NHKにすれば、来年あたりパート2でもやってほしいところだろう。
ちなみに『ほんのモキチ』は「朝ドラ史上最も不仲な夫婦」の物語だという。おそらく夫婦ゲンカがリアルかつコミカルに描かれるのだろうが、朝から不快に感じる人もいそうで、結構難しい方向性なのではないか。
なお、朝ドラは8時開始となった『ゲゲゲの女房』('10年度前期)から約10年、安泰期が続いたが、ここ数年はそうでもない。次々作の『巡るスワン』でやはり民放色の濃い脚本家・バカリズムが起用されるのも、テコ入れ策のひとつと考えられる。
とはいえ、究極のテコ入れ策はかつてのように無名の若手をいきなりヒロインに抜擢するようなやり方だろう。来年度後期の朝ドラには、それをひそかに期待している。
とまあ『ほんのモキチ』に対してはやや「不適切」な締めくくりになってしまった。「ほどがある」とまではいかないと思うが。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。
