暑い夏は、食欲も落ちて、食事の量も質も下がりがち。そんなときに食べたいのが、良質な植物性タンパク質がとれる納豆に、酢を混ぜるだけの「酢納豆」。栄養豊富で身体にもうれしい効果が盛りだくさん。超お手軽健康料理で夏を乗り切ろう!
納豆と酢を混ぜるだけの簡単健康フード
昨今の物価高騰の中でも比較的安価で手に入る納豆は、手軽に植物性タンパク質がとれ、健康にもつながる優秀食品。そこに酢をちょい足しする「酢納豆」が注目を集めている。
「酢納豆は、大豆のナットウキナーゼと酢のアミノ酸の相乗作用で、健康や美容に効果が期待できるスーパーフード。食欲が衰えがちな暑い夏を乗り切るのに、ぴったりの食品です」
そう話すのはイシハラクリニック副院長の石原新菜先生。
酢納豆の作り方は至ってシンプル。お好みの納豆と酢を混ぜるだけなので、手軽にできて続けやすい(下の《簡単!すぐできる!酢納豆の作り方》参照)。
「納豆の発酵過程でナットウキナーゼという納豆特有の酵素がつくられます。この酵素には血管内の血栓を溶かす作用があり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを下げてくれるのです。さらに、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果もあるんですよ」(石原先生、以下同)
納豆は大豆に比べて、女性ホルモンに似た作用がある成分のイソフラボンが多く含まれている。さらに、代謝や疲労回復をサポートするビタミンB群や、カルシウムの吸収を助けるビタミンK₂、ミネラルも豊富に含まれているので、シミやシワ、更年期障害、骨粗鬆症の予防効果が期待できるのだ。
「納豆を食べるだけでも病気の予防につながりますが、発酵調味料の酢と一緒にとることで、さらにパワーアップするんです」
酢には、アミノ酸やビタミンB群、ミネラルなどの成分が含まれている。
「アミノ酸は一部を除いて体内ではつくられない栄養素。そのため、食事からとる必要があります」
酢には、高血圧を改善し、内臓脂肪を減少させる働きがあり、疲労回復や肝機能のサポート、快眠効果なども期待できる。
「栄養豊富な食材を組み合わせた酢納豆は、不足しがちなタンパク質、ビタミン、ミネラルを簡単に補給できる毎日の健康維持におすすめの食品といえます」
酢納豆を食べる量は、1日納豆1~2パックが目安。酢の量は、1パックにつき小さじ1~3杯程度で自分の好みの量で調整を。
「酢納豆は毎日の食事に取り入れたい食材。途中でやめずに継続的に食べることが大切です。毎日食べられないようなら、2~3日に1回でもかまいません。でも、身体にいいからと一度に大量に食べて、その後は何週間も食べない、といった極端なとり方は、効果が下がってしまうので避けるべきです」
おいしく効率よく栄養を丸ごと摂取
この酢納豆の効果を、より高めるためのベストな摂取タイミングは、運動前後や夕食の時間帯。
「納豆にはタンパク質やエネルギーの生成に必要なビタミンB群が含まれているので、運動前後に食べるのが望ましいです。また、血栓ができやすいのは夜なので、夕食に食べれば血栓を予防できます」
気をつけたいのが、酢は酸味が強く、空腹時に食べると、人によっては胃に違和感が出ることがある。
「先にほかの食品から食べるなど、食べる順番を工夫してみてください。夕食に食べるのが難しいなら、朝食や昼食でもかまいません。まずは毎日の食卓にプラスして、継続することを意識してくださいね」
酢納豆は、そのまま食べたり、ご飯にかけたりするだけでも十分おいしいが、毎日食べるなら自分好みにアレンジするのがおすすめ。酢納豆はさまざまな食材と相性がいいので、組み合わせ次第で多彩な味わいが楽しめ、さらなる健康効果も期待できる。
「合わせる食材次第で、酢納豆の栄養素の吸収を助ける働きをすることも。例えば、ビタミンCを含むキャベツやトマトを酢納豆にあえると、納豆に含まれる鉄分の吸収がよくなります」
石原先生のおすすめは、遺伝子組み換えでない国産のひきわり納豆。
「ひきわり納豆は大豆が砕かれた状態なので、表面積が広くなっています。納豆菌は納豆の表面でのみ増えるので、ひきわりのほうがたくさんの納豆菌が摂取でき、効果をより多く得ることができるのです」
酢も、穀物酢、米酢、りんご酢、黒酢など、たくさんの酢を試してみると自分好みの酢納豆ができあがる。また、ワインビネガーなどの西洋酢を使えば、ひと味違った風味に。
「最近、いろいろなメーカーから発売されているにごり酢もおすすめです。にごり酢は発酵の過程で生まれる酢酸菌をろ過せず残しているので、大さじ1杯に約90億個もの酢酸菌が含まれています。酢酸菌は免疫力アップが期待される菌。納豆菌と一緒にとれば、さらなる効果が期待できます」
また、口当たりがふんわりまろやかになるからと納豆を100回以上かき混ぜる人がいるが、酢納豆ならその手間は不要。
「酢を加えると、軽く混ぜるだけで泡立ってふわっとした食感になります。まろやかな口当たりになり、食べやすいですよ」
酢納豆は、こしょうやオリーブオイル、キムチやガーリックチップとの相性も良好。薬味を工夫すれば、季節感のあるひと皿に。
「大葉やミョウガを酢納豆に加えれば、さっぱりとした口当たりになります。そうめんを酢納豆入りのつゆで食べると、酢の酸味で食欲増進につながりますよ」
さらに、オムレツやあんかけ焼きそばなどの料理にかけて食べてもおいしく、アレンジは自由自在。
「ナットウキナーゼは熱に弱いので、より多くの効果を得るには、熱を加えずに食べるのがベストです。炒め物やスープに入れる場合は、70℃以下になるように注意してください。酢納豆は夏を乗り切るのに心強い料理です。お子さんからお年寄りまで、そのパワーを実感してくださいね」
養満点でさっぱりおいしい夏の酢納豆アレンジレシピ
酢納豆とサバ缶そうめん
材料(2人分)
基本の酢納豆…2人分
サバ缶…2缶
めんつゆ(ストレート)…適量
大葉…2枚
そうめん…2人分
作り方
(1)酢納豆、サバ缶(汁ごと)、めんつゆを混ぜ合わせて器に入れ、せん切りにした大葉をのせる。
(2)鍋に湯(分量外)を沸かし、そうめんを表示時間どおりにゆで、冷水で洗ってぬめりを取り、器に盛る。(1)のつゆをつけていただく。
POINT
手軽に使えるサバ缶は、血管をしなやかに保ち、高血圧を防ぐ効果が期待できるDHAやEPAが豊富!
中華風の酢納豆入り海藻冷奴
材料(2人分)
絹ごし豆腐…1/2丁(150g)
海藻サラダ(乾燥)…3g
【A】
基本の酢納豆…1人分
ラー油…少々
ごま油…小さじ1/2
作り方
(1)豆腐は半分に切る。
(2)海藻サラダは表示時間どおりに水で戻し、水けをきったら【A】と混ぜ合わせる。
(3)器に(1)を盛り、(2)をのせる。
POINT
海藻サラダは食物繊維が含まれ、腸活や便秘対策に欠かせない。豆腐も、大腸のビフィズス菌のエサになるオリゴ糖を含み、腸活に最適!
簡単!すぐできる!酢納豆の作り方
(材料2人分)
納豆…1パック
酢…小さじ2
付属のタレ…1個
作り方
(1)納豆に酢とタレを入れる。納豆はパックなどの容器に入れたままでも皿に移し替えてもいい。
(2)泡が立つまでよく混ぜたら完成。
POINT
タレをしょうゆに置き換えたり、からしを足したりして、自分好みの味にしても。酢は米酢、穀物酢、黒酢など、どの種類を選んでもOK!
取材・文/松澤ゆかり
