楽天監督に就任する吉井理人氏

 東北楽天ゴールデンイーグルス新監督に、昨年まで千葉ロッテマリーンズで指揮をとった吉井理人氏(61)が就任する。6月10日に三木肇前監督(49)が休養してからわずか5日、日本代表「侍ジャパン」でもコーチ経験ある吉井氏による“チーム再建”が期待されるがーー。

 6月15日時点で23勝39敗、借金16でパ・リーグ最下位。セ・パ交流戦でも4勝13敗とこちらも最下位に終わった楽天。その責任をひとり追う形で「休養」入りした三木前監督だが、実質的な“クビ”と見られている。

 10日以降は塩川達也ヘッドコーチ(43)が監督代行を務めるも、一向に調子が上がる気配がない楽天。チーム編成に大きく関わりながらも責任を取らずに“雲隠れ”する、石井一久GM(52)への風当たりも強まる中、裏では新監督人事が早急に行われていたようだ。

吉井さんといえば近鉄(バファローズ)からヤクルト(スワローズ)に移籍してから3年間、石井GMとはチームメイトとして、野村克也さん(享年84)の指揮のもと2度のリーグ優勝に貢献。ともにメジャーリーグを知る者同士で気も合うのでしょう。

 それこそ三木前監督の休養発表前には、GMは“先輩”に連絡を取っては招集の手筈を整えていたのかもしれません」(パ・リーグ球団を取材するスポーツライター)

フロントによる“現場介入”がある

 2025年シーズンは6位ながらも、ロッテ監督就任後は2位、3位とAクラスに導いていた吉井氏。また2023年の「WBC」にもコーチとして帯同し、海を渡る前の大谷翔平投手(31)やダルビッシュ有投手(39)、佐々木朗希投手(24)の指導にもあたるなど育成手腕にも定評がある。

 チーム防御率ワーストに落ち込む投手陣の立て直しも期待されているのだろう。かつて引退後は筑波大学大学院でコーチ学を学んだ理論家が、どんなチーム改革を進めるか見ものだ。が、前出のスポーツライターも懸念するのが、

「楽天は良くも悪くも三木谷浩史オーナー(61)による、編成どころか選手起用についても現場“介入”があるチームをされています。それだけに石井GMをはじめ、球団にとって“扱いやすい”監督を置きたがる傾向にありました。

 このオーナーが”口出す”チームカラーを、理論派の吉井さんが受け入れることができるのか。勝ちがついているうちはいいですが、再び負けが込んだ時にフロントと“衝突”にならないかが心配どころ」

 しかもシーズン途中の就任とあって、三木政権から引き継ぐコーチ陣とのコミュニケーションや連携にも不安が募る。いくら経験豊富な吉井氏とはいえ、三木谷色に染め上げられたチームにおいて納得いく指揮がとれるのだろうか。

YouTube『フルタの方程式』で投球術を語った吉井理人氏(古田敦也公式インスタグラムより)

 6月2日、元ヤクルトスワローズ監督・古田敦也氏(60)のYouTubeチャンネルに、元横浜DeNAベイスターズ監督・三浦大輔氏(52)とともに出演した吉井氏。この日のテーマ「もう一度監督やりたいですか?」を論じた。

 再就任の意向を問われた吉井氏は「う〜ん、どうかな」と首を捻り、

「今の(プロ野球チームの)監督だったらやりたくないかな。なんかもうGMも、全部兼ねて監督になっているじゃないですか。一生懸命やっても次に(自身のやり方が)残らないのならやりたくないですよね」

 千葉ロッテ監督就任次も突然のオファーだったという吉井氏。「断る理由はないか」と引き受けてみるも、自分が想像していた監督業とは異なる環境に置かれた。

監督だけで決めるのはチームではない

「自分も(監督時代に)コーチに文句言って欲しかったんで。そういう雰囲気は作りたいなと思って。監督ひとりで決めるのは、チームではないと思っているんでね。結局、(最終的に)決定するのは監督なんですけども、みんなでやってる感出さないとチーム盛り上がらないから」

 吉井氏が理想とするのは監督やコーチが一丸となって、時に起用法や作戦をめぐって衝突しても「チーム全体」で戦うチーム像なのだろう。GMや監督、コーチがぞれぞれの役割を全うする、いわば「メジャー流」のチームづくりだ。

 動画公開から約2週間、「やりたくない」と拒否したばかりの監督業を引き受けたということは、三木谷オーナーや石井GM、楽天球団からは吉井氏が求めた“環境”を与えられたのだろう。

 今回も突然のオファーを受けたであろう吉井監督は、楽天の色を新しく塗り直すことができるのだろうか。