YouTuber・はじめしゃちょー

 チャンネル登録者数1630万人のトップユーチューバー・はじめちゃちょーが6月14日に公開した動画が物議を醸している。冒頭「みなさん、救急車って乗ったことありますか?」と、人生で初めて救急車に乗ったことを明かしてーー。

「別に動画にしなくてもいいなってことかもしれないですけど、何かこういうことが起きた際に、(動画が)誰かの助けになることもあるのかなと思って、一応動画にさせていただいています」

 そう前置きする動画で語られたのは、0歳の長女「ミニはじちゃん」が体調不良に陥った際の一部始終。5月3日に熱を出した長女だったが、ゴールデンウィークともあって病院とは電話がなかなか繋がらず、「小児救急電話相談」にも相談しつつ、なんとか診療できることに。

 1度は体調が落ち着つくも、帰宅後に41度の高熱を出しては「見たことなぐらいグッタリ」する長女。血液中の酸素不足で引き起こされる「チアノーゼ」症状が見られると、彼がとった行動というのが「動画撮影」

撮影はYouTubeのためではない

「動画のために撮っているわけじゃないですよ」決してYouTubeのための撮影ではなく、診療時の記録用としてカメラを向けたことを説明するはじめしゃちょー。119番通報時、搬送時や診療先で適切な治療を施すため、あらかじめ容体の映像伝送を求められる場合もある。

 つまり「動画撮影」は正解だったわけだ。「俺はそれ(動画撮影)が瞬時にできて、本当になんか…よくやれたなって感じっスね」日頃から“緊急”でカメラを回している仕事柄、アクシデントにも冷静に撮影に努められたわけだ。

2026年1月1日、長女が誕生したことを報告したYouTuber・はじめしゃちょー(公式インスタグラムより、一部編集部加工)

 そして「映像の方が伝わる」と公開したのが、高熱に苦しみ、うなされる長女の姿。うまく酸素を取り入れられずに唇は紫色になり、小さい手は小刻みに震えてけいれんを起こしている。動画を見直した父親は「悲しくなる」と涙ぐむのだった。

 けいれん症状を収めた動画公開に、コメント欄では《こうやって情報発信してくれることが非常にありがたい》《熱性痙攣は経験談、実際痙攣してる動画が本当に助かります》などと、フォロワーからは「参考になる」との感謝が述べられている。

 一方で、ネット上では記録を残す行為こそ正解としつつも、《ネットに流すかは私はどうなんだろうって思う》《苦しんでいる子供をYouTubeにあげるなんて》などと、わざわざ長女の苦しむ姿をYouTube公開したことには嫌悪感も抱かれている。

 彼にしてみれば“啓発”動であり、病床の長女を晒す意図はなかったのだろう。しかし、6月17日時点で57万回再生されている動画には、ユーチューバーとしての“危うさ”を露呈するシーンもあった。

救急車で動画回せるのってすごい

 119番通報によって救急車で病院に運ばれた長女は、適切な処置が施されて無事に帰宅。感染症などの疑いもなく、その後に回復した元気そうな様子も公開された。ハプニングをあらためて振り返ったはじめしゃちょーだったが、

「マジで記憶ぶっ飛ぶぐらいの緊迫感があったし、急いだしパニックになったし。いや逆に、異常事態で救急車で動画とか回せるのってすごいなって思っちゃった。いや、わかんない。そこで症状出てるとさ、俺も(家では)動画を撮ってたわけだし、ひょっとしたら病院で参考になることがあるかもしれませんけど、無理だった。俺はもう(救急車で動画を)回せなかったっス」

 動画では【救急車の中で動画を撮る余裕は無かった】とのテロップを流し、長女が搬送される際に動画撮影できなかったことを思い返すのだった。

福岡県・粕屋南部消防本部のHPに掲載された、救急車内での「撮影禁止」を訴えたポスター

【「人生初、救急車なう」どう思われますか???】

 福岡県・粕屋南部消防本部のHPに掲載されている、救急車内での「撮影禁止」を啓発するポスターだ。【救急車は~映えスポット~ではありません!!!】と強く訴えつつ、

【救急車は傷病者を緊急に医療機関に搬送するためのものです。救急活動中に動画や画像を撮影する行為が、観察や救命処置に支障を及ぼす可能性があります。】

 搬送時の撮影が隊員活動の弊害になりうることから「禁止」を呼びかけるものだ。

救急車で動画撮影をしていたら

 2024年、救急搬送の様子をスマホ撮影しては「人生初、救急車なう」とSNSに投稿する行為が全国各地で相次ぎ、各消防本部では上記のような搬送時の「撮影禁止」を呼びかける声が広まっている。

 しかしながら今もなお、「救急車なう」の投稿は絶えないのだろう。

 ユーチューバーらのネットトラブルに詳しいITライターによると、

「日常生活で写真や動画投稿に励んでいるSNSユーザー、そしてフォロワー数や再生回数のために日々“バズる”ネタを探しているインフルエンサーやYouTuberにとって、非日常の救急車は格好の“映えスポット”なのでしょうが、救急隊員にしてみれば邪魔な迷惑行為でしかありません。

 人生で初、しかも大切な長女が搬送されたことで“緊急”どころではなかったはじめしゃちょーですが、万一にも救急車内で動画撮影し、YouTube公開していたのならば大炎上は必至でした。冷静になった今、“動画を回せれば”との危うい思考も見えますが、“啓発”を大義名分にしての行為に至らなかったのは幸いでした

 大切な長女の案件だったがためか、「人生初、救急車なう」の炎上は避けられたようだ。