6月10日、FIFAワールドカップ北中米大会に臨む、堂安律らサッカー日本代表(JMPA代表撮影)

 待ちに待った4年に一度の祭典。日本代表の初戦でそれは起こった。

「キックオフ直後からもう音声はおかしかった。実況アナが“ボールは堂安へ!”と伝えているのに、画面に映る堂安律はとっくに別の選手へパスを出しているというような。映像と音声の大きなズレですね」(サッカーライター、以下同)

 日本時間6月15日早朝5時、ワールドカップ北中米大会における日本代表の初戦・オランダ戦がキックオフ。放送はNHK、そして大会全試合を生配信するスポーツ配信プラットフォーム『DAZN』。

音ズレは3秒ほどだったと思いますが、サッカーは3秒で局面が大きく変わる。それだけでなく元代表選手である内田篤人さんら解説者の声が割れる、その他ノイズや途切れ。この試合では元日本代表でアメリカでもプレーしていた久保裕也さんもゲスト解説でしたが、マイクの設定が悪かったのか、試合開始からしばらくは彼の声だけ異常に小さかった」

 このトラブルは電波を使った“放送”となるNHKではなく、ネット配信のDAZNで起こった。SNSではDAZNに対しての苦情・批判であふれる事態に。

「前半の途中で試合の実況を担当した野村明弘アナウンサーが“音声トラブルの発生”について謝罪。しかしその後も直らず、後半までにようやく改善したといえる状況となりました」

《月額980円》が総額2万6340円だった

 早朝から多くの国民が固唾をのんで見守った試合だったが、DAZNはそもそも、本番前からトラブルで炎上している。

「今回のワールドカップからDAZNで視聴したい層に向けたプランが、《月額980円》という文字を大きく掲げながら、途中解約できない年間プランで、総額は2万6340円。よく読めばわかるという人もいますが、その表示は非常にわかりにくく、国民生活センターに報告した利用者もいたようです」

オランダ戦での「音声不具合」を公式サイトで謝罪した『DAZN』

 批判の殺到を受けてDAZNは、6月13日に謝罪。だが、その謝罪文の言葉遣いも“引っかかり”を覚えるような表現で……。

《一部月額プランと受け取れる記載がなされていたことが発覚いたしました》(DAZN公式サイトより)

「“記載がなされていたことが発覚”って、ちょっと他人事すぎる表現ではないか。このような文言は、“十分に注意を払っていたけど、予期せぬ事態や事故が起こった”ときに表現するようなものでしょう」

 前述のとおり初戦のオランダ戦はDAZNだけでなく、NHKでも放送。元代表の本田圭佑の解説もあり、すこぶる評判となっている。

NHKではCMが挟まれないが

「これは仕方のない面はありますが、まずテレビ放送もあるときは、DAZNとテレビのタイムラグは必ず発生します。今回のワールドカップでは日本戦に限らず、NHKや民放のテレビ放送より30秒ほど遅れるラグがあります」

 ワールドカップでは今大会から『ハイドレーションブレイク』という、前半および後半途中に試合を中断して “給水タイム”が設けられるように。

「NHKでCMが入らないのは当然ですが、DAZNはこの時間にしっかりCMが挟まれます。この時間は給水だけでなくコーチ陣も含めて戦術の確認も認められていますが、DAZNではほぼカット。こういう細かいディテールも見たいからお金を払って入るのがサブスクだと思うのですが……」

「トラップ詐欺」と批判が殺到しているDAZNの契約ページ(公式サイトより)

 DAZNへの不満は、何も今大会のワールドカップが始まりではない。以前からサッカーファンを中心におなじみだった。

「まずは上がり続ける月額料金。現在はスタンダードプランで月額4200円、年一括で3万2000円と、サブスクとしてはかなり高価な部類。日本上陸当初は月額1890円でした。JリーグはDAZNがほぼ独占的に中継しているので、見たい人は契約せざるを得ない。海外のサッカーや他のスポーツも同様です。ちなみにそんなJリーグの配信は出場選手の名前の表記に誤記が異常なほどに多いですが、一向に修正されることはないですね」

もとは“オンカジ”に関係する企業

 日本進出時、スポーツ中継において“黒船”といわれたDAZN。黒船は日本に何をもたらしたのか。

DAZNはもともとオンラインでの“ベッティング(賭け)”に関係する企業でした。Jリーグの試合で無料版オンラインカジノのCMを大量に流していることが問題視され、配信を見合わせたことも。賭け事の事業はなかなか日本では難しいが、DAZNは日本の市場に多額の投資をしているので回収が必要。そこで多数の広告、惑わすような勧誘での契約者増、配信を独占したうえでの月額の値上げ。ワールドカップも含めて、DAZNのやり方は契約者の不利益のうえに成り立っているとしか思えないものが多い」

 日本は強豪オランダと見事、引き分けた。初戦から水を差したDAZNだが、新たな問題や炎上はもうせめて大会中はナシにしてほしいが……。