2025年にワシントン・ナショナルズに移籍するも、今季はマイナーリーグ3A・2Aでプレーしていた小笠原慎之介投手(28)が日本球界に復帰。“出戻り”移籍したのはセ・リーグ首位を走る読売ジャイアンツ。
6月18日の入団会見で、中日ドラゴンズからのオファーについて問われると「あまり詳しいことは相手様のことがあるので」と言葉を濁した小笠原。古巣からの連絡があったかどうかの有無も含めて明言を避けた。
2024年オフにポスティングシステム利用を容認され、自身の「夢」だったメジャーリーグ移籍を実現させた小笠原。当時は中日球団への「恩義」も語っていただけに、NPB復帰するとなれば名古屋に“凱旋”すると思われた。
ところが実際には、中日時代の年俸9300万円から倍額となる1億8000万円(推定)を用意した巨人を選んだとあっては、ファンも「恩よりもカネ」と呆れるのも無理はない。ネット上では「小笠原式FA」などの言葉も飛び交っている。
しかしながら実のところ、そもそも中日からオファーは届いていたのだろうか。そんな疑問も浮上している。というのも、
「だめでした、日本に帰ります」
「自分が決めた道だし、応援してくれる人もたくさんいる。ドラゴンズ出身の選手として恥じないように。だめでした、日本に帰ります、などといった中途半端なことにならないように」
小笠原のMLB移籍が決まった2025年1月、報道陣の取材に応じた中日・井上一樹監督(54)の話だ。エールとしては少々手厳しく聞こえる叱咤激励だったが、思えば「中途半端に帰ってくる」ことを想定したような口ぶりでもあった。
2人が中日で重なった期間はわずか1年間だが、井上監督は小笠原の性格を見抜いていたのだろうか、彼曰く「ドラゴンズの恥」になった選手はチームに必要ない、との判断を下したとも思えるがーー、
「いえ、井上監督にしてみれば、投手陣を立て直すためにもコマは1つでも多くほしい。獲得が“見送られた”のは、感情論ではなく現実的な理由でしょう」とは、メジャーの移籍事情に詳しい野球ライターだ。
小笠原がナショナルズと締結したのは2年総額350万ドル(約5億4300万円)の契約。結果として全することなく帰国したわけだが、現地でもナショナルズ側が“リリース”したとの報道はされていない。つまり“解雇”によって自由契約を言い渡されたのではなく、契約途中における巨人移籍だった可能性も出ている。
「つまり小笠原側が“契約破棄”を申し出たということです。一般的に複数年の大型契約を結んだ選手であれば、契約途中であっても自らFAを選択できる“オプトアウト”契約をつけるケースもありますが、2年契約の小笠原には通常考えにくい。
マイナーに置いておきたかったナショナルズに契約破棄を求めた場合、相応の違約金を支払うか、もしくは残りの年俸を請け負う必要があります。おそらくは小笠原本人が代理人に泣きつき、移籍話を持ちかけられた巨人が食いついた、というのが移籍劇の真相ではないでしょうか」(同・ライター)
なるほど、逆にナショナルズへの“金銭補償”を中日側が渋った、とも考えられるわけだ。6月18日(現地時間)にも、MLB公式サイトで興味深い記事が配信された。やはり、小笠原の中日復帰が実現しなかった背景に【ビジネス上の判断があった】としている。
金銭負担してまでとる選手ではない
記事によると、ポスティングで中日側が受け取った譲渡金は70万ドル(約1億1200万円)で、契約途中で小笠原を呼び戻すには、最低でも残りシーズンの年俸分100万ドル(1億6000万円)を負担する必要がある。
ともすれば中日にとって「赤字」なわけで、約5000万円を負担してまで小笠原を欲しがるかといえば「NO」と判断したということになる。
【シーズン後であれば、小笠原は移籍金ナシ。よりフラットな獲得競争の中で移籍先を選べた可能性がある。しかし、シーズン途中だった今回は、ナショナルズが金銭的負担を軽くできる相手を探すビジネスとしての取引を模索した。その条件を満たしたチームが巨人だった。】
MLB公式サイトの記事でも、金銭を負担してまでも手を挙げたのが巨人だったとある。なるほど、小笠原が会見で口にした「(巨人の)熱意が熱かった」とは、ビジネス度外視でなりふり構わずに獲得に乗り出した「熱意」のことを言っていたのかもしれない。
「昔のよしみで、勝負を生ぬるい感じでやりますって選手もいるわけない」
小笠原の巨人入団を聞いた井上監督。“中途半端で帰ってきた元ドラゴンズ選手”に、今一度勝負のきびしさを教えることができるのだろうか。
