「第73回産経児童出版文化賞」贈賞式で、受賞作品それぞれについて感想を述べた佳子さま(2026年6月8日)

「大賞の『もしも君の町がガザだったら』では、長年にわたりパレスチナに関わってきた作者が、現地の悲惨な状況に触れ、『もしも私たちがパレスチナで暮らしていたら』と想像するように促します。そして、パレスチナとイスラエルがなぜ現状に至ったのか、そこに日本を含む世界がどう関わってきたのか、さまざまな角度から解説しています。

 この本を読み、『もしも自分だったら』と考えることの大切さを改めて感じるとともに、平和な日々が訪れることを、心から願っています」

「第73回産経児童出版文化賞」出席の佳子さま

小室圭さんと結婚の日、眞子さんを秋篠宮邸で見送る佳子さま(2021年10月26日)

「第73回産経児童出版文化賞」の贈賞式が6月8日、東京・元赤坂の明治記念館で行われた。秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまが出席し、冒頭のように挨拶した。この出版文化賞は、次世代を担う子どもたちに優れた本を紹介する目的で1954年に創設された。今年は児童向け図書など4276点の中から、大賞など9作品が選ばれている。

 さらに、佳子さまは自分の読書体験を振り返りながら、本を読むことの楽しさなどについて次のように述べている。

「子どものころからさまざまな本に触れる経験は、大切な宝物になると思います。私の子ども時代を振り返っても、物語の世界に引き込まれ夢中になったことや、部屋に飾っていたお気に入りの本の主人公の言葉が、よみがえってきます。

 また、私自身にとって本が大切な理由の一つは、本が、読む人の考えを深め、自分とは異なるさまざまな状況や背景を持つ他者の視点を教えてくれるということです。読者一人ひとりの考えが深まることに加え、幅広い視野を持った人が増えることは、多様な人々が大切にされる、より幸せな、より良い未来を築くことにもつながっていくのではないでしょうか」

 同じく6月8日、天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは、東京・池袋の東京芸術劇場を訪れ、ウィーン少年合唱団の公演を鑑賞した。

 公演では、上皇さまが詠んだ琉歌(沖縄などに伝わる定型詩)に上皇后さまが節をつけられた『歌声の響』や、昨年、両陛下がモンゴルを公式訪問した際、天皇陛下がビオラで演奏した『浜辺の歌』といった日本の歌も披露された。

 愛子さまは笑顔で大きな拍手を送っていた。報道によると愛子さまは、「日本の歌を歌っていただけるのはうれしいですね」と関係者に話していたという。

 佳子さまと愛子さまが公的な活動に取り組んでいたこの日、二人の内親王の人生を大きく左右する出来事が起きていた。

 衆議院と参議院の議長、副議長は、皇族数の確保に関する「立法府の総意」の取りまとめ案を与野党の全体会議で示した。1.女性皇族が結婚後も身分を保持する案、2.旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える案、で、いずれも「了」として政府に法制化を求めた。

 10日には、衆参両院の議長、副議長が皇族数確保に関する「立法府の総意」を与野党の全体会議で取りまとめ、高市早苗首相に提出した。前述した2案の法制化を求めている。

『読売新聞』などによると、政府は6月中にも、皇室典範改正案を今の国会に提出し、成立を目指す予定だ。国会内で森英介衆院議長から取りまとめの文書を受け取った高市首相は、「しっかりと受け止め、早急に法案の作成にとりかかる。できるだけ速やかに骨子案を示す」と述べたという。

 衆院議長公邸で開かれた全体会議には、13の党・会派の代表が出席した。自民、日本維新の会など7党が「立法府の総意」に賛成したが、共産など4党派が反対した。

 文書では、佳子さまたち女性皇族が、結婚後も身分を保持するか否かは「経過措置として(本人の)意向を尊重する」と記してある。女性皇族の夫と子が皇族となるのか、一般国民のままなのか、などについては明記しなかった。

 また、養子案は1947年に皇籍離脱した旧11宮家の男系男子を対象とし、1.養子の年齢や養親の範囲、2.養子自身は皇位継承の対象者とならない、などの点について、「慎重に制度設計を行う」ことを要請した。必要に応じて一定年数ごとの見直しも盛り込んだ。

「皇室のあり方や活動の基本は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすることだと考えており、こうした皇族数の確保のあり方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」

天皇、皇后両陛下はオランダ、ベルギーを公式訪問

オランダ・ベルギー訪問前の記者会見での天皇陛下(宮内庁インスタグラムより)

 天皇、皇后両陛下は、6月13日から26日までの予定でオランダ、ベルギーを公式訪問しているが、出発前の記者会見で陛下は政府が進める皇室典範改正問題について、このように思いを述べた。

「立法府の総意」の取りまとめ案である、1.女性皇族が結婚後も身分を保持する、2.旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える、いずれの案も具体策がなく疑問が多い。

 特に、「旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える」案は、《(略)80年間も民間人として生活してきた旧宮家の人を唐突に皇族に復帰させ、その後生まれた男子を天皇と想定することに、国民の理解が得られるのか。男系男子に固執するあまり、皇室が国民の思いからかけ離れてしまっては本末転倒だ》などと『読売新聞』が社説で主張するように、私の周囲でも批判が多い。

 おそらく、陛下もこうした世論を背景に「国民の皆さんの理解が得られるものとなること」と、あえてやんわりと釘を刺したのだと思う。

 佳子さまは、結婚すれば一般の国民として生活するつもりで31年間、生きてきた。姉の小室子さんは結婚して皇籍を離れ、現在は家族3人、アメリカで暮らしている。

 とても仲の良い姉妹で、世間から批判を浴びた結婚に際しても《私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています》(2019年、国際基督教大学卒業に際しての文書回答)という文書を発表するなど、終始、姉を応援してきた。

 それだけに佳子さまは今、とても複雑な思いだろう。もし皇室典範が改正され、結婚後も皇族としてこれまでどおり公的な活動を続けることになったとしても、「はい、わかりました」とすぐに納得できるだろうか。大いに疑問である。

 冒頭に紹介した、児童出版文化賞の佳子さまの挨拶を思い出してもらいたい。今こそ、「『もしも自分だったら』と考えることの大切さ」が、必要なのだと思う。

 佳子さまは内親王である前に、一人の女性である。一人の人間として31年間、結婚後の自由で新しい人生に、大きな夢や希望を抱いてきた。それなのに、「その夢を諦めろ」と言われているのに等しい。

 ある意味、過酷ともいえる人生の大きな選択を佳子さまに強いることになるのだ。法律を改正する前に、政府や国会議員の一人ひとりが、「もしも自分が独身の女性皇族の立場だったら」と考えることが大切なのだと思う。

 天皇陛下や佳子さま、あるいは、秋篠宮さまたち当事者の身になり、その立場に立って結論を出してもらいたい。

 拙速は禁物である。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に2025年4月刊行の『悠仁さま』(講談社)や『秋篠宮』(小学館)など