今国会中の改正を目指し、行われている「皇族数確保」の協議を巡る皇室典範改正。6月19日には、骨子案の説明が衆参両院の正副議長に行われた。
「話し合われてきたのは、(1)女性皇族に婚姻後も皇族として残ってもらう案、(2)旧宮家の男系男子を養子として迎える案、の2案です。骨子案では、さらに(1)案について、現在の女性皇族は結婚時に皇室に残るか否かを本人の意思で決めることができるように、そして(2)案の中には15歳以上の男子で配偶者と子どもがいない人に限定することが盛り込まれています。正副議長は“おおむね了承”としました」(全国紙社会部記者)
高市総理は国民はおろか野党すら置き去りにする姿勢
異例とも思えるスピードで進められている皇室典範の改正。6月11日、両陛下の海外訪問に際する記者会見では、陛下がその胸中を語られた。
「陛下は、皇族数の確保の議論において、“国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります”と述べられました。これまでは“私から言及することは控えたいと思います”と、発言を避けてこられた背景を鑑みれば、高市政権の強引な進め具合に国民が置いていかれていると強く感じておられるのではないでしょうか」(皇室担当記者)
しかし、翌12日、高市早苗総理の発言からは、このお言葉が響いていないことが伝わってきた─。
「高市総理と会談した日本維新の会の藤田文武代表は“連立政権なので、制度設計の細かいところまで両党で詰めてほしい”と総理からの要請内容を明かしました。国民はおろか野党すら置き去りにするこの姿勢に対し、“立法府の総意”を目指して協議を重ねてきた野党からは反発の声が多く上がりました」(前出・全国紙社会部記者)
安倍内閣は丁寧に生前退位の実現にこぎつけた
象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉教授は、現在の状況をこう解説する。
「皇室典範の改正において高市政権は独善的になっている節があるように見えます。現在の宮内庁長官を務める黒田武一郎氏は、もともと高市氏に近い存在で“送り込まれた”という見方すらもあったほどでした。しかし、黒田長官は前出の陛下の会見数時間前に“拝察している”と同様の趣旨を発言するなど、陛下に寄り添われており、宮内庁からも改正議論がいかに強引に見えるのかがうかがえます。安倍政権の『生前退位』のときのほうが、そのあたりはかなり努力した印象でした」
生前退位が行われたのは'19年4月。上皇さまがメッセージを公開されて以降、慎重に議論が重ねられた。
「'16年8月8日、宮内庁を通じて、当時、天皇だった上皇さまがビデオメッセージを公開されました。“全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが困難になる”というお言葉を受け、当時の安倍内閣は生前退位の法整備に取りかかりました。そして、“特例法”という形で一代限りの制限を設け、生前退位の実現にこぎつけたのです」(前出・皇室担当記者、以下同)
この退位実現の裏側には、ご一家の団結があった。
「退位を考えられた際に、上皇さま、天皇陛下、秋篠宮さまの『三者会談』が行われていました。もともとは兄弟間の“ギクシャク”を酌まれた美智子さまが、'12年ごろから始められた会でしたが、退位に関する思いについても、この会で話し合われていたのです」
自らの意見をあまり発信できないお立場だからこそ、理解のために家族同士で話し合うのは貴重な機会だったはずだ。しかし、こうした公式的な会談は、現在行われていないという。
秋篠宮さまはかなり踏み込んだ発言をされた
「今回の皇族数確保の協議は、皇室典範の改正を伴うという点で、生前退位の特例法より大がかりなものです。しかし、陛下と秋篠宮さまの個人的な“ホットライン”はあるかもしれませんが、表立った『会談』は行われていないようです」(宮内庁関係者)
一方で、強硬な姿勢で進む皇室典範の改正。しかし、河西教授は会談が行われていなくとも、おふたりは通じ合っているのではと話す。
「もちろん、団結は必要です。残念ながら、以前のような『会談』は開催されていないようですが、今回の『皇族数確保の協議』については一方で、先日の陛下の発言や以前注目された秋篠宮さまの会見でのご発言から、陛下と秋篠宮さまの間には通底して、同じように思うところがあるのだろうと感じます」(河西教授)
秋篠宮さまの発言とは、'24年のお誕生日に際する会見でのお言葉である。
「秋篠宮さまは59歳の誕生日に際しての会見で、皇族数確保の制度改正の議論について、“どういう状況になるのか、どういう考えを持っているかを宮内庁のしかるべき人たちは理解しておく必要がある”と、かなり踏み込んだ発言をされています」(前出・皇室担当記者)
政治的な発言を制限されている中で主張されてきたおふたり。会談をせずとも通底している背景には、家族を思う気持ちがある。
「やはり陛下も秋篠宮さまも子を持つ父です。普通の家族同様に、自分の娘や息子のことを考える父親として、おふたりは自然と同じ気持ちを持たれるのかもしれません」(河西教授)
こうした水面下の団結は、今後、前面に押し出していく必要があるかもしれない。
「自民党の強硬な姿勢に対し、皇族方で“団結している”という表明は今後、対峙する際に必要になってくるかもしれません」(前出・皇室担当記者)
皇室という枠組みを超えて“子の幸せを願う”お気持ちは変わらない。
河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科教授。象徴天皇制を専門とし『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数
