モノクロパッケージで売られるカルビーの『かっぱえびせん』

 5月12日、カルビー株式会社が発表した「パッケージモノクロ化」。5月25日から『ポテトチップス』や『かっぱえびせん』など計14品が“白黒デザイン”で店頭に並び始めた。

 中東情勢の緊迫化による原材料不足が原因というが、情報解禁の直後からSNSは大荒れ。《葬儀チップスかよ》《全然おいしそうに見えない》といった、容赦のない批判的なコメントが殺到したのだ。

漫画家によるイラスト描き下ろし

漫画家・一葵(いつき)さやかさんによるイラスト描き下ろし(Xより)

 ところが、発売から約1か月が経過したところ、ネット上では誰も予想しなかった“ブーム”が巻き起こっていた。きっかけは、栃木県在住の漫画家・一葵(いつき)さやかさんがXに投稿した、とある写真だった。

《白黒パッケージのかっぱえびせんをアルカナシャドウちゃん仕様にしました。空白が何か描けと言ってくる…》

 モノクロになった『かっぱえびせん』のパッケージを“真っ白なキャンバス”に見立て、アニメ『名探偵プリキュア!』に登場する人気キャラクター「キュアアルカナ・シャドウ」のイラストを直筆で描き下ろしたのだ。

 この投稿は瞬く間に拡散され、驚異の「5万いいね」を突破。一葵さんの圧倒的な画力に対し《それでこそ創作魂!》《一瞬、公式のコラボパッケージかと思った》と、称賛の声が相次いだ。

 あれほど難色を示されていた白黒パッケージそのものに対しても、《まるで白銀のキャンバスだね》《実はカルビーの巧妙なマーケティングテクニックなのでは……?》と、評価が180度ひっくり返る事態に。

 この大バズりの火付け役となった一葵さんに、制作の裏側を週刊女性PRIMEが聞いてみると、その意図を明かしてくれた。

予想以上の大反響に本人も驚き

「パッケージの空白を見た途端、衝動的に何かイラストを描きたくなってしまったんです。いわば職業病のようなものですね(笑)。特に深い意図はなく、本当に息抜きのつもりで描いたものなんです」

 予想以上の大反響に驚きを隠せない様子の一葵さんだが、中にはシビアな意見もあったという。

「今回の白黒化は(プラスチックの原料となる)ナフサ不足によるものです。そのため、その背景に対してネガティブなご意見をいただくこともありました。ただ、いろいろな意見があっていいと思います。一番大切なのは、世界情勢が安定してナフサ不足が解消され、通常通りのカラーパッケージに戻ること。世界の平和を心からお祈りしております」

 イラストのクオリティーだけでなく、その真摯な思いにも頭が下がる。当のカルビー側はこの“お絵描きブーム”をどう受け止めているのか。同社に話を聞いてみると、

「当社の2色パッケージの取り組みにつきましては、これまで公表させていただいておりますとおり、原材料調達環境の変化を踏まえ、商品の安定供給を最優先とした対応として実施していることから、本件に係る回答は差し控えさせていただきます」とのことだった。

 しかし、ネット上の盛り上がりは止まらない。他の“絵師”たちも続々と、このビッグウェーブに便乗。白黒パッケージに描かれた美麗なイラストの投稿には、《白黒かっぱえびせん×直筆アニメ絵で、もはや世界にひとつだけの限定品ですね!》という声が寄せられると、投稿者が《今のこの情勢でしか産まれなかったという……歴史に刻まれました(笑)》とユーモアを交えて返す一幕も。

 かつてのコロナ禍でも、退屈なおうち時間を乗り切るためにさまざまな工夫を凝らし、エンタメへと昇華させてきた日本人。世界情勢の緊迫という暗いニュースさえも、持ち前の好奇心で「楽しさ」に変えてしまうタフなクリエイター精神があれば、どんな逆境も笑顔で乗り越えられるかもしれない。