いま、日本の時代劇ドラマ史上、もっともホットといえそうな「軍師ブーム」が来ている。大河ドラマ『豊臣兄弟!』と黒沢清監督映画の『黒牢城』の奇跡的なタイムリー連動が、その最たる例だ。
「大河ドラマでは、6月14日放送の第24回で菅田将暉さん演じる竹中半兵衛が儚くも美しい最期を迎え、使者として赴いた倉悠貴さん演じる小寺(黒田)官兵衛がトータス松本さん演じる荒木村重によって有岡城に幽閉されました。翌週放送の第25回では、戦況に変化があり、救出される展開となっています。
そんな有岡城幽閉を舞台にし、捕らえられた黒田官兵衛が怪事件を推理する、戦国ミステリー映画『黒牢城』が6月19日に公開。大河で半兵衛を演じていた菅田さんがこちらでは黒田官兵衛役を務めるという、キャスティングの妙が炸裂しているのです」(スポーツ紙記者)
この驚きのシンクロに、時代劇ファンからも、
《半兵衛から官兵衛への転生!?》
《黒牢城始まった》
《タイムリーすぎてビビる》
《いい感じに予習になる》
《こんな流れで最新映画のあらすじ知れることある?》
と、好意的な声が相次いだ。
「軍師」とはどんな仕事だったのか
「6月22日からは、2014年に放送されていた大河ドラマ『軍師官兵衛』の世界配信がNetflixでスタートします。“軍師”という職業に注がれるまなざしは、ますます強くなるでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
まさにインテリジェンスを尽くして状況を打破する劇中の軍師たちだが、そもそも軍師とは、どのような仕事だったのだろうか。
大河ドラマ『軍師官兵衛』などで時代考証を務めた経験もある歴史学者の小和田哲男氏に、史実における“軍師のリアル”について聞いてみた。
「軍師には大きく分けて二つのタイプがあります。一つは占いや祈祷を行う『呪術者型』、もう一つは外交や作戦立案を担う『参謀型』です。家臣同士の対立を調整したり、裏切りが起きないようにすることも、重要な仕事でした」
活躍の場は戦場だけでなく、組織そのものを支える役割も担っていた。家臣の中の裏切り者をズバリ言い当てる、とまではいかないが、調べるといった地道な仕事もあった。よく描かれる戦場での軍師はどんな様子だったのか。
部下として上司のために務め上げる仕事
「軍師というと、主君の横で次々と策を授ける姿から、まるで戦を動かす中心人物のようにも見えますが、戦国大名本人は全能の人間ではありません。それぞれの分野に能力を持つ者がいるので、それらを軍師として招くのです。複数人いれば、当然意見の相違も出てきますので、“軍評定“と呼ばれる会議で議論を行い、最後は戦国大名本人が決断します」(小和田氏、以下同)
右腕として暗躍するというイメージよりは、1人の部下として上司のために務め上げる仕事として、パワーバランスがはっきりしている。いわゆるスペシャリストといえそうな仕事だが、軍師になるための条件はあるのだろうか。
「主君が家臣との会話の中で“兵法の知識があるな”“頼りになりそうだな”と思えば抜擢することもありました。家柄はそれほど重視されなかったといいます。
軍師は個人の能力による部分が大きく、軍師の子が軍師になる例はあまりありません。一方で、兵法や天文などを学んだ足利学校の卒業生が軍師に抜擢されるケースもあるのです」
戦国大名たちが求めたのは、特別な天才ではなく、自分たちの土台を固めるチームメンバーでありマルチタスクを担う部下だった。
人知れない軍師の苦労にも注目しながら作品を見ると、また違った楽しみ方ができそうだ。
