今国会中での改正を目指して議論が進む皇室典範の改正。しかし、徐々に明らかになってきた内容に対し、各方面から疑問や不信の声が上がっている。
問題視されている女性皇族の処遇
「全体会議を経てまとめられた骨子案は、旧宮家の養子を皇族とすること、そして本人には継承権を与えないことが記載され、その子孫については言及されていませんでした。しかし、実際の改正案には養子本人に男系男子が生まれた場合、皇位継承資格を認める方向性が盛り込まれることが判明したのです。“立法府の総意”と銘打っているにもかかわらず、事前の全体会議ではこの内容は含まれていなかった内容が追加された格好です」(皇室担当記者、以下同)
この政府・与党の進め方に対し、野党側からは強い反発の声が上がっている。
立憲民主党の水岡代表は、29日の会見で「これまで何ら議論していないことをだまし討ちのように提示をする政府・与党に怒りを禁じえない。こうした政府の不誠実な対応により、立法府と政府の信頼は大きく損なわれたと言わざるを得えない」と厳しく批判した。
話し合われていない内容が既定路線のように進んでいく自体に不信感は募る一方だが、さらに問題視されているのが、女性皇族の処遇である。
「第1案である『女性皇族が結婚後も身分を保持する案』にいては、一般国民と結婚した場合、住民基本台帳法を適用すると明記されました。皇室の方々は宮内庁が管理する『皇統譜』に登録されていますが、婚姻後の女性皇族については法的待遇を変えるというのです。こうした線引きは、見方によっては“公務は担ってもらうが、法的な地位は一般国民並みに扱う”という二重基準とも受け取られかねません。法律の施行の時点で内親王や女王が、婚姻後に皇籍を離脱することも選択可能とされていますが、このような条件で “皇室に残ろう”と思われる方が果たしていらっしゃるのでしょうか」
自民党にある男性優位のこり固まった思想
改正議論の中に「男性優位の思想」「配慮の欠如」が垣間見える中、28日、自民党の中曽根弘文・憲法改正実現本部長が講演で行った発言が大きな波紋を広げている。
「中曽根氏は富山県で行った講演で“愛子さまと結婚する人はいない”といった趣旨の発言をしました。報道では“婚姻相手の重圧を懸念した文脈での発言”とのフォローもされましたが、仮にそのような重圧があるとしても、それは、天皇陛下や悠仁さま、またこれまで皇室に嫁がれた美智子さまや雅子さまも同様に背負われてきたものです。男系男子による継承を優先するあまり、ご本人の努力やご覚悟を蔑ろにする姿勢に対し、『女性を道具のように見ているのではないか』との批判が相次いでいます」
この前代未聞の“時代錯誤”発言には、SNS上でも批判が噴出している。
《結婚相手や出産へのプレッシャーを懸念するなら、それは愛子さまが天皇になった場合だけでなく、現行制度の下で将来、悠仁さまのお妃となる方にも同じことが言えるはず》
《皇位継承の話に、愛子さまのご結婚の話を持ち出すのは論点のすり替え》
《ご両親の天皇皇后両陛下にとっても心が痛む発言で、公開のハラスメントです》
こうした批判を受け、29日、中曽根氏は「言葉が適切でなかった点があった。反省している」と釈明した。しかし、今回の発言への批判は収まる気配がない。
「与党である自民党がいかに男性優位のこり固まった思想であるかが露呈した形となりました。“立法府の総意”と言いながらも議論していない項目を勝手に盛り込み、皇室に残る女性皇族への法的位置づけを曖昧にしたまま配慮に欠けるような発言が平気で飛び出す信じられない事態です。与党は自分たちの言動をもう一度見直す必要があるでしょう」
日本の“象徴”である天皇。の存続を巡る議論が、時代錯誤な価値観や当事者へのリスペクトを欠いたまま進められているという事実に、いま多くの国民が冷ややかな視線を送っている。
