『7つのキーワードでまるわかり大相撲サンクチュアリの深淵』より イラスト/井竿真理子

 力士たちが繰り広げる熱戦の裏には、知れば思わず「なるほど!」とうなずくルールや伝統がたくさん。相撲の奥深い世界に触れて、12日から始まる「七月場所」をさらに楽しもう。

「相撲」立ち合いの雑学

7つのキーワードでまるわかり 大相撲 サンクチュアリの深淵』を監修した、第69代横綱の白鵬さんに聞いた!

制限時間なのにすぐ勝負が始まらないのはなぜ?

 相撲は両力士が土俵で向き合い、両手をついて同時に前に出ることで勝負が始まる。

「相撲は行司の合図ではなく、力士同士の呼吸が合って初めて始まるという、世界でも類を見ない特徴があります」(白鵬さん、以下同)

 “相撲は立ち合いで決まる”と言われるほど、最初の数秒で有利な体勢をつくれるかが勝負の分かれ道。それだけに、土俵上では凄まじい心理戦が繰り広げられる。

「手をつきそうでつかなかったり、独自のルーティンで絶妙にタイミングをずらしたりと、お互いに主導権を握るために駆け引きをしています。逆に、手をついて相手が立つのをじっと待つタイプの力士もいます」

相撲のスタイルにも流行はあるの?

 相撲の戦い方には、激しく突いて押す「突き押し相撲」と、まわしを掴んで組み合う「四つ相撲」の2大スタイルがある。実は時代によってこのスタイルは変化していると、白鵬さん。

かつては四つ相撲が全盛でしたが、ここ10年は突き押し相撲が主流になっています。高校や大学の相撲部を経て入門する力士が増えていますが、アマチュア相撲の指導者の多くが突き押し相撲を教えることが影響しています。

 四つ相撲は覚える技術も多いため、指導できる親方も限られています。だからこそ、四つ相撲の技術を持つ力士の取組は見応えがあって注目です

 知っておくと観戦が楽しくなる代表的な決まり手も教えてもらった。

「四つ相撲なら、まわしを掴んで力強く前に押し出す『寄り切り』や鮮やかな『上手投げ』。突き押し相撲なら、一気に押し出す『押し出し』や、相手が前に出てくる力を利用して引き下がる『叩き込み』などがあります」

十両と幕下では何が違うの?

 大相撲では横綱から十両までを「関取」と呼び、一人前の力士として扱われる。関取になれるのはわずか70人で、それ以下に幕下、三段目、序二段、序ノ口と続くが、十両と幕下の間には圧倒的な違いがあると白鵬さんは話す。

「まず見た目が歴然。関取はカラフルなまわしを締め、髪型は銀杏の葉のような『大銀杏』。一方の幕下以下は黒いまわしに髪はシンプルな髷。取組の日数も関取が15日間なのに対し、幕下以下は7日間だけです」

 収入や待遇も雲泥の差。関取になれば月給(十両で110万円)が出るほか、個室で暮らせ、付け人がついて部屋の雑用も免除される。

「十両に上がると世界が変わるため、昇進がかかった幕下上位の対戦は激しく、館内の熱気もひとしお。私も十両に昇進が決まったときは本当にうれしかったですね」

書籍『7つのキーワードでまるわかり大相撲サンクチュアリの深淵』素朴な疑問やルールを第69代横綱・白鵬が完全解説。これ1冊でテレビ中継の面白さが倍増。西尾克洋著/1760円(主婦と生活社)

白鵬さんが監修!
新刊『7つのキーワードでまるわかり 大相撲 サンクチュアリの深淵』
素朴な疑問やルールを第69代横綱・白鵬が完全解説。これ1冊でテレビ中継の面白さが倍増。西尾克洋著/1760円(主婦と生活社)

取材・文/荒木睦美 イラスト/井竿真理子 写真/有坂政晴(イラスト・写真共に書籍『7つのキーワードでまるわかり 大相撲 サンクチュアリの深淵』より)