ソフトバンクグループ・孫正義会長

 米スタンフォード大学に在籍する佐々木麟太郎選手(21)が7月5日、岩手県花巻市で行われた交流イベントに参加。自身も北上市出身の佐々木は経験を伝えるとともに、豪快スイングも披露しては「野球選手」を夢見る子どもたちを喜ばせた。

 イベント終了後には報道陣の囲み取材に応じた佐々木。「進路を決める段階に入っている」と、注目される“進路”にも話が及んだのだが、思わず“本音”をこぼす場面があったと『サンスポ』公式YouTubeチャンネルで伝えられている。

 7月11日〜12日(現地時間)にフィラデルフィアで開催される、MLBドラフトで指名が予想される佐々木。一方で一時帰国すると、2025年にNPBドラフトで1位指名を受けた福岡ソフトバンクホークス球団を訪れて城島健司CBO(50)と会談。本拠地のみずほペイペイドームのほか、球団施設を見学済みだ。

「まずは自分が、間もなく自分自身のアメリカでの評価っているのも、間もなく現実として見えてくるので」

正直いうともう、自分の中では

 あくまでもメジャーリーグでのプレーを最優先としているのだろう。まずはMLBドラフトの結果を待っての判断とするも、会談ではソフトバンクからの高評価してもらったことを明かし、続けてーー、

「あの正直いうと本当にもう、自分の中では……、はい。あの……、まあ、ちょっと、これからドラフトがあるので、そこから評価をもとに(進路は)判断ということになると思いますけども」

 途中で言葉をつぐんだ佐々木だが、思わず「自分の中ではホークス」とうっかり本音が出かけたのかもしれない。

大谷翔平の母校の後輩で、スタンフォード大学に在籍する佐々木麟太郎(同大公式HPより)

 現在、スタンフォード大学2年生の身ではあるが、同校にはキャリアやスポーツ、留学などを理由に休学することができる「休学制度」があり、さらに復学までの期限も設けられていないという。

 つまり来年度からMLB、NPBで野球選手としての進路を選択したとしても、引退後には再びスタンフォード大で学び、卒業できるわけだ。しかしソフトバンクを選択した場合、メジャー志向が強い佐々木にとって大きな“壁”が。

 それはソフトバンクがポスティングシステムを利用してのメジャー移籍に消極的、というよりも認めていないことだ。仮に海外FA(フリーエージェント)権の取得を待てば最短で9年、佐々木は30歳を迎えるシーズンに海を渡ることになる。

ソフトバンクに「メリットがない」

 ロサンゼルス・ドジャースの中心選手として活躍する大谷翔平投手(32)、山本由伸投手(27)のように全盛期をMLBで迎えてプレーしたい選手にとって、ポスティング移籍は不可欠な制度と言えよう。

 かつて城島CBOはシアトル・マリナーズ移籍の際には海外FA権を行使し、2023年からニューヨーク・メッツでプレーする千賀滉大投手(33)も、早期から球団にポスティング移籍を訴えるも認められず、権利取得を待ってようやくのメジャー挑戦となった。

 しかし、そのCBOは佐々木との面談後、ポスティングの話は「していない」としつつも「やらないと言っているわけではない」と軟化姿勢を示している。それでもポスティングによる「メリットが出ていない」と、球団が容認していない理由も説明

 選手移籍の見返りとして莫大な譲渡金を得ることもできるシステムだが、資金潤沢なソフトバンクにしてみれば「メリット」にならないのは確かだろう。「日本一」ではなく「世界一」を目指している球団にとって移籍ビジネスよりも、育った主力選手がチームを去るデメリットの方が大きいようだ。

読売ジャイアンツ女子チームに所属する妹・佐々木秋羽とのツーショットを投稿(佐々木麟太郎公式インスタグラムより)

 依然として佐々木のポスティングも認めない雰囲気のソフトバンクだが、彼が堂々とMLBでプレーできる大逆転の展開もあり得る。2015年にパ・リーグ優勝、日本シリーズ優勝を決めたシーズンオフ。

「メジャーの球団をソフトバンクグループが持って、日本と選手の交流をしたりできれば夢がある」

 後藤芳光球団社長(63)が掲げた、NPBとMLBの2大リーグでチームを持つという、ソフトバンクの将来的なメジャーリーグ参入構想の「夢」。当時は「メジャー球団を買収するとなると、いくつものハードルがある」と語っていた社長だが、あれから10年が経過している。

アメリカビジネス界でも存在感

 スポーツビジネスに詳しい野球ライターは「夢が潰えているわけではありません」と、ソフトバンクの“本気度”を推察する。

「2024年末と2025年初頭には、グループ会長の孫正義氏(68)がドナルド・トランプ大統領(80)と会談。ビジネスを通じて親交を深め、パイプもより太くしています。7月2日には米国でネオクラウド事業を展開する新会社も設立し、アメリカのビジネス界でも存在感を高めています。

 また“世界のホームラン王”こと王貞治球団会長(86)の存在も大きく、MLB球団買収の際には各オーナーやファンの反発を抑える要因にもなりえます。それこそあと数年、佐々木選手がホークスの中心選手としてプレーする頃には、ソフトバンクが親会社のMLB球団への移籍も夢ではないのでは?

 いずれソフトバンクに入団することが、MLB挑戦の近道になる時代が来るのかもしれない。