Perfumeドキュメンタリー映画の監督を務める佐渡岳利さん

 昨年9月に重大な発表をした3人組テクノポップユニット「Perfume」。結成から25年の集大成を収めたドキュメンタリー映画が公開中で、“コールドスリープ”の裏側など、貴重な瞬間が描かれている。メガホンを取った佐渡監督に話を聞くと─。

 メジャーデビュー20周年の節目だった'25年、コールドスリープ(活動凍結)を発表した3人組音楽ユニット「Perfume」。

Perfumeの25年間

 結成からの軌跡を描いたドキュメンタリー映画『Perfume“コールドスリープ”―25 years Document―』が現在公開中だが、監督として3人の活動に長年、密着してきた佐渡岳利さんに凍結に至るまでの25年間について聞いた。

「彼女たちとの最初の出会いは'07年です。『ポリリズム』がNHKとACジャパンの共同キャンペーン『リサイクルマークがECOマーク。』の曲に採用され、NHKの番組にもよく出演するようになりました。

 当時、私は音楽番組を担当していましたので、顔を合わせるように。当時からすごく元気で楽しくて明るい3人という感じで、謙虚な姿勢とかも、今と変わらないっていう印象でした」

 インディーズ時代を含めると3人での活動は25年。長い時間を一緒に過ごしながらも、大きなもめ事はなかったそうだ。

「仲がいいので、意見がすごく割れてしまうとかは今まであまりなかったと思うんですよね。子どものころから一緒にいて、仲が悪くならずにこれほど長い期間を過ごせることはあまりないと思います。それに家族みんなで仲がいい。海外ツアーの最終日には、ここからはプライベートの時間、という感じで3家族で集まって観光していますから」(佐渡さん、以下同)

 家族ぐるみで仲のいい3人。活動開始直後は家族がサポートしていただけに団結も強いのだろう。当時の映像も映画の中で登場する。

「私も事務所やご家族からお借りして初めて見た映像がたくさんありました。ほとんどお客さんがいない中でライブをしていたこともあって、驚きましたね。そんな中でお母さんたちが“こうしたらいいんじゃないか”とか思案してやっていたそうで、ステージママというわけではないですが、売れる前はお母さんたちも演出で貢献していました」

 そんな下積み時代を経て、楽曲プロデュースをしている中田ヤスタカや演出振付家のMIKIKOのサポートを受けながら、日本だけでなく海外でも人気のスターになったPerfume。応援したくなる要因はどこにあるのか。

「彼女たちが一生懸命なので、周りの人たちが応援してあげたいなという気持ちになるんだと思います。例えば、楽曲プロデュースをしている中田ヤスタカさんから“座って歌いなさい”と言われたら、“冗談じゃないです”とはならずにちゃんと座って歌うんです。素直ですよね」

コールドスリープ決断の裏には……

 言われたことを忠実に守るが決して主体性がないわけではなく、その姿勢こそがPerfumeをここまでのグループに成長させてきたそう。

「言われたことをやってみて、突き詰めて、求められる以上にやる。彼女たちはクリエイターを信頼してやってみて、クリエイターたちも信頼に応えようとする。そういうところで相乗効果が生まれてきたのだと思います」

C2026Perfume“コールドスリープ”FilmPartners. 結成からの集大成が描かれた『Perfume“コールドスリープ”-25yearsDocument-』が全国で公開中。突然の発表となった“コールドスリープ”の裏側も収められている

 そうして人気を得てきた中で衝撃的なコールドスリープの発表。彼女たちを見てきた佐渡さんは、休止という決断をどう捉えたのか。

「いろいろ迷うところもあったと思います。ただ、これまで活動してきて、ヒット曲を出した。日本武道館や東京ドームでもライブをやれた。『紅白歌合戦』にも出た。海外にもファンができて、コンサートもできるようになった。これ以上、何を達成していくのかという目標が設定しにくい状態になっていたと思います。

 その中で休むというのは、新しい試みだなと。彼女たちは常に新しいことをやり続けてきていましたので、これは新しい挑戦だなと思って腑に落ちました」

 映画の中ではあ~ちゃんが結婚を報告する場面も収められていた。コールドスリープと並んで一つの“転機”になったようだ。

「3人とも“アラフォー”と呼ばれる年齢に差し掛かっています。これから先、芸能人として頑張っていくというのはあっても、プライベートのことはあまり考えていなかったと思うんです。でも、考えてみると世の中にそういう人はたくさんいますよね。

 今まで疑問を持たずに働いてきたけど、本当にこれでよかったのかなとか、若いころにもっとこういうことをやってみたかったとか、忙殺されて、それを実現しないで来ちゃったなとか」

オンリーワンなグループ」

 活動休止や結婚など、彼女たちが下した決断は見ている側も“人生”について考えさせられるのではという。

「結婚や出産とかもそうですし、これまでとは違った生き方というのも、もちろん女性だけでなく男性もあてはまります。人生の転機について考えることもなかった人とか、これからどうしようかなと思っている人とか。

 1つのアーティストがやったことだけれども、これまで走り続けてきた人が、何か考えるきっかけになるんじゃないかな、とはすごく思いました」

結成15周年だった'15年のPerfume。ドキュメンタリー映画では成長や活躍の軌跡が描かれている

 集大成を見届けてきた佐渡さんにとって『Perfume』とはどんなグループなのか。

「オンリーワンなグループだと思います。ほかの女性アイドルにしても男性アイドルにしても、たいていはコンセプトが似たグループがあります。

 でも、Perfumeと同じようなグループはない。すごく人気が出たので、あとから続くグループがいてもおかしくありませんがいないんです。彼女たちのような形を作り上げていくのが、高度で非常に難しいのだと思います」

 どれくらい先かはわからないが“凍結”期間を終え、彼女たちはどのような姿で戻ってくるのだろうか。

「今までと変わるのかもしれないし、変わらないのかもしれない。それはわからないですが、個人的には“うわっ、こんなふうに復活するんだ!”みたいなびっくりする感じを期待したいです。常に新しいことに挑戦してきたので、今後も彼女たちにしかできない、今までやったことがないようなことをやってもらえるといいなと思いますね」

 コールドスリープを終えてどんな形で復活を果たすのか。今から楽しみだ。

さど・たけとし '90年にNHKに入局し、現在はNHKエンタープライズのエグゼクティブ・プロデューサー。『紅白歌合戦』などの音楽番組やエンターテインメント番組を中心に担当。Perfume初の映画『WE ARE Perfume - WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』の監督も務めた