解説や現地レポーターとして日本とともに戦った。左から影山優佳、本田圭佑、内田篤人/雑誌協会より

 優勝を目指したサッカー日本代表は、ベスト32でブラジルに敗れ、惜しくも敗退。サムライブルーのワールドカップでの戦いはNHK・民放・DAZNで連日届けられた。

 試合の熱い展開を解説者として言語化する人、応援や抗議で声を上げ盛り上げる伝説的選手、詳しすぎるタレント、知らなすぎるタレント、中継や関連番組には多くの解説者らが出演。その中でも良かった&残念だったのは…?

居酒屋解説といぶし銀のツッコミを披露した「名タッグ」

 まずはある意味で選手と同等の注目を集めたといえる本田圭佑。NHKに民放と、局の垣根を越えて日本戦全4試合をカバーする前代未聞の起用。期待にたがわず本田語録が炸裂した。

「松木安太郎さんの高いテンションで応援するような解説が“居酒屋解説”として親しまれていますが、本田さんの解説は“新・居酒屋解説”といえるもの。ブラジル代表戦でゴールの佐野海舟選手に“打て! 打て、打て!”、逆転されての“もう何なん!”、褒め言葉としての“うざい”など、感情的な表現は、ライト層に特に好評ですね」(サッカーライター、以下同)

 チュニジア代表戦で飛び出した「イケイケドンドン」には、SNSで《流行語大賞にしよう》との声まで。

「Xで日本代表監督に名乗りを上げたにもかかわらず現行のルールを知らず、最近のサッカーを見ていないのではないかと思わせる節も。感情的な表現や解説としての勉強不足は否めないなか、相手チームの戦術上の意図を予測し、弱点となる相手選手を指摘するなど、実際にピッチで起きていることを捉える“目”はさすがでした

 そんな暴走ぎみの本田の魅力を引き出したのが、NHKで実況を担当した小宮山晃義アナウンサー。

「相手国の選手をよく知らない本田さんは、中継で小宮山アナに質問を繰り返していましたが、それに即答。本田さんが“ファウル!”と叫ぶと、静かに“ノーファウルです”など、本田さんの熱量に付き合いつつ一線を引き、戦況を伝えていた。

本田節を操縦した小宮山アナ(右)/雑誌協会より

 

 一方で“本田さんが何をおっしゃったのかわかりませんでした”と突き放し、笑いの要素もプラスする場面も。解説する本田さんを解説するようないぶし銀の活躍。今大会で評価をさらに高めた“解説者・本田”の名パートナーでした」

 ここまではサッカーにあまり詳しくない層も楽しめた実況&解説だが、玄人的視点で評価を高めたのが林陵平。選手としてのキャリアは目立ったものはない。代表歴のある他の解説者と並べれば、正直地味。そんな元選手だがNHKの解説席に上り詰めた。

林さんの武器は圧倒的な“言語化力”。なぜこのプレーとなったのか、なぜこの展開になったのか、どう対応すべきといったことを、ピッチで起きている状況を見て言語化して解説する。'25年の解説担当数は202試合と圧倒的。解説者は担当する試合の前後の試合も確認する人は多く、実際に試合を見ている数は日本一でしょう。

 サッカーファンにはおなじみでしたが、今大会で初めて林さんの解説に触れた人たちにも“わかりやすい”と受け入れられていた。お茶の間にそこまで詳しい戦術的な解説が必要なのか、という意見もありますが」

 実況・解説以外のタレント枠では“サッカーを語れるタレント”の現状トップといえる元日向坂46の影山優佳が活躍。今大会はDAZNの現地レポーターとして大会に密着した。

「容姿・熱量・知識」評価を分けた芸能人

圧倒的な知識量を誇る影山優佳/雑誌協会より

影山さんは林さんに負けず劣らずの観戦量に基づく知識がすごい。さらに今大会は彼女がXで公開している『W杯体験記』の文章力まで評価されています。タレントという華のある立場ですが、解説者以上の“実”を伴った存在として、今後もサッカー関係の仕事に引っ張りだこでしょう」(芸能プロ関係者、以下同)

 タレントで評価を高めたのは竹内涼真も。今大会で日本テレビのスペシャルナビゲーターを務めた。

「竹内さんは東京ヴェルディの下部組織でプロを目指していただけあって、選手に対しての的確な質問が光りました。サッカー経験者だからこそ、選手が何を聞いてほしいかがわかるのでしょう。インタビュー後は選手のほうから握手を求められるなど、リスペクトされていましたね。

 そして何よりすごかったのはその熱量。ゴールや勝利には思い切り喜び、逆は悔しがり、悲しむ。熱すぎるほどの熱さはネクスト松岡修造、ネクスト世界陸上の織田裕二になっていくかもしれませんね」

 影山や竹内が特別なだけで、W杯の関連番組に起用されたとしてもタレントであれば知識が乏しいのは致し方ない。竹内と同じ日テレのスペシャルナビゲーターを務めた井桁弘恵には、厳しい声が。

現地レポートでは“すごい!”ばかり連発。吉田麻也選手とハイタッチして“良い匂いした”など、サッカーに対するコメント力のなさに《薄っぺらい》という意見がSNSなどで多数上がることに。

 正直それらの意見には同意ですが、井桁さん個人を責めるのは酷。彼女はサッカー経験者でも専門家でもない。それを用意した局側の問題。“かわいい華”に加えて、もうひとつ何かを見せられたら評価は違ったでしょうが」

“とりあえず旬のタレントを使う”という地上波の古い方程式……。

 現役時代にヨーロッパで見せた活躍、変わらぬ端正なルックスで現在も人気の高い内田篤人は、今大会は普段、解説を務めることの多いテレビ朝日が放映権を獲得しなかったこともあり、DAZNで配信される試合の解説を務めた。

賛否が分かれたW杯経験者たち

冷静な解説に「スカしすぎ」の声があった内田篤人/撮影・編集部

「内田さんは年下の現役選手たちのプレーを見守る目線での解説をする印象です。“そこ大事にしたいね”“う〜ん、もうひとつ先まで見えたらよかったですけど”など。テンションを過剰に上げることもなく、冷静に試合を解説しますが、その目線を嫌う層は一定数いますね」

 SNSでは内田解説に否定的意見がチラホラ。

《DAZNの内田篤人解説はなんか上から目線で教師みたいな口調でイライラすんだよな》

《内田篤人スカしすぎ。抑揚なさすぎてワールドカップなのにつまらんわ》

 俯瞰的で冷静な解説は好評でもあるのだが……。本田×内田のW解説が最良?

 元代表選手では、南アフリカ大会出場の田中マルクス闘莉王が多くの試合を解説している。

精神論的な発言が多く評価が分かれた田中マルクス闘莉王/雑誌協会より

闘莉王さんはタイプ的に本田さん寄りの感情的な解説。ただ“あんな守備は最悪です”“引退した僕でも入れられた”など、かなりズバズバぶっちゃけるスタイルなので、評価が割れますね。

 今大会はまるでお酒でも飲んでから解説や関連番組に出演しているんじゃないかというくらいのテンションでした。“気持ちが足りない”などの精神論的な発言も多いので、現代的な感覚として嫌っている人が目立つ印象です」(前出・サッカーライター)

“考察”が盛んな昨今だが、それはW杯でも。

『PIVOT』などのビジネス系のYouTubeチャンネルがW杯を題材にかなりの再生数を稼いでいます。それらに多く出演するサッカーライターのミムラユウスケ氏や木崎伸也氏は、これまでサッカーファン以外には無名といっていい存在でしたが、今大会で一躍知名度を獲得。

 特にミムラ氏は会見で、良くいえば厳しい、悪くいえばネチネチとした細かい質問をすることから森保一監督から“嫌われている”説が出るほどですが、両者とも専門的かつ細かい分析で好評を博した。今大会からの新たな潮流といえますね」(スポーツライター)

 日本代表はメンバーが入れ替わる新陳代謝で強くなる。4年後、選手はもちろん、解説陣はどのような布陣になっているだろうか。