昨今、SNS上にいじめの動画が拡散され、炎上する事態が増えている。この流れの先駆者となったのはXのアカウント『DEATHDOL NOTE』(通称デスドル)。フォロワー数が実に110万人を超えるこのアカウントは「晒すことでいじめを撲滅する」という、新しいアンサーを掲げている。
賛否もある中、活動を続ける運営者・磨童まさをさんに真意を聞いた――。
『DEATHDOL NOTE』のコンセプト
もともと『DEATHDOL NOTE』というアカウントは「名前を書かれた人が晒される」というコンセプトで、アイドルの恋愛や不祥事についての暴露を行ってきた。いじめ動画を扱うことになったきっかけは、DMに送られてきた1本の動画だったという。
「栃木県の学校で発生したトイレでの暴行動画が、DMに送られてきたんです。最初に動画を見たとき、被害者を救うという感情よりも、加害者に対する怒りがふつふつと湧いてきて、”晒してやろう“という思いに駆られ、投稿しました。
自分は中高生のときにいじめられていたので、やはり居場所を作りたいなっていう。そういった経験が、いじめ動画を見たときの怒りにつながっているのだと思います」(磨童さん、以下同)
栃木県のいじめ事件については、結果的に加害者が書類送検されるなど、学校や警察を動かすことに。この一件をきっかけに、彼のもとへ多くのいじめ動画が届くようになった。
「日々、無数のいじめ動画が送られてきますが、実際に公開しているのは5%ほど。残りの95%は確かな証拠がないため、取り上げていません。情報提供者に対しては『映像の入手経路』『被害者との関係』『その学校の生徒である証拠』などを、徹底的にチェックしています。匿名性の高い通話アプリを使って、送ってきた本人への直接の事実確認を行うこともありますね」
数多くの動画を見てきた磨童さん。そのなかでも一番印象に残っているのは、今年5月に投稿された、男性の下半身にスタンガンを押し当てる動画だという。
「被害者に発達障害があるとのことで、“弱い者いじめ”だと怒りが込み上げてきて公開しました。動画公開後、“被害者です。この動画消してください”というDMが来たので、すぐに電話をしたのですが、明らかに犯人が被害者のふりをしていることがバレバレでした。
“僕が自分の下半身にスタンガンを当ててくれって指示したんです”って、分かりやすい嘘をついて動画を削除させようとしてきたので記憶に残っています」
1番バズったいじめられっ子がケンカで勝つ
同じく、5月に投稿された別の動画は30万近い「いいね」を獲得した。
「ゲームセンターで遊んでいるおとなしめの子にヤンキー風の人が突然絡んで、暴力を振るうのですが、そのおとなしそうな子にやり返されるんですね。これがおそらく今までで1番バズった投稿です。最後にいじめられっ子がケンカで勝つという。
一般的には、いじめられっ子って勇気がなくて相手に立ち向かえないことが多いのですが、この動画自体が彼らの希望になったんじゃないかなと」
賛否が巻き起こる中でもこうした行動を続ける原動力の1つは、自身の発信の効果を感じる瞬間があるから。
「“学校で急にいじめられなくなった”“校長先生がデスドルの話題をあげてから状況が変わった”という感謝のDMが来たこともあります。実際に警察や教育委員会が動いて、いじめの重大認定されたとか、けっこうありますね。そういう点では、まあまあ救えているんじゃないかなと」
しかし、“晒す”行為は私刑でもある。動画の主な提供者は被害者や加害者ではない第三者が多いそうだが、知らないところで自身がいじめられている姿を拡散されることを嫌がる被害者はいないのだろうか。
「被害者から消してほしいと言われたことは一度もないです。被害者側にはモザイク処理など、個人がわからないようにしているので、むしろ晒されたことを喜んでくれているんじゃないかと思っています」
一方で、批判の声も増えては来ているが――。
「批判自体は耳に入ってきます。でも、あまり気にしていないのが本音です。SNSに書かれているのも目にしますが、別に何とも思わないです。そこには興味がないので。今後、批判が無くならなかったとしても、活動は一生続けたいと思っています」
その強い意志は“いじめはなくならない”という思いがあるからだ。
「残念ながら、いじめって一生なくならないんじゃないですかね。ただ、手法にこだわりがあるわけではありません。いじめを世に知らしめるって別になんだってできるじゃないですか。世間には、僕と似たような動画を晒すアカウントも出てきましたよね。
ほかにも、政界に出て“いじめをなくそう”っていうスローガンを掲げたりとか、ネット上じゃなくていじめ撲滅の団体を作るとか、やり方はいくらでもある。僕もこの問題には、一生関わっていきたいなって思います」
現在は学生のいじめを扱うことが多いが、今後は大人のパワハラについても取り上げていきたいという磨童さん。その“正義”は、社会にどのような影響を与えていくのだろうか――。
