「坐骨神経は腰からお尻、太ももの裏、ふくらはぎ、足先までつながる、人体で最も太く長い神経です。この神経が圧迫されることで、主に下半身に痛みやしびれが起こるのが“坐骨神経痛”です」
そう話すのは、YouTubeで身体の痛みを改善するセルフケアを紹介している、柔道整復師の高橋陽平さん。
下半身だけではなく全身に影響が及ぶことも
現れる症状は、痛みやしびれだけではない。
「痛みやしびれで歩けなくなり、前かがみになると楽になって、また歩行できるようになる『間欠性跛行』や、足の冷え、だるさ、筋力の低下といった症状が現れることもあります」(高橋さん、以下同)
なぜ、神経が圧迫されてしまうのか。
「その原因は3つ。腰椎椎間板ヘルニアによって椎間板が飛び出たり、腰部脊柱管狭窄症のため背骨の神経の通り道が狭くなったりして神経を圧迫します。そして最も多いのが、筋肉による神経圧迫です。お尻の奥にある梨状筋という筋肉が硬くなり、坐骨神経を圧迫するもので、梨状筋症候群ともいいます」
坐骨神経痛を放っておくと、深刻な健康問題につながるおそれもあるという。
「歩行が困難になるので脚の筋力が落ち、身体を動かさなくなります。さらに姿勢も悪くなって、下半身以外にも痛みが生じてきます。また、慢性的な痛みはストレスとなり、精神状態にも悪影響を及ぼします。“寝たきり”の要因にもなる症状なのです」
坐骨神経痛を改善するにはどうすればいいのだろう。
「一つは神経への圧迫を取り除くこと。もう一つは神経をスムーズに滑らせること。この2つがセルフケアのポイントです。
というのも、腰から足先の神経は筋肉の隙間を滑るようにつながっています。このため、筋肉が硬くなると神経が圧迫されてしまうのです。実際、私が施術をしてきた坐骨神経痛の患者さんは、腰まわりや脚の筋肉の柔軟性が低下しているという共通点があります」
つまりセルフケアでは、お尻の梨状筋、太ももの裏や足首まわりの筋肉をやさしくほぐすことが大切になる。
「強く押したり、無理に伸ばしたりする必要はありません。気持ちいい程度の力加減を目安に行ってください。実際に、お尻や足首をケアすることで坐骨神経痛の症状が軽くなる方がたくさんいらっしゃいます。大切なのは自分の身体の状態を正しく理解し、毎日、少しずつでも労ってあげること。次ページに、お尻から足先までの柔軟性を高めるセルフケアを紹介しているので、始めてみてください」
痛み・しびれを緩和する「坐骨神経痛」ケア
マッサージ→ストレッチ
お尻から足先までの筋肉をほぐして、筋肉と筋肉の間の神経の通り道を緩めると神経の滑りもよくなる。セルフケアを2週間続ければ、症状も徐々に緩和されていくはずなので、まずは続けてみましょう。
● 1~3のマッサージで神経圧迫を取り除く
● 4で神経の“滑り”をよくする
1~3のマッサージと4のストレッチまでを1セットとして、続けて行う。各30秒程度なので、1セット通しても2分程度。痛みやしびれのあるほうの脚だけでOK。両脚に症状がある人は両脚行う。1日の間に何度行ってもよいので、隙間時間にケアする習慣をつけたい。
※マッサージやストレッチで痛みやしびれがひどくなった場合は、すぐにやめて医師に相談してください。
(1)梨状筋マッサージ
両手を握りこぶしにして左右のお尻の真ん中に当て、あおむけになる。両手をお尻に当てたまま、ひざを曲げた状態で、股関節を開いたり閉じたりする。これを30秒間、自分のペースで行う。
Point お尻がフワッとほぐれている感覚があると、効いている証拠
(2)太もも裏マッサージ
太ももの裏の真ん中に、両手の人さし指から小指までをあて、皮膚を上下に動かす。これを30秒間、自分のペースで行う。余裕があれば、指をあてる部分をずらして、太ももの裏全体に行うと、より効果が期待できる。
Point 強く押して動かすと筋肉が緊張してしまうので、心地いい程度の強さで行う
(3)内くるぶしのマッサージ
内側のくるぶしの上下に両手の指先をあて、内くるぶしの皮膚を伸ばして3秒キープする。これを5回繰り返したら、次は皮膚を寄せて3秒キープ。これを5回繰り返す。
Point 神経が皮膚表面に近い場所なので強い刺激は避ける。皮膚をやさしく動かすようなイメージで
(4)「坐骨神経」滑走ストレッチ
あおむけになり、痛みやしびれがあるほうの脚を曲げてひざを抱える。
その姿勢から、ひざをできるだけ伸ばす。足首は自分の顔の方向に反らせて、お腹を見るように首は上げる。3秒キープして、これを10回繰り返す。
Point 痛みを我慢して行うと逆効果になるので、力むことなく、痛みのない範囲でひざを伸ばす
YouTubeチャンネル【坐骨神経痛を自分で治す】
https://www.youtube.com/channel/UCztR723O4ymkjXEpn6oOaiQ
取材・文/熊谷あづさ イラスト/石山綾子
