毎月のように食品や日用品が値上がりする昨今、副業やパート勤務を考える人も少なくない。そこで注目されているのが、自宅で収入を得る働き方だ。
専業主婦の挑戦が月100万円の収入に
夫と小学生の子ども2人と暮らすあんさんも、そんな働き方をしているひとり。インスタグラムやTikTokなどのSNSを活用し、3年半ほどで大きな収益化に成功した。
あんさんは現在32歳。事務職としてフルタイムで働いていたが、出産を機に退職し、専業主婦となった。
「育児に専念するために仕事を辞めたものの、私の収入がなくなったことで、家計は苦しくなりました。自宅にいながら何か収入を得られないかと思ったのが、SNSを始めたきっかけです」(あんさん、以下同)
何かできることはないかと考え、インスタグラムで暮らしに役立つ便利な雑貨や収納グッズ、インテリアなどの商品紹介を発信。ターゲットを主婦層に絞り、商品の色は生活空間になじみやすい白や木目に限定。
さらに、利便性だけでなく「主婦の悩みを解決できるか」を基準に商品を厳選した。その一貫したコンセプトが共感を呼び、現在フォロワーの数は約13万人に。
だが、最初から収益に結びついていたわけではない。
SNSで収入を得る主な方法には、企業の商品を紹介し、投稿や購入実績に応じて報酬を得るPR案件や、紹介した商品をフォロワーが購入すると報酬が発生するアフィリエイトなどがある。
「私の場合は、アフィリエイトで、半年ほどで月1万~2万円程度は稼げるようになりました。でも、当時はSNS運用に関する情報が少なくて、どうしたらより多くの人に見てもらえるのかよくわかっていなかったんです。そのため、2年目くらいまでは、月5万~6万円の壁をなかなか越えることができませんでした」
そこで取り組んだのが、15〜60秒の短さにまとめられた、縦長サイズの動画コンテンツ「ショート動画」の見せ方の工夫。
「ショート動画は最初の2秒が勝負。そこで視聴者の目に留まらないと、すぐに飛ばされてしまいます。
例えば『このフライパンが良かったよ』で始めるより、『レビュー評価3のフライパンを使ってみたら衝撃だった』のように始めたほうが、興味を持ってもらいやすい。途中で『ここからがすごいのだけれど』という言葉を入れて、最後まで見てもらえる工夫もしました。
試行錯誤が実を結び、フォロワー数は増加。投稿への反響も、それに比例して大きくなっていった。
主婦目線がウケ人気を獲得
「これまでで一番反響が大きかったのは、ベッドと勉強机が回転して入れ替わる家具。市場調査をしているときに見つけて、『これは絶対に欲しい人がいる!』と、自分から企業にPR案件として紹介させてほしいとお願いした商品です」
収益も月5万~6万円の壁を突破すると、30万円、そして100万円を達成。
「SNSで収益を得ようと決めたとき、最初に目標にしたのは、社会人のときの月収24万円でした。この金額を超えたときは、すごくうれしかったですね」
最大の喜びは家族のために使えるお金が増えたこと。
「子どもがやりたいという習い事に通わせられたり、誕生日に旅行に出かけられたりすることが何よりの喜びです」
ほんの1分のショート動画でも、完成までには多くの業務が発生する。日々、仕事に追われるあんさんだが、あくまでも最優先にしているのは育児。
「仕事と育児の線引きを大切にしています。撮影は子どもが学校に行っている午前中に終わらせて、子どもたちが帰宅したら、会話をしながらできる家事をするようにしています。動画の編集作業は夜、子どもたちを寝かしつけてからですね」
睡眠は可能な限りしっかり取ると決め、学校の行事などにもきちんと参加することを心がけている。そんなあんさんの姿を見て、夫にも変化が。
「私が夜遅くまで作業している姿を見て、これまで家事の比重が少なかった夫が、お皿洗いや洗濯をしてくれるようになりました。これはうれしい変化です」
キラキラとして魅力的なSNSの世界だが、成功者はほんの一握り。
日本アフィリエイト協議会の2025年の市場調査では、月3万円以上のアフィリエイト収入があるサイト運営者は全体のわずか12・4%。一方、収益が月0~1000円未満の人の割合は全体の52・5%に上る。
成功を収めているあんさんだが、収益が順調になった今も日々見せ方の研究を欠かさない。ショート動画でも、競合の投稿を分析し、商品の強みや差別化のポイントを見つけ出し、構成を考えている。
「商品のレビューをすると『お金をもらっているから褒めているんでしょう?』と言われることもあります。でも、私は自分が本当に良いと思ったものだけを紹介すると決めています」
積み重ねてきた努力が実って仕事は広がり続け、最近ではインターネット上で商品やサービスを販売するECサイトのコンサルティング業務も請け負っている。
「私は、10年後に今と同じ方法で収益が得られるとは考えていません。そのためにも日々アンテナを張り続けることが大切なんです」
現在、得た収益の一部は、自身のスキルアップのための投資に充てている。
「次のステップにつなげるために講座に参加したり、気になる商品を実際に買って試したり。これからも伸び続けるためには、学び続ける必要があります」
以前に比べてSNS運用に関するスクールや情報は増えているが、その選択にはくれぐれも注意してほしいと話す。
「私も最初はスクールで学びました。幸いそこは良心的なところだったものの、最近は学習需要につけ込んだスクール詐欺も増えています。『受講すれば高額な収入が得られる』と嘘をついて高額な受講料をだまし取る手口や、有名なインフルエンサーになりすました詐欺も急増しているので、見極めが必要です」
家庭にも仕事にも積極的に向き合い続けるあんさんに、SNSで成功するコツを聞いてみた。
「まずは始めてみること。そして短期間で結果が出なくても続けることです。もちろん、大変なこともありますが、日々の小さな一歩が、収入アップだけでなく家族との時間や生活を豊かにしてくれるのではないでしょうか」
月100万円超の収益を実現したあんさんにSNSの活用術を聞いた。
あんさん式SNS活用3か条
(1)優先順位をつける
企画、撮影、編集…とSNSの仕事は思った以上に時間のかかる作業が多い。自分にとって優先すべきものを犠牲にしないよう、家事でかけすぎていた手間を減らしたり、時間をやりくりしたりする仕組みづくりが大切。
(2)自分の得意分野を追求してブランディングをする
あれこれ手を広げるよりも「主婦目線」「白」など、自分がこれと決めたテーマを突き詰めるのがおすすめ。セリフもターゲットに合わせて、「ママ同士がおしゃべりしているような口調」などにすると身近に感じてもらえる。
(3)続ける
再生数が伸びないと、モチベーションが下がりがちだが、そこでグッとこらえて続けられるかが収益化の大きな分かれ目。人気が出ても現状に満足せず、常に新しい情報に積極的に向き合い、続けられるかが人気継続のカギに。
取材・文/小林賢恵
「あん ホワイトアイテムと便利な暮らし」(@allwhite_style)で白×木目をテーマに主婦の悩みを解決する日用品やインテリア雑貨をSNSで発信している人気インフルエンサー。
