事件発生の一報を報じた、朝霞市のツイート

 

 夏の暑さが本格化してきた7月中旬。「熱中症警戒アラート」が連日のように発令され、健康管理に注意しなければならない日が続いているが、そんな中、埼玉県ではある“不穏な情報”が発信されていた。

「事件性のない通り魔事件」

 7月14日、公式X(旧ツイッター)を更新したのは、同県の朝霞市役所のアカウント。市長公室シティ・プロモーション課広報係が発信する同アカウントは普段、お知らせやイベント情報などを発信している。

 しかし、この日に投稿されたのはある“犯罪情報”だった。

「14日の午後6時半ごろに発信されたのは、《本日午後3時50分ごろ、和光市下新倉5丁目の路上で男が刃物のようなもので男子高校生を切り付けて逃走する事案が発生》という事件の内容でした。具体的な情報として、《特徴は身長175センチ位、上衣黒色フード付きパーカー、下衣黒色スウェットです。不審な人物を見かけたら朝霞警察署までご連絡を》という記載も」(全国紙社会部記者)

 男子高校生への切り付け事案という、物騒極まりない情報。周辺市民は大きな恐怖に苛まれただろう。しかしその直後、事件は思わぬ形で更なる注目を浴びることに。

「注意喚起の投稿があったわずか約1時間後、今度は《(解決)通り魔事件に関するお知らせ》と題して、《本日午後3時50分ごろ発生の、和光市下新倉5丁目の路上で男が刃物のようなもので男子高校生を切り付ける事案についてお知らせしましたが、調査の結果、事件性がないことが判明しました。ご協力、ありがとうございました》という文が掲載されました。

 男子高校生を切り付けるという通り魔事件なのに《事件性がない》という不可解な内容に対して、リプライ欄には“事件性のない通り魔事件…? 意味が分からなすぎ”“男子高校生の虚偽通報?”“その文面だけだと事件性しか感じませんけど 調査の結果をもう少し詳しく発表した方がいいと思いますよ流石に”など、混乱と批判の声が殺到しています」(同・社会部記者)

朝霞市役所も詳細は不明

 この投稿は瞬く間に拡散され、わずか1日で1200万件を超えるインプレッション数を記録。“謎の事件”として、周辺市民にとどまらず多くの目に届くこととなった。

「事件性のない通り魔事件」とは、いったいどんな内容だったのか。詳細を尋ねるべく、朝霞市役所に問い合わせると、危機管理室の担当者はこう明かした。

「Xで公開した文章については、埼玉県警が発信している防災情報の文言を引用して、みなさんにお知らせをさせてもらったという形になります。通知が来た以上、市民の方にお知らせる必要があるので、まず公開したのですが、その後に事件性がないという情報がまた発信されたので、そちらも合わせて公開した次第です。なので、どういう内容で事件性がないのかということは、こちらでは把握できておりません」

 掲載した文章はあくまで警察の発表に則ったものであり、詳細は不明だという。

7月14日、男子高校生を切り付ける“通り魔事件”の情報を投稿したものの、わずか約1時間後に「事件性がない」と発信した埼玉県の朝霞市役所(Xより)

 そこで事件の真相を聞くため、埼玉県警に問い合わせたところ……。

「事件の個別事案に関しては、どのように事件性がないのかということも含めて、すでに発表している内容以上のことはお答えする事ができません」

 周辺市民からは「詳細ないと変に勘ぐっちゃう、、教えてください。安心できない」「最初の情報怖すぎる」「めちゃくちゃ意味わからんし怖いんですが…」など不安の声が寄せられているが、明確な回答を得ることはできなかった。

 住民の命にも関わりかねない、通り魔事件の情報。公開すべき情報は、本当にこれで足りているのか――。